漫画『HUNTER×HUNTER』の会長選挙編は、長らく出番のなかったレオリオ=パラディナイトが劇的な復活を果たしたエピソードとして知られています。
ネテロ会長亡き後のハンター協会を率いる次期会長を決める選挙で、プロハンターとしての実績がほぼゼロのルーキーがなぜ最有力候補にまでのぼりつめたのか。
多くのファンが気になるこの疑問に対し、本記事では選挙の全容からレオリオの演説(スピーチ)の中身、パリストンとの決選投票の裏側、そして暗黒大陸編における現在の立ち位置まで、時系列に沿って詳しく解説していきます。
レオリオ=パラディナイトとはどんな人物か
レオリオ=パラディナイトは、ゴン・キルア・クラピカと並ぶメイン4人組の一人で、287期ハンター試験の合格者です。
初登場時は19歳で、身長193cmの長身にサングラスとスーツという出で立ちから年上に見られがちですが、実際にはゴンたちと年齢が近い青年にあたります。
幼少期に親友を病気で亡くした経験がレオリオの原点となっています。
友人の病は適切な治療を受ければ回復するものでしたが、治療費を工面できなかったことが原因で命を落としました。
この体験から「金のない人でも救える医者になる」という夢を抱き、莫大な学費を免除してもらうためにハンターライセンスの取得を目指したのです。
性格は義理堅く人情に厚い一方で、酒や金に目がないといった俗っぽさも持ち合わせています。
クラピカからは「態度は軽薄で頭も悪い。
だが決して底が浅いとは思わない」と評されており、メイン4人の中では最も常識的で精神面が安定した人物として描かれています。
コミュニケーション能力が非常に高く、他人と打ち解けるのが早い点も大きな特徴でしょう。
センリツからは「ヨークシンシティで会った誰よりもあたたかい心音がする」と評価され、医者や教師になることを薦められた場面もあります。
ハンター協会の会長選挙が行われた背景
会長選挙が実施されるきっかけとなったのは、第12代ハンター協会会長アイザック=ネテロの死です。
ネテロはキメラ=アント編において王メルエムとの死闘の末、自らの心臓を貫いて体内に埋め込んだ小型爆弾「貧者の薔薇」を起爆させるという壮絶な最期を遂げました。
ネテロの遺言に従い、次期会長は協会員による選挙で選出されることが決まります。
選挙のルールは十二支んが取りまとめ、以下の条件が設定されました。
全ハンター協会員による記名投票方式とし、投票率が95%以上かつ過半数の票を獲得した者が当選する仕組みです。
条件を満たさなければ何度でも再選挙が行われ、上位16名に絞ったうえで人数を順次半減させていくという厳格なルールが敷かれました。
当初は副会長パリストン=ヒルとチードル=ヨークシャーの一騎打ちになるとみられていましたが、選挙は混迷を深めていきます。
パリストンは第1回から一貫して最多得票を獲得し続けた一方、投票率が95%に達しない回が続くなど、選挙は長期化していったのです。
レオリオがなぜ会長候補に急浮上したのか
レオリオが候補として名前が挙がるようになった転機は、第4回投票の直前に起きた出来事にあります。
ジン殴打事件が引き起こした大転換
当時、ゴン=フリークスはキメラ=アント編での代償により昏睡状態に陥っていました。
レオリオは親友の危機に駆けつけ、ゴンの父親であるジン=フリークスに「なぜ息子の元へ行かないのか」と詰め寄ります。
しかしジンは「ゴンが会いに来てほしいとでも言ったのか」とはぐらかしました。
意識不明の重体でそれが言えるはずもないという怒りがレオリオの中で爆発し、「このクソ野郎」「いっぺん死ね」と叫びながら念能力でジンを殴り飛ばしたのです。
この場面は選挙会場にいた全ハンターが目撃しています。
なぜハンターたちの心を掴んだのか
レオリオの行動が圧倒的な支持を集めた背景には、ジンに対するハンターたちの不満がありました。
瀕死の息子に無関心を装うジンの態度に、大半のハンターが内心で反感を抱いていたとされています。
レオリオは自分の友人のために本気で怒り、立場や損得を考えずに行動しました。
本来は隠すべき念能力を衆目の前で使ったのも「誰かのために」というレオリオの本質を示すもので、その裏表のなさがハンターたちの心を打ったのです。
スタンディングオベーションが巻き起こり、第4回投票ではそれまで一票も入っていなかったレオリオが55票を獲得して一気に3位に浮上しました。
会長選挙の全9回投票結果とレオリオの順位推移
選挙は全9回の投票が行われ、レオリオの得票推移は劇的な変化を見せています。
以下の表は各回におけるレオリオの順位と得票数を整理したものです。
| 投票回 | レオリオの順位 | レオリオの得票数 | 1位の候補者 | 1位の得票数 | 備考 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1回 | 圏外 | 0票 | パリストン | 249票 | 投票率87.7%で再選挙 |
| 第2回 | 圏外 | 0票 | パリストン | 251票 | 投票率88.2%で再選挙 |
| 第3回 | 圏外 | 0票 | パリストン | 258票 | 投票率89.7%で再選挙 |
| 第4回 | 3位 | 55票 | パリストン | 258票 | ジン殴打直後に急浮上 |
| 第5回 | 4位 | 55票 | パリストン | 274票 | 上位16名に絞られる |
| 第6回 | 4位 | 58票 | パリストン | 272票 | 上位8名に絞られる |
| 第7回 | 2位 | 95票 | パリストン | 293票 | 上位4名に絞られる |
| 第8回 | 1位 | 282票 | レオリオ | 282票 | パリストンを逆転 |
| 第9回 | 2位 | 157票 | パリストン | 458票 | ゴン復活で逆転される |
注目すべきは第8回投票です。
チードルとミザイストムがレオリオ支持を表明して辞退した結果、レオリオは282票を獲得してパリストンの250票を上回り、選挙史上初めて1位に立ちました。
しかし最終回の第9回では状況が一変し、パリストンが458票(得票率72.1%)という圧倒的な数字で当選を果たします。
レオリオの演説が名場面として語り継がれる理由
第8回投票の前に行われたレオリオの演説は、作品屈指の名シーンとして広く認知されています。
演説の内容と飾らない言葉の力
レオリオは壇上で「どうせ選ばれっこねえし」という本音を抱えながらスピーチに臨みました。
開口一番「オレが会長になったら協会を私物化するからな」と宣言し、最初の命令として「ゴンを助けるためすぐに動け」と全ハンターに命じるつもりだと言い放ちます。
一見すると暴言にも聞こえるこの内容に対し、会場のハンターたちは顔色を変えるどころか、望むところだと言わんばかりの表情を浮かべていました。
続けてレオリオはゴンに対する思いや自分の無力さを率直に語り、裏のない真っ直ぐな言葉で聴衆の心を揺さぶったのです。
「本気の演説」ではなかったことの意味
興味深いのは、レオリオが政治的な計算を一切していなかった点です。
一般的にハンターは反権威的な気質を持ち、権力で縛ろうとする人物を嫌う傾向があるとされています。
レオリオの「協会を私物化する」という発言は、逆説的にハンターたちが求めていた「嘘のない人間」の証明となりました。
もしレオリオが用意周到なスピーチをしていたらここまでの支持は得られなかっただろうという見方が、読者の間でも広く共有されています。
計算のなさこそがレオリオ最大の武器であり、選挙編における核心的なテーマだといえるでしょう。
パリストンとの決選投票で何が起きたか
第9回投票ではレオリオとパリストンの一騎打ちとなりましたが、結末は意外な形で決着します。
パリストンが読み切っていた結末
パリストンはジンが「ゴンは死なない」と断言した一点だけを根拠に、選挙中にゴンが回復して会場に現れることを予測していました。
ゴンが復活すれば、レオリオが会長を目指す最大の動機である「ゴンを救う」という目的が消失します。
パリストンはこの不戦勝のシナリオに全てを賭けており、実際にその読みは的中したのです。
ゴンの一言で決まった会長の座
ナニカの力で回復したゴンが選挙会場に姿を現すと、チードルは最後の足掻きとして「どちらが会長にふさわしいか直感で答えてほしい」と問いかけます。
ゴンは即座に「パリストン」と回答しました。
理由は極めてシンプルで、「レオリオは医者になりたいんだから会長にはなれない」というものです。
レオリオ自身もこの言葉に異議を唱えず、正式に辞退を表明しました。
結果としてパリストンが第13代会長に当選しましたが、就任直後に即辞任してチードルを次期会長に指名するという驚きの展開が待っていたのです。
ジンやチードルがレオリオを高く評価した理由
会長選挙を通じて、作中屈指の実力者たちがレオリオの資質を認める場面が描かれています。
ジンが語った「一番の収穫」
ジン=フリークスは選挙編を振り返り、「レオリオに会えたのが一番の収穫」「伸びしろはデカイ」と語りました。
作中でもトップクラスの実力と洞察力を持つジンがここまで評価した人物はほとんどおらず、レオリオの潜在能力の高さを端的に示す発言として注目されています。
また、ジンはレオリオの念能力を一度見ただけで再現し、その応用可能性まで分析してみせました。
打診やエコーのような探査、さらに腫瘍や血栓を体外から破壊する医療用途にまで発展しうるという見立ては、レオリオの念能力が戦闘以外の分野で大きな価値を持つことを示唆しています。
チードルが見抜いた「化ける」可能性
現会長のチードル=ヨークシャーはレオリオについて、「彼はまだ無力かもしれないが、支える者やカバーできる者がいれば化ける」と評しています。
この言葉はレオリオの弱点と強みの両面を的確に捉えたものです。
プロハンターとしての実績がない点は明確な弱みですが、人望と人間性という計り知れない強みを持つことをチードルは見抜いていました。
だからこそチードルは自ら辞退してレオリオを推し、十二支んへの加入も勧めたのです。
選挙編を経てレオリオが十二支んに加入した経緯
パリストンが即辞任しチードルが第14代会長に就任した後、ハンター協会の最高幹部組織である十二支んに人事異動が生じます。
ジンとパリストンが脱退して2つの空席が発生し、チードルはその一つをレオリオに打診しました。
選挙での行動が協会全体から高く評価されており、レオリオの心情がハンターの理念に最もふさわしいと判断されたためです。
レオリオは十二支んの「亥」の席を受け入れ、正式に協会最高幹部の一員となりました。
さらにレオリオ自身がもう一つの空席にクラピカを推薦し、クラピカも条件付きで加入を承諾しています。
こうしてメイン4人組のうちレオリオとクラピカが十二支んとして暗黒大陸渡航計画に関わることになったのです。
暗黒大陸編でのレオリオの現在の役割
暗黒大陸編においてレオリオは、チードルが率いる精鋭医療チームの一員としてブラックホエール号(BW号)に乗船しています。
大学を休校する代わりに、チードルの下での実技研修を単位として認めさせるという条件で参加しており、三層の中央医療室に滞在して日々の医療業務に従事しています。
船内では医療スタッフが著しく不足しており、死者が続出する過酷な状況の中でレオリオは多忙を極めている状態です。
十二支んの科学班に所属するルーキーという肩書ですが、選挙編での知名度が高いことから、レオリオの参加表明によって暗黒大陸行きのメンバー募集が大きく進んだという描写もあります。
戦闘要員としてではなく、人望と医療の知識で組織を支える立場として機能しているのが現在のレオリオの姿だといえるでしょう。
レオリオがクラピカの寿命問題を救う可能性
多くの読者の間で注目されているのが、レオリオの念能力がクラピカの命を救う鍵になるのではないかという点です。
クラピカの絶対時間と寿命の消耗
クラピカの「絶対時間(エンペラータイム)」には「発動中1秒につき1時間寿命が縮む」という重い制約が設けられています。
BW号船内でクラピカは王位継承戦に深く関わっており、エンペラータイムの使用頻度が極めて高い状態が続いています。
残り寿命が急速に削られているという危機的状況は、作中でも明確に示唆されているのです。
レオリオの放出系能力が持つ医療的可能性
レオリオの念能力はオーラを離れた場所に飛ばし、体内に干渉することが可能です。
ジンの分析によれば、エコー診断のような探査や腫瘍・血栓の外側からの破壊に応用できるとされています。
この能力は本質的に「体の内側に外からアプローチする」ものであり、寿命の消耗という内的な問題に対しても何らかの解決策を提供できる可能性があります。
レオリオとクラピカは同じBW号に乗船しており、物語上の合流は確実視されている点も見逃せません。
「金がなくて友人を救えなかった」というレオリオの原体験と、「寿命を削りながら戦い続ける親友」というクラピカの現状が交差するとき、レオリオの真の活躍が描かれるのではないかと広く期待されています。
レオリオの強さと弱さを客観的に整理する
会長選挙編での活躍はレオリオの再評価を大きく進めましたが、キャラクターとしての長所と短所を冷静に把握しておくことも重要です。
人望と人間性という突出した強み
レオリオの最大の武器は、計算のない真っ直ぐさが自然と人の心を動かす点にあります。
ネテロ会長もハンター試験時に「格闘能力はボドロより上で、総合力も同等」と評価しており、素の実力も決して低くはありません。
ヒソカ、ジン、チードルといった作中屈指の実力者がいずれもレオリオのポテンシャルを高く評価している事実は見逃せないでしょう。
腕力に関してはメイン4人の中で最も優れており、ゾルディック家の試しの門を2(8トン)まで開けた実績もあります。
実績不足と戦闘経験の少なさという弱み
一方で、プロハンターとしての実績はほぼ皆無です。
念能力は独学での修業であり、ヨークシンシティの時点では「纏」しか使えなかったことからも、戦闘面での経験値は他のメイン4人と比較して明らかに不足しています。
作中で実際に戦うシーンがほとんど存在しないため、実戦力の正確な評価が困難という点も否めません。
チードルが「支える者がいれば化ける」と述べたのは、裏を返せば単独では力不足であることを認めた発言でもあります。
ただし「ハンターは戦闘能力だけで評価されるわけではない」典型例として、レオリオの存在は作品全体のテーマを体現しているともいえるでしょう。
原作の最新動向とレオリオに関する情報(2026年3月時点)
『HUNTER×HUNTER』は2024年10月から12月にかけて第401話から第410話がジャンプに掲載された後、再び休載に入っています。
2025年12月に作者の冨樫義博が第411話の原稿完成を自身のXアカウントで報告し、2026年1月20日には第415話の原稿完成とともにホワイトボードに描いたレオリオのイラストを公開しました。
渋さを増したレオリオの姿には「不敵な笑みが最高」「冨樫先生の線は唯一無二」といった絶賛の声が多数寄せられています。
さらに2026年2月19日には第419話の原稿完成も報告されており、着実に原稿のストックが積み上がっている状況です。
39巻の発売日や連載再開の具体的な時期は未発表ですが、これまでのパターンから「新刊発売と連載再開が同時に行われる」と予測する声が多く見られます。
レオリオのイラストが公開されたことで、今後の展開でレオリオが重要な役割を担うのではないかという期待がファンの間でさらに高まっています。
まとめ:レオリオの会長選挙における全貌と今後の展望
- レオリオ=パラディナイトは287期ハンター試験合格者で、医者を目指す放出系の念能力者である
- 会長選挙はネテロ会長の死後に実施され、全9回の投票を経てパリストン=ヒルが第13代会長に当選した
- レオリオは第4回でジンを念能力で殴打したことをきっかけに、圏外から一気に3位へ急浮上した
- 第8回投票ではチードルとミザイストムの支持を得て282票を獲得し、選挙史上初めて1位に立った
- 「協会を私物化する」という飾らない演説が、反権威的なハンターたちの心を掴んだ
- ゴンの復活により出馬動機が消滅し、最終投票ではパリストンが得票率72.1%で逆転当選した
- パリストンは当選直後に即辞任し、チードルが第14代会長に就任している
- 選挙後にレオリオは十二支ん「亥」に加入し、暗黒大陸渡航計画の医療チームに参加している
- レオリオの放出系能力は体内への遠隔干渉が可能であり、クラピカの寿命問題を救う鍵として期待されている
- 2026年時点で原稿は第419話まで完成しており、レオリオのイラスト公開が今後の重要な活躍を示唆している
