ハンターハンター パームのその後：蟻化と能力変化、衝撃の行方

ハンターハンターの中でも特に強烈な印象を残すキャラクター、パーム＝シベリア。

彼女のキメラアント編での変貌と、その後の動向は多くのファンが気になるところでしょう。

この記事では、「ハンターハンター パーム その後」というキーワードを軸に、パームの蟻化の経緯、念能力の変化、死亡説の真相、ゴンやビゼフとの関係性、そしてキメラアント編後の登場と役割について、詳細な情報と共に深く掘り下げていきます。

パームが元に戻ることはできたのか、蟻化後の彼女は敵だったのか味方だったのか、様々な疑問にもお答えします。

ハンターハンターのパーム、その後の衝撃的な変貌と活躍

パームのプロフィールと魅力、そして念能力の変化

パーム＝シベリアは、ハンター協会に所属するプロハンターであり、ノヴの弟子にあたります。

年齢は22歳（登場時）。

普段は不気味な雰囲気を漂わせ、髪で顔を隠し、ブツブツと独り言を呟く姿が特徴的ですが、ひとたびドレスアップすると誰もが息をのむほどの美女に変貌します。

このギャップこそが、彼女の魅力の一つと言えるでしょう。

性格は非常に感情的でヒステリックな一面もありますが、一度心を許した相手には非常に一途で献身的な愛情を注ぎます。

特に師であるノヴに対しては、盲目的なまでの好意を寄せていました。

また、ゴンとデートの約束をするなど、少女のような純粋な一面も持ち合わせています。

念能力の変化：人魚の水晶から黒き守護神へ

パームの念能力は、彼女の特異なキャラクター性と深く結びついています。

元々の念系統は強化系とされていますが、特筆すべきは彼女が使用していた「人魚のミイラの水晶玉」を用いた千里眼能力です。

これは、水晶玉に自らの血を捧げることで、視たい対象の現在地や状況を把握できるというものでした。

師であるノヴからは、その能力の特異性と危険性から、むやみな使用を禁じられていました。

この能力は、パーム自身の念能力というよりは、代々受け継がれてきた呪物的なアイテムの力と、それを起動するためのパームの特異な資質（血）が組み合わさったものと考えられています。

系統的には具現化系の能力に近い精度を発揮しますが、パーム自身が強化系であることから、この能力の行使には何らかの特殊な制約や背景があったと推測されます。

しかし、キメラアントへの蟻化という過酷な運命を辿る中で、彼女の念能力は劇的な変化を遂げます。

蟻として改造されたパームは、新たに2つの強力な念能力を発現させました。

一つは「暗黒の鬼婦神（ブラックウィドウ）」です。

これは、自身の毛髪を硬質化させ、全身を覆う黒い鎧のような姿に武装する能力です。

この状態のパームは、防御力が飛躍的に向上するだけでなく、強化された身体能力による直接打撃の威力も増大します。

特に、感情の昂ぶりに応じてその強靭さが増す描写があり、キルアをも圧倒するほどの戦闘能力を発揮しました。

もう一つは「淋しい深海魚（ウィンクブルー）」です。

これは、かつての水晶玉による千里眼能力が、蟻化によってパーム自身の身体と一体化したものです。

蟻化後のパームの額には水晶体のようなものが埋め込まれており、右目で直接見た対象を最大3人まで記憶し、左目だけでその対象を見ることで、彼らの現在の動向をリアルタイムで監視できます。

ただし、映像のみで音声は聞こえず、鳥瞰図のような視点になります。

この能力は、キメラアントの兵士として敵を追跡・監視するのに非常に有効な能力へと変化しました。

水晶玉という外部装置を必要としなくなった反面、監視対象の数に制限が設けられるなど、能力の特性にも変化が見られます。

このように、パームの念能力は、彼女の人生の大きな転換点である「蟻化」を経て、より戦闘的かつ自己完結的なものへと変貌を遂げたのです。

能力名	蟻化前/後	系統（推定含む）	効果概要	備考
水晶玉による千里眼	蟻化前	具現化系（道具）	水晶玉と血を使い、対象の現在地や状況を把握	ノヴに使用を制限されていた
暗黒の鬼婦神（ブラックウィドウ）	蟻化後	強化系	毛髪を硬質化させ全身を武装。防御力と打撃力向上	感情の高ぶりで強化。キルアを圧倒
淋しい深海魚（ウィンクブルー）	蟻化後	特質系？	右目で見た対象を記憶し左目で監視（最大3人）。映像のみ、音声なし、鳥瞰図。	額の水晶体と一体化。キメラアントとしての監視能力に適応された

パームがキメラアントに捕まった経緯と時期

パームがキメラアントに捕らえられ、その後の過酷な運命を辿ることになる経緯は、キメラアント討伐作戦の序盤に遡ります。

ネテロ会長率いる討伐隊は、キメラアントの王とその直属護衛軍を討伐するため、彼らが本拠地とする東ゴルトー共和国への潜入作戦を計画しました。

パームに与えられた任務は、その潜入作戦の先駆けとして、東ゴルトー共和国の宮殿内に潜入し、王と護衛軍の姿を直接視認することで、自身の千里眼能力（当時は水晶玉を使用）の発動条件を満たすことでした。

これは、討伐隊本隊が突入する前に、敵の正確な位置情報を把握し、作戦を有利に進めるための非常に重要な役割でした。

パームは、持ち前の美貌を活かし、東ゴルトー共和国の独裁者であるビゼフ長官に取り入る形で宮殿への潜入を試みます。

「シンカー・ベル」という偽名を使い、ビゼフの側近の一人として宮殿内部に入り込むことに成功しました。

しかし、宮殿内は既にキメラアントの高度な警戒態勢が敷かれており、特に王直属護衛軍の一角であるネフェルピトーやシャウアプフは、非常に高い索敵能力と警戒心を持っていました。

パームが宮殿に潜入してからしばらくの間、彼女からの連絡は途絶えます。

討伐隊の仲間たちは彼女の安否を気遣いますが、作戦遂行のためには前進するしかありませんでした。

後に明らかになるのは、パームが宮殿内で任務を遂行しようとしていたところを、ネフェルピトーとシャウアプフによって発見され、捕らえられてしまったという事実です。

時期としては、原作の年表などから推測すると、ハンター協会暦で2000年の7月下旬頃とされています。

捕らえられたパームは、キメラアントの有用な兵士へと改造されることになります。

彼女は機密保持のために自害を試みますが、それすらもピトーによって阻止され、生きたまま改造用の繭に入れられてしまいました。

この捕獲と改造が、パームの人生を大きく狂わせ、彼女のその後に深い影響を与えることになるのです。

ハンターハンターにおけるパームの蟻化と姿の変化

キメラアントの王直属護衛軍であるネフェルピトーとシャウアプフに捕らえられたパームは、彼らの手によってキメラアントの兵士へと改造されてしまいます。

この「蟻化」と呼ばれるプロセスは、人間の姿形だけでなく、精神や記憶にも大きな影響を及ぼすものでした。

ピトーの念能力「玩具修理者（ドクターブライス）」によって施された改造は、パームをより戦闘に特化した存在へと作り変えることを目的としていました。

改造が完了し、繭から現れたパームの姿は、以前の彼女とは似ても似つかない、異形の戦士そのものでした。

まず外見的な変化として最も顕著なのは、頭部です。

額には大きな水晶体のようなものが埋め込まれ、これが新たな監視能力「淋しい深海魚（ウィンクブルー）」の媒体となります。

髪の毛は黒く硬質化し、全身を覆うほどの長さと量に変化。

これが後に攻防一体の能力「暗黒の鬼婦神（ブラックウィドウ）」の元となります。

手足の先端は鋭く尖り、魚の鱗のようなもので覆われ、人間離れした印象を強く与えます。

肌の色も浅黒く変化し、全体的に黒を基調とした、硬質で禍々しい姿へと変貌しました。

この姿は、かつてのパームの面影をほとんど残しておらず、初めて彼女の蟻化後の姿を見た者は、それがパーム本人であると認識することすら困難なほどでした。

精神面においても、蟻化は深刻な影響を及ぼしました。

ピトーの改造は、パームの記憶と感情を結びつける回路を意図的に破壊したとされています。

これにより、パームは人間としての感情や過去の記憶との繋がりが希薄になり、キメラアントの兵士としての本能や命令に忠実な存在へと変えられてしまいました。

ただし、完全に記憶が消去されたわけではなく、断片的な記憶や特定の人物に対する強い感情（例えば、ゴンに対する執着心など）は残存していたようです。

この不完全な記憶と歪んだ感情が、後の彼女の行動に複雑な影響を与えることになります。

蟻化によってパームが得たものは、強大な戦闘能力と新たな念能力でしたが、その代償として人間としての姿と、正常な精神状態の多くを失うことになったのです。

この悲劇的な変貌は、パームというキャラクターの過酷な運命を象徴する出来事と言えるでしょう。

蟻化後のパームは敵だったのか？味方だったのか？

蟻化によって異形の戦士へと変貌したパーム。

その変わり果てた姿と、キメラアントの兵士としての改造は、彼女が討伐隊にとって敵となるのか、それとも味方であり続けるのか、という重大な問いを投げかけました。

結論から言えば、蟻化直後のパームは討伐隊にとって明確な「敵」として立ちはだかりました。

ネフェルピトーによる脳改造は、パームの記憶と感情の回路を破壊し、キメラアントとしての忠誠心を植え付けることを目的としていました。

そのため、パームはかつての仲間であるキルアと遭遇した際、彼を敵と認識し、新たに得た強力な念能力「暗黒の鬼婦神（ブラックウィドウ）」を駆使して襲いかかります。

その戦闘能力は凄まじく、卓越した体術と強化された攻撃力で、キルアを一方的に追い詰めるほどでした。

この時のパームには、かつての仲間に対する情や、人間としての理性はほとんど見られず、ただただ破壊衝動と敵意に支配されているかのように見えました。

彼女の変わり果てた姿と容赦のない攻撃は、キルアに深い衝撃と悲しみを与えます。

しかし、この絶望的な状況の中で、事態は予期せぬ方向へと転換します。

パームの猛攻を受けながらも、キルアはゴンへの想いを吐露し、涙を流します。

「ゴンは苦しんでる！！尊敬する人を無惨に変えられて！！」「だから必ず……最初にあいつの名前を呼んでくれ。“ゴン”って……！！」

このキルアの魂からの叫びと、偽りのない涙は、パームの心の奥深くに残っていた人間としての感情を揺り動かしました。

ゴンの名を呼び、涙を流すキルアの姿を見たパームは、攻撃の手を止め、次第に正気を取り戻していきます。

破壊されたはずの記憶と感情の回路が、キルアの純粋な想いによって奇跡的に繋ぎ止められた瞬間でした。

正気を取り戻したパームは、その後、討伐隊に協力する道を選びます。

彼女は自身の監視能力「淋しい深海魚（ウィンクブルー）」を用いて、王メルエムの動向を探り、討伐隊に重要な情報をもたらしました。

特に、メルエムがコムギという人間の少女と深く関わっていることを察知し、コムギを保護・監視することで、間接的に王の行動に影響を与えようとします。

最終的には、メルエムとコムギの最期を静かに見守り、その死を看取るという、キメラアント編の終幕において非常に重要な役割を担いました。

このように、蟻化後のパームは、一時は敵として討伐隊の前に現れましたが、キルアの献身的な呼びかけによって人間としての心を取り戻し、最終的には討伐隊の協力者として、物語の終結に不可欠な存在となったのです。

彼女の変転は、人間性の強さと、人と人との繋がりの奇跡を象徴していると言えるでしょう。

ハンターハンターのパームは死亡したのか？

ハンターハンターの物語、特に過酷な展開が続くキメラアント編においては、多くのキャラクターが命を落としました。

パーム＝シベリアもまた、キメラアントに捕らえられ、人体改造を施されるという壮絶な経験をしたため、彼女の生死について心配する読者は少なくありません。

結論から申し上げますと、パームはキメラアント編を生き延びており、死亡していません。

一部の古い情報サイトやファンの間では、パームが死亡したという誤った情報が流布していた時期もありましたが、原作漫画の描写を追っていくと、彼女が生存していることは明確です。

パームはキメラアントに改造された後、一時は敵としてキルアと交戦しますが、キルアの涙ながらの説得によって人間としての意識を取り戻します。

その後は討伐隊に協力し、自身の監視能力「淋しい深海魚（ウィンクブルー）」を駆使して、王メルエムやコムギの動向を監視するという重要な役割を担いました。

物語のクライマックスでは、貧者の薔薇の毒によって衰弱していくメルエムと、彼に寄り添い続けるコムギの最期の瞬間を、パームは自身の能力を通して一人静かに見届けています。

このシーンは、キメラアント編の悲しくも美しい結末を象徴する場面であり、パームがその目撃者であったことは非常に大きな意味を持ちます。

王とコムギが息を引き取った後も、パームは生存しており、キメラアント編の騒乱が終結した後、他の生存者たちと共に宮殿を後にしています。

さらに、その後の会長選挙編においても、パームは登場しています。

このことからも、彼女が死亡していないことは明らかです。

キメラアント編での彼女の経験は、肉体的にも精神的にも計り知れないほど過酷なものでしたが、それを乗り越えて生き延びたパームは、人間としての強さを示すキャラクターの一人と言えるでしょう。

死亡説が流れた背景には、物語の初期の段階での情報不足や、彼女のあまりにも悲惨な境遇からくる憶測などが考えられますが、原作を追う限り、パーム＝シベリアはハンターハンターの世界で生き続けています。

ハンターハンターのパーム、その後の人間関係と再登場

パームとゴンの関係性とその後の気になる行方

パームとゴンの関係性は、ハンターハンターの物語において、非常に特殊で興味深いものです。

物語の初期、パームはゴンに対して強い好意を抱いていました。

ノヴの弟子であるパームは、ゴンがキメラアント討伐作戦に参加するための条件として、ゴンとデートをすることを要求します。

ゴンはその約束を受け入れ、二人は実際にデートをすることになります。

このデートを通じて、パームはゴンの純粋さや優しさに触れ、彼に対する想いを一層深めていったように見えました。

しかし、その直後にパームはキメラアントに捕らえられ、蟻化してしまうという悲劇に見舞われます。

この出来事は、二人の関係性に大きな断絶をもたらしました。

ゴンは、パームが変わり果てた姿になったことを知り、深い悲しみと怒りを覚えます。

彼がネフェルピトーに対して異常なまでの憎悪を燃やし、最終的に自身を強制的に成長させてまで戦った背景には、カイトを殺されたことへの復讐心だけでなく、パームを無惨に変えられたことへの怒りも含まれていたと考えられます。

一方、蟻化されたパームもまた、ゴンのことを完全に忘れてはいませんでした。

キルアの呼びかけによって正気を取り戻した際、彼女の口からゴンの名が出たことからも、ゴンへの想いが心の奥底に残っていたことがうかがえます。

キメラアント編の終盤では、パームは自身の能力でメルエムとコムギの最期を看取りますが、この時、ゴンはピトーとの戦いで瀕死の重傷を負い、意識不明の状態でした。

そのため、キメラアント編の騒乱が終結した時点では、ゴンとパームが直接再会し、お互いの想いを確かめ合うような場面はありませんでした。

気になるその後の行方ですが、会長選挙編において、パームは再び登場します。

この時、パームは瀕死のゴンを救うために奔走するキルアたちの前に現れ、彼らに協力します。

ゴンがアルカの能力によって奇跡的に回復した後、パームとゴンがどのような会話を交わしたのか、具体的な描写は多くありません。

しかし、パームがゴンのために行動したという事実は、彼女の中にゴンへの特別な想いが依然として存在していることを示唆しています。

ただ、蟻化という壮絶な経験を経たパームの心境は複雑であり、以前のような純粋な恋愛感情とは異なる、より深い絆や庇護欲のような感情に変化している可能性も考えられます。

また、ゴン自身も過酷な戦いを経て成長しており、パームに対する認識も変化しているかもしれません。

現状、二人の関係性が今後どのように進展していくのかは未知数です。

しかし、パームにとってゴンが依然として大切な存在であること、そしてゴンもまたパームの献身を理解しているであろうことから、二人の間には特別な繋がりが続いていくと予想されます。

今後の物語で、彼らの関係性が再びクローズアップされる日が来るのか、多くのファンが注目しているポイントの一つです。

ビゼフとパームの関係がその後に与えた影響とは

ビゼフとパームの関係は、パームがキメラアントの宮殿に潜入する上で極めて重要な役割を果たしましたが、同時に彼女の精神に大きな負担を強いたものでもありました。

ビゼフは、東ゴルトー共和国の長官であり、極度の好色家として知られる人物です。

パームは、宮殿内部の情報を得るという危険な任務を遂行するため、自身の美貌を利用してビゼフに接近し、彼の側近（という名目の愛人候補）の一人として取り入ることに成功します。

この潜入作戦において、パームはビゼフの欲望の対象となることを受け入れなければなりませんでした。

普段の彼女からは想像もつかないような妖艶な姿でビゼフに媚を売り、彼の機嫌を取りながら情報を収集しようとします。

この時のパームの心理描写は詳細には描かれていませんが、彼女が本来持つ潔癖さや、師であるノヴへの一途な想いを考えると、この任務が彼女にとってどれほど屈辱的で精神的に追い詰められるものであったかは想像に難くありません。

ビゼフ自身は、パームの正体や真の目的には全く気づいておらず、ただ彼女の美貌に夢中になっているだけでした。

彼はパーム（偽名シンカー・ベル）を自身のコレクションの一つとして扱い、他の多くの女性たちと同様に側に置こうとします。

パームは、そのようなビゼフの態度に嫌悪感を抱きつつも、任務遂行のためには感情を押し殺し、彼に仕え続けなければなりませんでした。

このビゼフとの関係が、パームのその後に直接的にどのような影響を与えたかについては、明確な描写は少ないです。

しかし、いくつかの点で考察することができます。

一つは、彼女の人間不信や男性に対する警戒心を強めた可能性です。

ビゼフのような自己中心的で欲望に忠実な人間と密接に関わった経験は、パームの精神に深い傷を残したかもしれません。

もう一つは、目的のためには手段を選ばないという、ハンターとしての非情さや覚悟をより強固にした可能性です。

どれほど屈辱的な状況であっても、任務を優先し、感情をコントロールしようと努めた経験は、彼女を精神的に鍛え上げたとも考えられます。

また、この潜入任務の最中にキメラアントに捕らえられ、蟻化するという悲劇に見舞われたことを考えると、ビゼフとの関係は、彼女が過酷な運命に巻き込まれる直接的なきっかけの一つであったと言えます。

もし、ビゼフに取り入るという手段を選ばなければ、彼女の運命はまた違ったものになっていたかもしれません。

総じて、ビゼフとパームの関係は、物語の進行上必要なものでありながら、パームにとっては多大な精神的犠牲を強いるものでした。

この経験が、彼女の後の行動や性格形成にどのような形で昇華されていくのか、あるいはトラウマとして残るのかは、今後の物語の展開次第と言えるでしょう。

キメラアント編後のパームの登場と役割

キメラアント編という長大で過酷な物語を生き延びたパーム＝シベリアですが、その後の物語、具体的には会長選挙編においても、彼女は重要な役割を担って再登場します。

キメラアント編の終結後、ハンター協会はネテロ会長の死去に伴い、新たな会長を選出するための選挙を行うことになります。

この会長選挙編の裏では、キメラアント編でネフェルピトーとの死闘の末、瀕死の重傷を負ったゴンの治療が大きな焦点となっていました。

パームは、このゴンの治療と救出において、重要な役割を果たします。

彼女は、キルアがゴンを救うために、ゾルディック家の禁断の力を持つ妹（弟）、アルカを連れ出そうとする危険な旅に同行し、彼らをサポートします。

この時のパームは、かつてのヒステリックな面は影を潜め、冷静かつ献身的にキルアとアルカを見守り、助ける姿が描かれています。

蟻化後の特徴である額の水晶体や一部変化した外見は残っているものの、精神的には人間としての落ち着きと強さを取り戻しているように見えます。

特に、イルミの執拗な追跡からキルアとアルカを守るため、自身の能力を駆使してイルミの動向を監視し、的確な情報を提供することで、キルアたちの危機を何度も救いました。

この時の彼女の行動原理は、明確に「ゴンのため」であり、かつてゴンと交わしたデートの約束や、ゴンが示してくれた優しさに対する恩返し、そしてゴンへの深い愛情が根底にあることがうかがえます。

会長選挙編におけるパームの役割は、戦闘員として前線に立つことよりも、むしろ後方支援や情報収集、そして仲間たちの精神的な支えとなることでした。

彼女の持つ監視能力「淋しい深海魚（ウィンクブルー）」は、敵の追跡や状況把握において非常に有効であり、キルアの作戦遂行に大きく貢献しました。

また、過酷な運命を乗り越えてきた彼女の存在そのものが、困難に立ち向かう仲間たちにとって、ある種の希望や勇気を与えていたのかもしれません。

会長選挙編の終盤、ゴンの治療が成功し、彼が回復した際には、パームもその場に居合わせ、ゴンの無事な姿に安堵の表情を見せています。

この再登場によって、パームがキメラアント編を生き延びただけでなく、その後も仲間たちとの絆を大切にし、ゴンのために尽力する意志を持っていることが明確に示されました。

キメラアント編後のパームは、かつての不安定さを乗り越え、より成熟したハンターとして、そしてゴンを想う一人の女性として、物語の中で確かな存在感を示しているのです。

ハンターハンターのパームは元に戻ることができたのか？

パーム＝シベリアがキメラアントに改造された後、彼女が完全に元の人間としての姿に戻ることができたのかどうかは、多くのファンが気にするポイントです。

結論から言うと、パームは「完全に蟻化前の姿に戻った」わけではありませんが、「人間としての意識と精神性は取り戻し、ある程度人間らしい姿に近づいた」と解釈するのが最も適切でしょう。

蟻化直後のパームは、額に大きな水晶体、手足は鱗で覆われ、肌の色も浅黒く、全体的に人間離れした異形の姿でした。

この姿は、ネフェルピトーによる改造の結果であり、キメラアントの兵士としての機能性を優先したデザインと言えます。

しかし、物語が進むにつれて、特に会長選挙編で再登場した際のパームの姿には、いくつかの変化が見られます。

まず、精神面においては、キルアの涙によって人間としての感情と記憶の多くを取り戻し、キメラアントとしての凶暴性や命令への絶対服従といった側面はほぼ見られなくなりました。

彼女は仲間を思いやり、ゴンのために献身的に行動するなど、人間らしい豊かな感情を示すようになります。

外見に関しても、蟻化直後の禍々しい印象は薄れ、より人間的な特徴が前面に出ています。

例えば、髪型や服装は人間時のものに近くなり、表情も豊かになっています。

ただし、蟻化の影響が完全に消え去ったわけではありません。

HUNTER×HUNTERのファンサイトや考察をまとめた情報によると、会長選挙編のパームは、額に蟻化の名残である小さな角（または触角のようなもの）があり、瞳の色も人間時とは異なるなど、キメラアントとしての特徴が一部残っているとされています。

これは、彼女が経験した過酷な運命を象徴する痕跡であり、完全に「元通り」になったわけではないことを示唆しています。

つまり、パームは精神的にはほぼ人間としての自分を取り戻しましたが、肉体的にはキメラアントとしての特徴を一部残した、人間とキメラアントの中間的な存在、あるいは「元人間でキメラアントの特性を持つ者」として描かれていると考えられます。

「人間としての姿に戻ることができた」という表現は、主に精神的な回復と、社会生活を送る上で支障のない程度に人間的な外見を取り戻したことを指すと考えられます。

彼女が完全に蟻化前の美しい人間の姿に戻ったのか、それともある程度の異形性を残したままなのかは、今後の物語でより明確に描かれる可能性もありますが、現状では「一部の特徴を残しつつも、人間としてのアイデンティティを取り戻した」と理解するのが妥当でしょう。

この変化は、彼女が経験した苦難を乗り越え、新たな自分として生きている証とも言えます。

ハンターハンターのパーム、その後の総合的な考察

パーム＝シベリアというキャラクターは、ハンターハンターの物語全体を通して見ても、非常に特異で、かつ重要な存在と言えます。

彼女の「その後」を考察する上で、いくつかの重要な側面が浮かび上がってきます。

第一に、パームの物語は「変容と再生」のテーマを色濃く反映しています。

普段の不気味な姿から、ドレスアップによる美女への変貌。

そして何よりも、人間からキメラアントへの「蟻化」という劇的な肉体的・精神的変容。

これらの変化は、彼女が常に不安定で、極端な状況に置かれやすいキャラクターであることを示しています。

しかし、最も重要なのは、彼女がその過酷な変容を経験しながらも、最終的には人間としての心を取り戻し、仲間たちのために行動するまでに「再生」を遂げたという点です。

これは、ハンターハンターという作品が持つ、人間の強さや絆の力を描こうとするテーマとも共鳴します。

第二に、パームは「愛と献身」を象徴するキャラクターでもあります。

師であるノヴへの盲信的なまでの愛情、ゴンへの純粋な好意、そしてキルアの涙に応えて正気を取り戻し、ゴンのために尽力する姿。

彼女の行動原理の根底には、常に誰かへの強い想いがあります。

その愛は時にヒステリックで一方的な形を取ることもありましたが、キメラアント編を経て、より成熟し、他者を支える献身的な愛情へと昇華されたように見受けられます。

特に会長選挙編での彼女の行動は、ゴンへの深い愛情と仲間への信頼に裏打ちされたものでした。

第三に、パームの存在は、キメラアント編における「人間と蟻の境界線」というテーマを問いかける上で重要な役割を果たしました。

人間でありながら蟻に改造され、一時は人間としてのアイデンティティを失いかけながらも、最終的には人間としての心を取り戻す。

彼女の姿は、姿形が変わろうとも、あるいは異質な存在に変わろうとも、その内にある「人間性」とは何かを読者に問いかけます。

また、蟻の王メルエムがコムギとの交流を通じて人間的な感情を学んでいったことと対比して考えると、パームの物語は人間側からの視点で、異質な存在との関わりや自己の変容を描いていると言えるでしょう。

その後のパームについて考えると、会長選挙編での活躍以降、物語の本編にはまだ明確な再登場はありません（2024年5月時点での情報に基づく）。

しかし、彼女がゴンの仲間として、そして強力な念能力者として存在していることは確かです。

暗黒大陸への渡航など、今後の展開で彼女の能力や経験が必要とされる場面が来る可能性は十分に考えられます。

特に、彼女の持つ監視能力「淋しい深海魚（ウィンクブルー）」や、戦闘能力「暗黒の鬼婦神（ブラックウィドウ）」は、未知の脅威に満ちた暗黒大陸の探索において、非常に有用なものとなるでしょう。

パーム＝シベリアは、その強烈な個性と数奇な運命によって、多くの読者の記憶に残るキャラクターとなりました。

彼女の「その後」は、ハンターハンターの物語が続く限り、常に注目されるポイントであり続けるでしょう。

彼女が今後どのような形で物語に関わってくるのか、そしてどのような成長を見せてくれるのか、期待は尽きません。

まとめ：ハンターハンターパームその後の軌跡と魅力