『無職転生』では、序盤から「魔神ラプラス」という名前がたびたび登場します。
ルイジェルドが激しく憎んでいる人物であり、ペルギウスにとっても因縁の相手です。一方で「技神ラプラス」という別の存在も登場するため、「ラプラスは結局何者なの?」と分かりにくく感じるかもしれません。
結論からいうと、魔神ラプラスと技神ラプラスは、もともと一人だった「魔龍王ラプラス」が二つに分かれた存在です。
さらに元のラプラスは、初代龍神に仕えた五龍将の一人であり、後には二代目龍神としてヒトガミを倒すための力を研究していました。ところが第二次人魔大戦で魂を二つに割かれ、魔神と技神へ分裂します。
ここからは原作本編後半や『古龍の昔話』に関するネタバレを含みます。
無職転生のラプラスとは?正体は魔龍王ラプラスのなれの果て
『無職転生』で一般的に「ラプラス」と呼ばれている魔神ラプラスは、最初から人族を滅ぼそうとする魔神として生まれたわけではありません。
そのルーツをたどると、六面世界の古い歴史や龍神、そしてヒトガミとの戦いにまでつながります。
元のラプラスは魔族と龍族の血を引く存在
ラプラスの過去は、本編よりはるか昔を描いた『古龍の昔話』で詳しく語られています。
もともとのラプラスは魔族と龍族の血を引く存在で、龍界へ連れてこられた後に「ラプラス」と名付けられました。
その後は龍神のもとで成長し、働きを認められて「魔龍王」の称号を授けられます。さらに龍神直属の最高幹部にあたる五龍将の一人となりました。『古龍の昔話』でも、ラプラス自身が「半魔半龍」であることや、五龍将・魔龍王となった経緯が描かれています。
つまり、後世で恐れられる「魔神ラプラス」だけを見ると魔族の象徴のように見えますが、その正体は龍族の歴史にも深く関わる人物です。
魔龍王ラプラスは初代五龍将の生き残り
本編ではオルステッドが、魔神ラプラスについて「魔龍王ラプラスのなれの果て」であり、初代五龍将の生き残りだったとルーデウスへ説明しています。
龍界が崩壊した後もラプラスは生き残り、ある使命を背負って世界を放浪しました。
その使命こそ、ヒトガミを倒すことです。
二代目龍神としてヒトガミを倒す力を研究していた
龍界崩壊後のラプラスは二代目龍神となり、ヒトガミを倒すために術や戦闘技術を研究し続けました。
目的は、自分自身が最終的にヒトガミを倒すことだけではありません。
初代龍神の息子であり、未来へ送られたオルステッドへ最高の技術を受け渡すことも大きな使命でした。
現在のオルステッドが多彩な技術を持っている背景にも、長い年月をかけて龍神たちが積み上げてきた歴史があります。
元のラプラスは、ヒトガミの味方どころか、むしろヒトガミ打倒のために人生を費やしていた人物だったのです。
ラプラスが魔神と技神の2人に分かれた理由
「魔神ラプラス」と「技神ラプラス」が同時に存在するのは、名前が同じ別人だからではありません。
第二次人魔大戦で起きたある戦いによって、一人のラプラスが二つに分裂した結果です。
第二次人魔大戦で闘神に魂を割られた
転機となったのが第二次人魔大戦です。
オルステッドの説明によれば、ラプラスはこの戦争でヒトガミの使徒となった闘神と戦い、その魂を真っ二つに割かれました。
その結果、ラプラスは記憶を失いながら、
- 人の存在を憎む「魔神ラプラス」
- 神を倒そうとする「技神ラプラス」
という二つの存在へ分かれます。
ここを知っていると、「なぜラプラスがヒトガミ打倒を目指していたのに、人族を滅ぼす魔神になったのか」という疑問も理解しやすくなります。
魔神ラプラスは魔術と「人を殺す」という目的を残した
分裂後の魔神ラプラスは龍としての力を失った一方、膨大な魔術知識を残していました。
しかし、元のラプラスが持っていた記憶や使命は正常な形では残りません。
魔神ラプラスには「人を殺さなければならない」という目的が残り、それに従って人族を滅ぼすため魔族をまとめ上げていきます。
後世の人々が恐れる「魔神ラプラス」は、この分裂後のラプラスです。
技神ラプラスは技と「神を倒す」という目的を残した
もう一人の技神ラプラスは、逆に魔力を失いました。
その代わり、元のラプラスが蓄積してきた膨大な戦闘技術と、「神を倒すために技を伝える」という使命の一部を受け継いでいます。
そして技神ラプラスが作り出したのが、世界最強クラスの人物を示す七大列強です。
つまり、
魔神ラプラス=魔術と人への敵意が強く残った存在
技神ラプラス=技術と神を倒す使命が残った存在
と考えると分かりやすいでしょう。
どちらも元をたどれば同じ魔龍王ラプラスです。
魔神ラプラスは何をした?ラプラス戦役との関係
魔神ラプラスが歴史上で最も恐れられている理由が、約400年前に起きた「ラプラス戦役」です。
この戦争はルイジェルドやペルギウスの過去にも直結しており、現在の『無職転生』世界に大きな傷跡を残しています。
魔族をまとめて人族へ戦争を仕掛けた
魔神ラプラスは魔大陸の魔族をまとめ上げ、大きな勢力を築きました。
作中の歴史では、魔神ラプラスは強大な力を持つ魔族の指導者として人族を追い詰めていきます。
魔族側から見れば、ラプラスは魔族をまとめた英雄として語られる側面もあります。一方、人族側から見れば世界を滅亡寸前まで追い込んだ最大級の脅威です。
立場によってラプラスへの評価が大きく異なるのも、『無職転生』らしい世界観の一つです。
スペルド族を戦争へ利用した
魔神ラプラスと特に深い因縁を持つのが、ルイジェルドたちスペルド族です。
スペルド族の戦士団はもともとラプラスの精鋭部隊であり、ルイジェルドはそのリーダーでした。
ところがラプラス戦役の途中、ラプラスはスペルド族へ強大な力を与える特殊な槍を渡します。
槍を使った戦士たちは圧倒的な力を得ましたが、次第に精神を侵食され、敵味方の区別なく襲うようになってしまいます。
ルイジェルド自身も被害を受け、最終的には息子の犠牲によって正気を取り戻しました。
その後、スペルド族には「凶暴で危険な魔族」という悪評が残ります。ルイジェルドが長い年月をかけてスペルド族の名誉を取り戻そうとしている背景には、魔神ラプラスとのこの因縁があります。
魔神殺しの三英雄によって倒された
ラプラス戦役の最終局面では、人族側の英雄たちが魔神ラプラスの本陣へ突入します。
激戦の末に生き残ったのが、
- 龍神ウルペン
- 北神カールマン
- 甲龍王ペルギウス
の三人です。
後世では「魔神殺しの三英雄」と呼ばれています。
実際には魔神ラプラスを完全消滅させたわけではなく、戦いの末に打倒し、その肉体を封印することに成功しました。ルイジェルドも戦いへ介入し、ラプラスへの復讐を果たしています。
だからこそ、現在のペルギウスもラプラスに対して強烈な警戒心を持っています。
ラプラスは七大列強で何位?技神と魔神の両方が入っている
ラプラスが特殊なのは、七大列強に同じラプラスを起源とする存在が二人入っている点です。
技神ラプラスは七大列強の序列一位。
魔神ラプラスは序列四位に名を連ねています。
元の魔龍王ラプラスが二つに分かれ、その両方が世界最高峰の強者として扱われていることからも、本来のラプラスがどれほど規格外の存在だったのかが分かります。
ただし、七大列強の順位だけを単純な戦闘力ランキングとして考えると分かりにくい部分もあります。
技神ラプラスと魔神ラプラスでは失った能力も残った能力も異なるため、「元のラプラスをそのまま二分しただけ」と考えるより、別々の特性を持つ存在になったと捉えたほうが自然です。
ラプラス因子とは?ルーデウスやシルフィとの関係
ラプラスは過去の歴史だけに登場する人物ではありません。
ルーデウス自身の身体にも、「ラプラス因子」と呼ばれるものが存在しています。
これが、ラプラスが現在の物語とも深く結びついている理由の一つです。
ラプラス因子は未来に転生するための仕組み
魔神ラプラスは三英雄たちに敗れる前、古代龍族が使っていた転生法を利用しました。
転生法は、魂だけを未来へ送り、適合する肉体へ転生するための技術です。
ただし、魂と肉体が合わなければ正常に転生できません。
そこで「因子」を人々へ広げ、何世代もかけて少しずつ肉体を変化させ、最終的にラプラスの魂を受け入れられる器を作る仕組みが使われます。
魔神ラプラスも敗北前に因子を世界へ広げ、自分の魂を未来へ送りました。
ルーデウスとシルフィもラプラス因子を持っている
オルステッドは、ルーデウスとシルフィエットもラプラス因子を持っていると明かしています。
因子を持つ者には、
- 高い魔力や魔術の素質
- 緑色の髪
- 生まれつきの魔眼
など、ラプラスに似た特徴が表れる場合があります。
ルーデウスの身体が非常に大きな魔力を内包できることにもラプラス因子が関係しています。
ただし、現在の膨大な魔力量そのものがすべて因子のおかげというわけではありません。オルステッドも、幼少期から魔力を鍛え続けたルーデウス自身の努力による部分が大きいと説明しています。
ルーデウスやシルフィがラプラスになるわけではない
ラプラス因子を持っているからといって、その人物がそのまま魔神ラプラスになるわけではありません。
ルーデウスもオルステッドへ自分がラプラスなのか確認していますが、明確に否定されています。
シルフィについても同様です。
二人はあくまでラプラス因子を持つ人物であり、未来に転生するラプラス本人ではありません。
この違いは、ラプラス関連の設定を理解するうえでかなり重要です。
魔神ラプラスは復活する?本編より未来の戦争につながる
魔神ラプラスは400年前に倒されていますが、物語上は完全に終わった存在ではありません。
むしろ、ルーデウスが生きている時代より先に予定されている大きな戦いへつながる存在です。
本編中には復活していない
ルーデウスが歩む本編の時代では、魔神ラプラス本人はまだ復活していません。
オルステッドもルーデウスに対して「ラプラスが生まれるのはもう少し先」と説明しています。
つまり、ラプラスは本編後半で突然現れてルーデウスと最終決戦をするラスボスではありません。
ラプラスとの本格的な戦争は、さらに未来の出来事です。
約80~100年後のラプラス戦争に備えている
オルステッドが知る歴史では、将来ラプラスが復活し、再び大きな戦争が起きます。
ルーデウスもその事実を知り、自分が生きている間だけヒトガミと戦えばよいとは考えなくなります。
原作では、約80~100年後に起きるラプラスとの戦いを見据え、反ヒトガミ勢力や組織、人脈を残してオルステッドを支えることを人生の大きな目標の一つとしています。
プロジェクト内のファクトデータベースでも、ラプラスは「過去の大戦と未来に予定される大戦をつなぐ重要存在」と位置付けられています。
オルステッドにとってラプラス撃破はヒトガミ戦への前段階
オルステッドの最終目的はヒトガミを倒すことです。
しかし、そのためには未来のラプラスとの戦いを避けて通れません。
問題は、オルステッドがラプラスと全力で戦えば、大量の魔力を消耗してしまうことです。
ヒトガミ側からすれば、ラプラスをオルステッドへぶつけて消耗させれば、その後のヒトガミ戦を有利にできます。
そのためルーデウスは、オルステッド本人の消耗をできるだけ減らした状態でラプラスを倒せる戦力や仕組みを残そうとします。
ラプラスは単なる昔の悪役ではなく、ルーデウスが未来へ何を残すのかという本編後半のテーマにも直結している存在なのです。
ラプラスはヒトガミの味方ではない
ここまでの設定を見ると、「魔神ラプラスとヒトガミは同じ敵側なのでは?」と思うかもしれません。
しかし、元の魔龍王ラプラスは明確にヒトガミを倒すために行動していました。
二代目龍神として技を磨いていたのも、未来のオルステッドへ力を受け渡し、ヒトガミを倒すためです。
ところがヒトガミの使徒となった闘神との戦いで魂を分断された結果、使命も記憶も歪んだ状態で魔神ラプラスと技神ラプラスへ分かれてしまいました。
そのため、
「ヒトガミ陣営の魔神ラプラス」
という関係ではありません。
むしろ元のラプラスは反ヒトガミ側です。
ただし、復活した魔神ラプラスが大戦を起こせばオルステッドを消耗させられるため、結果的にその存在をヒトガミから利用され得るという複雑な位置にいます。
ラプラスは過去と未来をつなぐ『無職転生』の重要人物
ラプラスの正体をたどると、単なる「昔の魔王」のような存在ではないことが分かります。
もともとは魔族と龍族の血を引き、初代龍神に仕えた五龍将の一人「魔龍王ラプラス」でした。
龍界崩壊後は二代目龍神としてヒトガミ打倒の力を研究しますが、第二次人魔大戦で魂を割られ、「魔神ラプラス」と「技神ラプラス」に分裂します。
魔神ラプラスは後にラプラス戦役を起こし、スペルド族を巻き込みながら人族と戦った末、ウルペン、カールマン、ペルギウスらに倒されました。
一方の技神ラプラスは七大列強を生み出し、現在も序列一位として名を残しています。
さらに魔神ラプラスは転生法によって未来での復活を準備しており、その「ラプラス因子」はルーデウスやシルフィにも受け継がれています。
そして将来のラプラス復活と戦争への備えは、ルーデウスがオルステッドのために組織や仲間を残す理由にもつながります。
ラプラスとは、六面世界の過去、ヒトガミと龍神の因縁、ルーデウスの力、そして本編より先の未来を一本につなぐ存在です。
名前だけは物語序盤から登場しますが、その正体を知ると『無職転生』の世界全体が大きくつながって見えるキャラクターといえるでしょう。
