『ジョジョ』6部ラストはひどい？意味不明な結末の真相を徹底解説

「ジョジョの奇妙な冒険」第6部ストーンオーシャンの最終回について、「ラストがひどい」「救いがない」といった感想を目にしたことはありませんか。

多くの読者に衝撃を与えたあの結末は、主人公たちの全員死亡や、空条承太郎の死といった壮絶な展開を含んでいます。

なぜ「意味不明」とまで言われ、物議を醸すラストになったのでしょうか。

この記事では、ジョジョ6部の最終回がどういうことなのか、物語の核心である「一巡後の世界」の謎から、ラスボス・プッチ神父の敗因、そして唯一生き残ったエンポリオが繋いだ希望まで、アニメと原作の違いも交えながら徹底的に解説していきます。

ジョジョ6部のラストがひどいと言われる3つの理由

結論：ジョジョ6部の最終回はどういうこと？

ジョジョ6部「ストーンオーシャン」の最終回は、端的に言うと「主人公サイドが一度全滅し、ラスボスも倒された結果、全く新しい世界が誕生する」という結末です。

この複雑な事態を引き起こしたのは、ラスボスであるエンリコ・プッチ神父のスタンド能力「メイド・イン・ヘブン」です。

この能力は、生物以外の時間の流れを無限に加速させ、宇宙を終焉させ、そして新たな宇宙を誕生させるという、神の如き力を持っています。

物語の最終盤、プッチ神父はこの能力を発動させ、時の加速に追いつけない空条徐倫たちを次々と殺害していきました。

しかし、唯一生き残った少年エンポリオが、仲間から託された力と自らの知恵と勇気でプッチ神父を打倒します。

神父が死んだことで、彼が創り出そうとしていた「天国」は不完全に終わり、結果として「プッチ神父が元から存在しなかったパラレルワールド」のような新世界が再構築されました。

この新世界で、エンポリオがかつての仲間たちとそっくりな、幸せに暮らす人々と出会う場面で、物語は幕を閉じます。

『ジョジョ6部』は本当に全員死亡したのか？

結論から言うと、物語の最終局面において、エンポリオを除く主要キャラクターは全員死亡します。

この「仲間が誰も生き残らない」という衝撃的な展開が、ラストが「ひどい」と言われる最大の理由の一つです。

主人公の空条徐倫をはじめ、ナルシソ・アナスイ、エルメェス・コステロ、ウェザー・リポート、そして空条承太郎といった、共に戦ってきた仲間たちが、プッチ神父の圧倒的な力の前に次々と命を落としていきます。

彼らの死は、読者に大きな喪失感と絶望感を与えました。

ただし、この結末には続きがあります。

前述の通り、プッチ神父が倒されたことで誕生した「新世界」では、彼らによく似た別人として、皆が平和で幸福な人生を送っている様子が描かれます。

以下に、各キャラクターの結末をまとめました。

キャラクター	旧世界での結末	新世界での存在
空条徐倫	死亡	アイリン（アナキスの恋人）
空条承太郎	死亡	アイリンの父親（存在を示唆）
エルメェス	死亡	エルディス（アイリンの友人）
アナスイ	死亡	アナキス（アイリンの恋人）
ウェザー	死亡	ヒッチハイカーの青年
F・F	消滅	存在しない（アニメ版では示唆）
エンポリオ	生存	唯一の記憶保持者として新世界へ

このように、肉体とそれまでの人生は失われましたが、彼らの魂は救われ、より良い運命を歩んでいると解釈することもできます。

このことから、単純なバッドエンドとは言い切れない、複雑な余韻を残す結末となっています。

主人公の空条徐倫は死亡したという結末

ジョジョシリーズ初の女性主人公である空条徐倫は、物語の最後にラスボス・プッチ神父との戦いで命を落とします。

主人公がラスボスとの戦いで死亡するというのは、少年漫画のセオリーから外れた非常にショッキングな展開です。

彼女が死を選んだのは、仲間であり、物語の希望を託す存在である少年エンポリオを守るためでした。

プッチ神父の「メイド・イン・ヘブン」による猛攻の中、徐倫は自身のスタンド「ストーン・フリー」の能力を最大限に使い、エンポリオをイルカに乗せて逃がします。

そして、自らは盾となり、プッチ神父の攻撃を受けて体をバラバラにされ、壮絶な最期を遂げました。

この自己犠牲の精神は、父・承太郎から、そしてジョースター家に代々受け継がれてきた「黄金の精神」そのものです。

彼女は、絶望的な状況下で未来への可能性を繋ぐために、自らの命を懸けるという選択をしました。

その死は決して無駄ではなく、彼女の意志を継いだエンポリオがプッチ神父を倒すための、最後の、そして最も重要な一手となったのです。

新世界で「アイリン」として、父に愛され、恋人と共に幸せそうな日常を送る姿は、彼女が過酷な運命から解放された証とも言えるでしょう。

最強の父、空条承太郎の衝撃的な死亡シーン

シリーズを通して「最強」の存在として君臨してきた空条承太郎が、第6部で死亡するという事実は、多くのファンに衝撃を与えました。

彼の死は、物語の非情さとプッチ神父の能力の恐ろしさを象徴するシーンです。

承太郎の敗因は、彼のスタンド「スタープラチナ」が弱かったからではありません。

むしろ、彼が「最強のスタンド使い」であると同時に、「娘を愛する一人の父親」であったことが、彼の運命を決定づけました。

時の加速が進む極限状況の中、プッチ神父は承太郎に二択を迫ります。

娘の徐倫を庇うのか、それとも仲間のアナスイを助けるのか。

承太郎は一瞬、娘を守ることを優先し、そのわずかな躊躇が致命的な隙となりました。

プッチ神父はその隙を見逃さず、承太郎の頭を割り、殺害します。

もし彼が非情なスタンド使いに徹していれば、時を止めてプッチを倒せたかもしれません。

しかし、彼は父親として娘を守る道を選びました。

この選択は、かつて娘との関係に問題を抱えていた承太郎が、確かな愛情を取り戻していた証拠でもあります。

彼の死は、ジョースターとDIOから続く100年以上の因縁の物語において、一つの世代の終わりを意味する、非常に重い出来事でした。

ジョジョ6部のラストは救いがないバッドエンドか

ジョジョ6部のラストが「救いがない」と感じるか、「希望がある」と感じるかは、個人の解釈によって大きく分かれるところです。

バッドエンドだと捉える意見の根拠は、やはり主要キャラクターがエンポリオ以外全員死亡するという、あまりにも悲劇的な結末にあります。

長期間にわたって感情移入してきたキャラクターたちが次々と命を落とし、彼らが血と涙を流して戦った記憶や絆が、新しい世界では失われているように見えるからです。

これまでの苦難がすべて無に帰したように感じられ、「救いがない」という感想を抱くのも無理はありません。

一方で、これを希望のあるハッピーエンドだと捉える見方も根強く存在します。

その理由は、彼らの尊い犠牲によって、第1部から続いてきたジョースター家とDIOの忌まわしい因縁が、完全に断ち切られたからです。

プッチ神父のいない新世界では、徐倫をはじめとする仲間たちが、刑務所に入ることもなく、過酷な戦いに巻き込まれることもなく、それぞれが幸福な人生を謳歌しています。

これは、彼らが命を懸けて守り抜いた未来の、一つの理想的な形と言えるかもしれません。

エンポリオがその世界で仲間たち（にそっくりな人々）と再会し、涙ながらに自己紹介するラストシーンは、失ったものの大きさと、それでも未来は続いていくという、切なくも美しい希望を描いていると解釈できます。

ひどいだけじゃない！ジョジョ6部ラストの深すぎる真相

ジョジョ6部のラストが意味不明と言われる理由

「ラストがひどい」という感想と並んで多く見られるのが、「意味不明でよく分からなかった」という声です。

そのように感じられる最大の理由は、物語の根幹をなす設定が非常に哲学的で難解なことにあります。

具体的には、以下の3つの要素が複雑に絡み合っているため、一度読んだだけでは理解が難しいのです。

理由①：「メイド・イン・ヘブン」の能力が複雑すぎる

プッチ神父の最終スタンド「メイド・イン・ヘブン」の能力は、「全宇宙の時間を、生物以外に対して無限に加速させる」というものです。

この能力により、太陽や月は高速で移り変わり、文明は崩壊し、宇宙そのものが終焉を迎えます。

このスケールが大きすぎる現象と、それに伴う物理法則の変化などが、読者の混乱を招きます。

理由②：「宇宙の一巡」という概念の難解さ

時間が無限に加速した先で、宇宙は特異点を経て消滅し、そして全く新しい宇宙として再創造されます。

これが「宇宙の一巡」です。

一巡した後の世界では、すべての生物は、これから自分の身に何が起こるかという「運命」を、魂レベルで記憶（覚悟）している状態になります。

この「運命の覚悟」こそが、プッチ神父の目指した「天国」の正体であり、非常に哲学的なテーマであるため、直感的に理解するのが困難です。

理由③：「一巡後の世界」と「新世界」の違いが分かりにくい

物語の終盤には、プッチ神父が創りかけた「一巡後の世界」と、エンポリオが最終的にたどり着いた「新世界」という、二つの異なる世界が登場します。

この二つの世界の定義や違いが明確に区別しにくく、物語の結末をさらに複雑にしています。

これらのSF的・哲学的な要素がクライマックスで一気に展開されるため、多くの読者が「意味不明」と感じてしまうのです。

物語の鍵「一巡後の世界とは」を徹底解説

ジョジョ6部のラストを理解する上で最も重要なのが、「一巡後の世界」と、最終的にエンポリオがたどり着いた「新世界」の違いを正確に把握することです。

この二つは全く異なる世界であり、その違いこそが物語の結末の核心部分です。

	一巡後の世界（プッチの天国）	新世界（ラストの世界）
目的	全人類が自らの運命を「覚悟」すること	プッチ神父が存在しないことによる世界の再構築
主導者	エンリコ・プッチ神父	エンポリオ・アルニーニョ（結果的に）
世界の仕組み	宇宙が一巡し、全生物が運命を記憶する	プッチ神父が誕生前に消滅した影響で再構築されたパラレルワールド
死亡した人間	魂のない別の存在に入れ替わる	存在しなかったことになり、別の運命を歩む
徐倫たちの運命	死亡したまま。別人に入れ替わる	刑務所に入らず、幸福な人生を送っている

プッチ神父が目指した「一巡後の世界（天国）」

プッチ神父が目指したのは、全人類が自らの人生で起こる出来事（幸福も不幸も死も）を事前に知っており、それを変えられない運命として「覚悟」できる世界です。

彼は、未来が分からないことこそが人間の絶望の根源だと考え、この「覚悟のある幸福」を実現しようとしました。

しかし、この世界では、一巡の過程で死んだ人間は、魂のない似て非なる存在に置き換えられてしまいます。

つまり、徐倫たちは生き返ることはありません。

エンポリオがたどり着いた「新世界」

エンポリオがプッチ神父を殺害したのは、「宇宙が一巡しきる直前」でした。

「天国」を完成させるためには、プッチ神父自身が特異点を通過し、一巡を完了させる必要があったのです。

しかし、プッチが途中で死亡したため、一巡は不完全に終わり、宇宙は「プッチ神父という存在が、最初から歴史に登場しなかった世界」として再構築されました。

これが、ラストで描かれた「新世界」です。

この世界では、プッチ神父に起因する悲劇が起こらなかったため、徐倫たちは全く別の、平和で幸福な人生を歩んでいます。

彼らの魂は救われ、ある意味で最高のハッピーエンドを迎えたと解釈できるのです。

ラスボスであるプッチ神父の意外な敗因とは

神の領域にまで到達したプッチ神父が、なぜ一人の少年に敗れたのでしょうか。

直接的な敗因は、エンポリオが機転を利かせ、徐倫から託されたウェザー・リポートのDISCを使ったことにあります。

しかし、物語のテーマに沿って考えると、彼の敗因はもっと根深いところにありました。

直接的な敗因：ウェザー・リポートの能力

エンポリオは、プッチ神父を狭い「幽霊の部屋」に誘い込み、ウェザー・リポートの能力で部屋の酸素濃度を極限まで高めました。

これにより、高濃度の酸素が猛毒となる「酸素中毒」を引き起こし、神の如き能力を持つプッチ神父の肉体を内側から崩壊させたのです。

これは、エンポリオの知恵と、仲間から受け継いだ力が起こした奇跡でした。

真の敗因：思想の矛盾と断ち切れなかった「因縁」

プッチ神父の真の敗因は、彼自身の思想の矛盾にありました。

彼は全人類に「運命の覚悟」を強要しようとしましたが、彼自身は、エンポリオに追い詰められた際、必死に命乞いをします。

これは、彼が自分自身の「敗北する運命」を全く「覚悟」できていなかったことを示しています。

さらに言えば、彼を倒すきっかけを作ったのは、彼が殺した双子の弟であるウェザー・リポートであり、最後の希望を繋いだのは彼が最も敵視したジョースター家の血を引く空条徐倫でした。

プッチ神父は、人と人との繋がりや受け継がれる意志を否定しようとしましたが、皮肉にもその「因縁」によって敗北したのです。

彼がかつて口にした「人の出会いも『重力』！ あんたは因縁がきれなかった！」というセリフが、そのまま彼自身に返ってくるという、見事な結末でした。

ジョジョ6部ラストで希望を繋いだエンポリオ

絶望的な結末の中で、唯一の生存者となり、物語の希望を繋いだのがエンポリオ・アルニーニョです。

彼は、戦闘能力が高いわけでも、特別な血筋を持つわけでもない、ごく普通の少年でした。

しかし、彼には仲間を信じる心と、困難に立ち向かう知恵と勇気がありました。

物語の序盤から、彼は徐倫たちを知識や情報でサポートし続け、その存在は徐倫にとって心の支えとなっていました。

最終決戦で仲間たちが次々と倒れていく中、徐倫は最後の希望をエンポリオに託します。

エンポリオはその意志を確かに受け継ぎ、孤独の中で神となったプッチ神父に立ち向かいました。

彼が勝利できたのは、徐倫から託されたDISC、つまり「仲間との絆」があったからです。

新世界で、アイリン（徐倫）やアナキス（アナスイ）たちに囲まれ、涙を流しながら自らの名前を告げるラストシーンは、ジョジョの奇妙な冒険という物語が、血統や能力だけでなく、「受け継がれる黄金の精神」の物語であることを象徴しています。

エンポリオこそが、1部から続く長い因縁に終止符を打ち、未来への希望を体現した、真の勝利者と言えるでしょう。

必見！ラストシーンにおけるアニメと原作の違い

ジョジョ6部のラストは、アニメ化されるにあたり、原作の魅力を最大限に引き出しつつ、いくつかの象徴的な変更が加えられました。

これらの変更点は、物語の解釈にさらなる深みを与えています。

特に注目すべきは、最終話のラストシーンにおける演出です。

原作にはないF.F.（フー・ファイターズ）の登場

最大の違いは、新世界でアイリン（徐倫）たちが車で走り去るシーンです。

アニメ版では、原作にはなかった演出として、道端の水たまりの反射に、死んだはずの仲間であるF.F.の姿が一瞬だけ映し出されます。

F.F.は、知性を持ったプランクトンの集合体であり、厳密には魂の概念が当てはまらないため、新世界には転生できませんでした。

しかし、このアニメオリジナルの演出により、「肉体は滅んでも、魂や思い出は仲間たちと共にあり続ける」という、非常に感動的なメッセージが加えられました。

これは、物語をより希望に満ちた形で締めくくる、アニメスタッフからの最高の贈り物と言えるでしょう。

最終話のエンディング曲

ジョジョのアニメシリーズは、各部のエンディング曲に洋楽の名曲を起用することでも知られています。

ストーンオーシャンのエンディングはDuffyの「Distant Dreamer」でしたが、最終話だけは特別でした。

ラストシーンから流れるエンディング曲は、なんと第1部・第2部と同じ、Yesの「Roundabout」だったのです。

この選曲は、ジョナサン・ジョースターから始まったジョースター家とDIOの100年以上にわたる因縁の物語が、この第6部で一つの大きな区切りを迎えたことを示唆しています。

原点回帰とも言えるこの演出は、長年のファンにとって、これ以上ないほど感動的なフィナーレとなりました。

まとめ：ジョジョ6部のラストがひどいかは解釈次第