社会現象を巻き起こした大人気作品『鬼滅の刃』。
その魅力は、心揺さぶるストーリーや個性豊かなキャラクターたちにありますが、ファンの間では作品の奥深さに関する様々な考察が交わされています。
中でも特に注目されているのが、「鬼と病気」の関係性です。
鬼舞辻無惨を頂点とする鬼、特に圧倒的な強さを誇る「上弦の鬼」たちは、人類を長年苦しめてきた「病気」がモデルになっているのではないか、という説があります。
この記事では、「鬼滅の刃 上弦の鬼 病気」というテーマに焦点を当て、鬼たちの名前や能力に隠された病気のモチーフを徹底的に解説します。
童磨や猗窩座、さらには下弦の鬼や累に至るまで、彼らが象徴する病気とは何なのか。
そして、なぜ『鬼滅の刃』は感染症をモデルにしたと言われるのでしょうか。
作品に散りばめられた伏線を読み解きながら、物語のもう一つの側面に迫ります。
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鬼滅の刃の上弦の鬼は病気がモデル?モチーフを解説
鬼滅の刃の病気モチーフとなっている鬼たち
『鬼滅の刃』に登場する鬼、特に最強集団である「上弦の鬼」たちの名前や能力が、実在する病気をモチーフにしているという説は、ファンの間で広く知られています。
この説は単なる憶測ではなく、キャラクターの設定と病気の特徴を照らし合わせると、驚くほど多くの共通点が見つかります。
作中で明確に言及されているのは、上弦の陸・堕姫(だき)の人間時代の名前「梅」が、母親が患っていた病気に由来するということです。
遊郭という舞台背景から、この病気は「梅毒」であると強く示唆されており、ここから他の鬼たちも病気がモチーフになっているのではないか、という考察が広がりました。
具体的に、各上弦の鬼と関連付けられている病気は以下の通りです。
鬼の階級 | 名前 | モチーフとされる病気 |
---|---|---|
上弦の壱 | 黒死牟(こくしぼう) | 黒死病(ペスト) |
上弦の弐 | 童磨(どうま) | 結核 |
上弦の参 | 猗窩座(あかざ) | 麻疹(はしか) / コレラ |
上弦の肆 | 半天狗(はんてんぐ) | ハンセン病 / ボツリヌス症 |
上弦の伍 | 玉壺(ぎょっこ) | アメーバ赤痢 |
上弦の陸 | 堕姫・妓夫太郎 | 梅毒 |
このように並べてみると、名前の響きが似ていたり、鬼の使う血鬼術が病気の症状と酷似していたりと、多くの点で一致していることがわかります。
例えば、上弦の壱・黒死牟の名前は、かつてヨーロッパ人口の3分の1を死に至らしめた「黒死病」を彷彿とさせます。
また、上弦の伍・玉壺が壺や水を操る姿は、汚染された水を介して感染し、腸に「壺型」の潰瘍を作る「アメーバ赤痢」と重なります。
これらの関連性は、作者である吾峠呼世晴先生が意図的に設定した可能性が非常に高く、物語に深い奥行きを与えています。
上弦の参・猗窩座の病気は「麻疹」か「コレラ」?
上弦の参・猗窩座のモチーフとなった病気については、主に「麻疹(はしか)」と「コレラ」の二つの説が存在し、どちらも説得力を持っています。
まず「麻疹説」から見ていきましょう。
麻疹は、現在でこそワクチンで予防できますが、かつては非常に致死率の高い感染症でした。
全身に赤い発疹が現れることから、古くは「赤斑瘡(あかもがさ)」と呼ばれていました。
この「あかもがさ」という響きが、「あかざ」の名前の由来ではないかと考えられています。
さらに、富山県の一部地域では、麻疹除けのおまじないとして、刺青の図柄で人気の「九紋龍(くもんりゅう)」の手形を門口に貼る風習があったと言われます。
猗窩座の全身を覆う罪人の証である刺青は、この魔除けの風習から着想を得たのかもしれません。
次に「コレラ説」です。
コレラもまた、江戸から大正時代にかけて猛威をふるった感染症で、激しい脱水症状により、かかると「コロリ」と呆気なく死んでしまうことから「虎狼痢(ころり)」という当て字がされました。
猗窩座は人間時代、最愛の許嫁と師範を道場の乗っ取りを企む隣接道場の者たちに井戸へ毒を盛られる形で殺されています。
大切な人たちが「コロリ」と殺されてしまった悲劇が、この病名とリンクするという考察です。
また、「虎狼痢」という漢字に「虎」と「狼」が含まれている点も興味深いところです。
猗窩座はひたすらに強さを求める武術家であり、その戦い方は虎のように勇猛です。
同時に、群れることを嫌い、孤高を貫く姿は一匹狼を彷彿とさせます。
このように、猗窩座には二つの有力な説が存在します。
どちらか一つに限定するのではなく、両方の要素を取り入れてキャラクターが作られた可能性も考えられ、考察の幅を広げています。
上弦の弐・童磨の病気は「結核」がモチーフ
上弦の弐・童磨のモチーフは「結核」であるという説が非常に有力です。
その理由は、彼の使う血鬼術とキャラクター性、そして彼を倒すに至った経緯に、結核との驚くべき共通点が見られるからです。
血鬼術と結核の症状
童磨の血鬼術は、自らの血を凍らせて鋭い冷気を発生させるものです。
この冷気を吸い込んだ相手は、肺が内側から凍りつき、呼吸困難に陥って壊死してしまいます。
これは、結核菌が肺に感染し、肺組織を破壊していく症状と酷似しています。
結核はかつて「不治の病」「亡国病」と恐れられ、多くの人々の命を奪いました。
童磨の血鬼術がもたらす、じわじわと生命を蝕んでいくような冷たく静かな死は、まさしく結核の恐ろしさを象徴していると言えるでしょう。
治療薬の副作用との関連
さらに興味深いのは、童磨との戦いの結末です。
童磨を倒す鍵となったのは、蟲柱・胡蝶しのぶの妹分である栗花落カナヲでした。
カナヲは、自身の視力を失うリスクと引き換えに動体視力を極限まで高める技「彼岸朱眼」を使い、童磨の頸を斬る一撃を放ちます。
この「失明」という代償は、実は結核の歴史と深く関わっています。
かつて結核の特効薬として使われた「ストレプトマイシン」という抗生物質には、副作用として聴力や視力に障害を引き起こす可能性がありました。
病を治すための「薬」が、体に別の「代償」を求める。
この関係性が、カナヲが払った犠牲と見事にリンクしているのです。
作者が医学史まで踏み込んで設定を構築したであろうことがうかがえ、物語に凄みを与えています。
なぜ鬼滅は感染症モデルと言われるのか
『鬼滅の刃』において、個々の鬼が特定の病気をモチーフにしているだけでなく、作品全体の構図が「人類と感染症の戦いの歴史」をモデルにしているという考察があります。
この説は、鬼と鬼殺隊の関係性や、物語の舞台設定から読み取ることができます。
まず、鬼の存在そのものが、ウイルスや細菌といった「病原体」の特徴とよく似ています。
鬼は人間を襲い、その血を分け与えることでしか仲間を増やすことができません。
これは、ウイルスが生物の細胞(宿主)に寄生しなければ増殖できない性質と重なります。
また、鬼の最大の弱点である「日光」も、消毒の基本である「紫外線」や、癌治療で用いられる「放射線」を連想させます。
太陽の光によって滅びるという設定は、病原体に対する有効な治療法や予防法のメタファーと捉えることができるのです。
一方、その鬼を滅殺する「鬼殺隊」は、「医療」や「薬」の象徴と考えることができます。
鬼殺隊士が使う「日輪刀」は、感染症に対する「抗生物質(ペニシリンなど)」や「特効薬」と言えるかもしれません。
そして、この説を最も強く裏付けているのが、鬼でありながら医師でもある珠世(たまよ)の存在です。
彼女が開発した「鬼を人間に戻す薬」や「無惨を弱体化させる薬」が、最終決戦の勝敗を分ける決定的な鍵となりました。
彼女の使う血鬼術が「惑血(わくち)」であることも、「ワクチン」を彷彿とさせ、非常に示唆に富んでいます。
物語の舞台が大正時代であることも重要です。
大正時代は、西洋医学が普及し、ペストや結核といった多くの感染症に対する治療法や予防法が確立され始めた時期でした。
『鬼滅の刃』は、単なる鬼退治の物語ではなく、人類が科学と医療の力で、目に見えない脅威である「病」を克服してきた長い戦いの歴史を、壮大なファンタジーとして描き出した作品なのかもしれません。
鬼滅の刃で語られる鬼と病気の深い関係性とは?
鬼滅の刃では下弦の鬼も病気と関係が?
上弦の鬼だけでなく、十二鬼月の下位メンバーである「下弦の鬼」たちにも、病気や毒に関連するモチーフが見られます。
上弦の鬼が人類史に残るような致死性の高い感染症をモチーフにしているのに対し、下弦の鬼はより多様な病や毒、あるいは精神的な疾患を背景に持つキャラクターとして描かれているようです。
最も分かりやすいのは、下弦の壱・魘夢(えんむ)です。
彼は他者を強制的に眠らせ、夢を見せる血鬼術を使います。
公式ファンブックでは、人間時代に現実と夢の区別がつかない「夢遊病」のような症状があったと示唆されています。
また、彼の能力は、人を快楽で支配し廃人にする「麻薬」を連想させます。
麻薬の原料となる芥子(ケシ)から作られるモルヒネは、末期がん患者の痛みを和らげる医療用麻薬としても使われます。
魘夢が口にする「幸せな夢を見ながら死ねる」という言葉は、この二面性を持つ薬物の性質を反映しているのかもしれません。
パワハラ会議で無惨に粛清された他の下弦の鬼たちも、その名前からモチーフを推測できます。
- 轆轤(ろくろ): 陶芸家がなりやすい腱鞘炎や、首が伸びる妖怪「ろくろ首」が離魂病(一種の精神病)とされた説。
- 病葉(わくらば): 言葉自体が「病気に侵された葉」を意味する。
- 零余子(むかご): 顔のペイントや角が、発疹やコブを伴う「風疹」や「先天性風疹症候群」を思わせる。
- 釜鵺(かまぬえ): 人を病気にするとされた妖怪「鵺(ぬえ)」や、植物の「ガマ」の花粉が引き起こす「花粉症」。
このように、下弦の鬼たちは上弦ほどの明確さはないものの、それぞれが何らかの「病」や「毒」と結びつけられています。
物語の序盤で退場した彼らですが、その短い登場シーンの中にも、作品の根幹をなすテーマが込められていることが分かります。
鬼滅の刃の累のモチーフは病弱だった過去
那田蜘蛛山で炭治郎たちを苦しめた下弦の伍・累(るい)は、その悲しい過去と歪んだ家族観から、読者に強烈な印象を残しました。
彼のキャラクター造形の根幹にも、「病気」というテーマが深く関わっています。
累のモチーフとされる病気は「ハンセン病(らい病)」です。
人間だった頃、累は生まれつき体が弱く、歩くことすらままならないほど病弱でした。
この設定が、ハンセン病の歴史と重なります。
ハンセン病は、実際には感染力が非常に弱いにもかかわらず、かつては恐ろしい伝染病だと誤解され、患者は社会から隔離され、激しい差別に苦しみました。
病によって家族や社会から断絶されてしまう孤独感。
これが、累が偽りの「家族の絆」に異常なまでに執着した原因と考えられます。
彼は、自分を鬼にした鬼舞辻無惨から力を分け与えられ、病弱な体を克服します。
しかし、その変化を嘆いた両親を「偽物の絆だ」と誤解し、自らの手で殺害してしまいました。
本当の家族を失った彼は、恐怖で支配した偽りの家族を作り上げることでしか、心の空白を埋められなかったのです。
彼の白く脆そうな肌や、顔や髪にある赤い円形の模様も、ハンセン病の症状として現れることがある皮膚の斑点を彷彿とさせます。
累の物語は、病がもたらす肉体的な苦痛だけでなく、誤解や偏見が生み出す社会的な苦しみ、そして家族の絆が断たれる悲劇を描いています。
炭治郎が持つ、何があっても揺らぐことのない本物の家族の絆と対比されることで、累の孤独と悲しみがより一層際立つのです。
鬼の始祖・無惨の病気モデルは「癌」という説
全ての鬼の始祖であり、千年にわたって鬼殺隊と敵対してきた絶対的な悪、鬼舞辻無惨。
彼の存在を象徴するモチーフとして、最も有力視されているのが「癌細胞」です。
この説は、無惨の成り立ち、性質、そして弱点の全てにおいて、癌との驚くべき類似性が見られることから提唱されています。
成り立ちと増殖
無惨は元々、平安時代の貴族の人間でした。
二十歳まで生きられないと宣告されるほどの重い病を患い、ある医師の治療を受けた結果、鬼という「新生物」になりました。
これは、人間の正常な細胞が何らかの原因で変異し、異常な増殖を始める「癌」の発生過程と酷似しています。
そして、無惨は自らの血を与えることで、人間を鬼に変えて増殖させます。
この様は、癌細胞が周囲の正常な組織を侵食し、体全体に広がっていく「浸潤(しんじゅん)」や「増殖」の様子とそっくりです。
性質と弱点
無惨の驚異的な再生能力と生命力は、癌細胞のしぶとさを象GNしています。
さらに、追い詰められた無惨が自らの体を1800個の肉片に分裂させて逃げる「爆裂四散」は、癌細胞が血流やリンパの流れに乗って体の各所に新たな癌を作る「転移」を彷彿とさせます。
そして、そんな無惨(鬼)の唯一の弱点が「日光」です。
これは、癌治療の主要な方法の一つである「放射線治療」のメタファーと考えることができます。
太陽光に含まれる放射線が、異常な細胞である鬼(癌)を死滅させるのです。
最終的に、無惨を完全に滅ぼす決め手となったのが、珠世の作った「薬」でした。
これも、癌細胞の増殖を抑え、破壊する「抗がん剤治療」と見事に重なります。
鬼舞辻無惨というキャラクターは、人体から発生し、体を蝕み、無限に増殖しようとする最悪の病「癌」そのものを擬人化した存在なのかもしれません。
日本に伝わる「鬼と病気」のことわざ
『鬼滅の刃』で描かれる「鬼=病気」という構図は、実は作品独自のアイデアではなく、古くから日本の文化に根付いてきた考え方に基づいています。
そのことを示す最も身近な例が、「鬼の霍乱(おにのかくらん)」ということわざです。
「霍乱」とは、日射病や急性の胃腸炎などを指す古い言葉です。
このことわざは、「鬼のように屈強で、病気とは無縁そうな人が、珍しく病気になること」のたとえとして使われます。
この言葉が存在すること自体が、日本人にとって「鬼」がいかに健康や強さの象徴であり、対極にある「病気」とは相容れない存在と考えられてきたかを物語っています。
医療が未発達だった時代、人々にとって原因不明の病や、突如として広がる疫病は、まさに人知を超えた恐ろしい存在でした。
そのため、こうした災厄は目に見えない「鬼」や「疫病神」の仕業だと考えられていたのです。
その名残は、現代の風習にも見られます。
例えば、節分に行われる豆まきは、元々「追儺(ついな)」と呼ばれる、疫病を鬼に見立てて追い払う宮中儀式が由来とされています。
また、昔話の『桃太郎』が退治した鬼も、一説には製鉄技術を持つ渡来人の一族を朝廷が征伐した話が元になっているとも、あるいは当時流行した疫病を擬人化したものだとも言われています。
『鬼滅の刃』がこれほどまでに多くの人々の心を打ち、社会現象となった背景には、単なる物語の面白さだけでなく、日本人が古来から抱いてきた「鬼」という存在への畏怖や、「病」という脅威に対する死生観が、巧みに織り込まれているからなのかもしれません。
まとめ:鬼滅の刃で描かれる上弦の鬼と病気の深い繋がり
- 『鬼滅の刃』の上弦の鬼は、実在の病気がモチーフという説が有力である
- 上弦の壱・黒死牟は「黒死病」、上弦の弐・童磨は「結核」がモデルとされる
- 上弦の参・猗窩座のモチーフは「麻疹」と「コレラ」の二つの説がある
- 上弦の陸・堕姫と妓夫太郎は、作中の描写から「梅毒」がモチーフと強く示唆される
- 鬼の弱点が日光である点は、放射線治療や紫外線消毒を連想させる
- 鬼を滅する鬼殺隊や珠世の薬は、「医療」や「特効薬」のメタファーと考えられる
- 下弦の鬼である魘夢や累にも、「夢遊病」や「ハンセン病」といった病気のモチーフが見られる
- 全ての鬼の始祖・鬼舞辻無惨は、その性質から「癌細胞」がモデルとされる
- 「鬼の霍乱」ということわざのように、日本では古来より鬼と病気は関連付けて考えられてきた
- 作品の背景には、人類が病という脅威と戦ってきた歴史が投影されている
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