『スティール・ボール・ラン』はジョジョじゃない？その理由と最高傑作の真相

『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの中でも、ひときわ異彩を放ち、「最高傑作」との呼び声も高い第7部『スティール・ボール・ラン』。

しかし、その一方で「これはジョジョじゃない」という声が聞かれることも少なくありません。

物語の世界観が一新され、これまでのシリーズとは全く異なる舞台で展開されるため、戸惑いを覚える方もいるでしょう。

この記事では、なぜ『スティール・ボール・ラン』が「ジョジョじゃない」と言われるのか、その理由を深く掘り下げていきます。

あわせて、物語が「どこから面白くなるのか」、あるいは「つまらない」と感じるポイント、そしてファン待望の「アニメ化」に関する情報や、作中に登場する「最強キャラ」の議論まで、あらゆる角度から作品の魅力を徹底的に解説します。

この記事を読み終える頃には、『スティール・ボール・ラン』が持つ真の価値と、なぜ多くのファンを惹きつけてやまないのか、その答えがきっと見つかるはずです。

スティール・ボール・ランが「ジョジョじゃない」と言われる理由

スティール・ボール・ランはどんな話？

『スティール・ボール・ラン』（以下、SBR）は、19世紀末のアメリカを舞台に繰り広げられる、壮大な大陸横断レースの物語です。

物語の時代は1890年。

アメリカのサンディエゴからニューヨークまで、約6,000kmの過酷な道のりを馬で横断する、史上最大級のレース「スティール・ボール・ラン」が開催されます。

このレースには、莫大な優勝賞金5000万ドル（現在の価値で約60億円）を求め、世界中から多くの猛者たちが集結しました。

しかし、この物語は単なるレース漫画ではありません。

物語の裏では、レースの主催者が隠した「聖なる遺体」を巡る、激しい争奪戦が繰り広げられていきます。

主人公たちは、それぞれの目的のためにレースに参加する中で、この「聖なる遺体」が持つ奇跡の力と、それを狙う大統領の巨大な陰謀に巻き込まれてしまうのです。

SBRは、手に汗握るレース展開、予測不能なサスペンス、そして「スタンド」と呼ばれる特殊能力を駆使した能力バトルが融合した、非常に重層的な作品です。

友情、裏切り、それぞれの正義がぶつかり合う人間ドラマが、広大なアメリカの大地を舞台に描かれています。

ジョジョ7部の主人公は誰なのか

『スティール・ボール・ラン』の物語を牽引するのは、ジョニィ・ジョースターとジャイロ・ツェペリという二人の主人公です。

この物語は、彼ら二人の視点を中心に進み、二人の出会いと奇妙な友情、そしてそれぞれの過酷な運命に立ち向かう成長が、物語の絶対的な核となっています。

ジョニィ・ジョースター

一人目の主人公は、ジョニィ・ジョースター。

かつては競馬界の頂点にいた天才騎手でしたが、ある事件によって下半身不随となり、絶望の淵にいました。

しかし、レース参加者であるジャイロ・ツェペリが操る不思議な「鉄球」の技術に触れたことで、自身の脚にわずかな感覚が戻るという奇跡を体験します。

彼は、その謎を解明し、再び歩くという希望を胸に、ジャイロを追いかけて過酷な大陸横断レースに参加することを決意します。

物語当初は非常に利己的で、目的のためなら手段を選ばない冷徹さを持っていますが、ジャイロとの旅を通じて人間的に大きく成長していく姿が描かれます。

ジャイロ・ツェペリ

もう一人の主人公が、ジャイロ・ツェペリです。

彼は、ネアポリス王国で代々法務官を務める「ツェペリ家」の一員であり、「鉄球」を操る不思議な技術の伝承者でもあります。

彼がレースに参加する目的は、自国で不当に死刑を宣告された少年の恩赦を勝ち取るため。

陽気で自信家に見えますが、その内には固い信念と優しさを秘めています。

彼の持つ「鉄球の回転技術」は、物語の鍵を握る重要な要素であり、ジョニィに希望を与えるきっかけとなりました。

この二人がいかにして出会い、利害関係を超えた固い絆で結ばれた相棒となっていくのか。

それこそが、SBRの最も大きな見どころの一つと言えるでしょう。

スティールボールランが最高傑作と評される訳

『スティール・ボール・ラン』がシリーズ最高傑作と多くのファンから評されるのには、いくつかの明確な理由があります。

それは、これまでの「ジョジョ」シリーズが持つ魅力を継承しながらも、青年漫画としての深みを増し、物語の新たな地平を切り開いた点に集約されるでしょう。

第一に、キャラクターが織りなす重厚な人間ドラマが挙げられます。

主人公であるジョニィは、全てを失った「マイナス」の状態から物語をスタートします。

彼がジャイロと出会い、様々な敵との死闘を経て、人間として再生していく「マイナスからプラスへ」向かう物語は、読者に強烈なカタルシスを与えます。

また、敵キャラクターにも単純な「悪」ではない、それぞれの信念や正義が存在します。

特にラスボスであるファニー・ヴァレンタイン大統領は、自らの行いを「愛国心」と信じて疑わない、非常に魅力的な悪役として描かれており、物語に圧倒的な深みを与えているのです。

第二に、緻密に計算されたストーリーラインです。

単なる能力バトルに終始せず、アメリカ大陸横断レースという大きな縦軸と、「聖なる遺体」を巡る謎解きという横軸が見事に絡み合っています。

伏線が巧みに張り巡らされ、それが回収されていく様は圧巻の一言です。

そして、芸術の域に達したと評される作画も、最高傑作と言われる大きな要因です。

作者である荒木飛呂彦先生の画力はSBRで一つの頂点を迎え、キャラクターの表情から広大な自然の風景まで、全てが美麗かつ迫力満点に描かれています。

これらの要素が奇跡的なバランスで融合した結果、『スティール・ボール・ラン』は唯一無二の傑作として、多くの読者の心に刻まれているのです。

スティールボールランはつまらないという意見も

最高傑作との評価が高い一方で、『スティール・ボール・ラン』に対して「つまらない」「分かりにくい」と感じる読者がいるのも事実です。

そのように感じられる主な理由は、これまでのシリーズからの大きな作風の変化や、物語の持つ複雑さに起因しています。

まず、最も大きな要因として、世界観が完全にリセットされた点が挙げられます。

第1部から第6部まで続いてきたDIOとジョースター家の血の因縁の物語がSBRでは一旦途切れ、全く新しいパラレルワールドでの物語が始まります。

長年のファンであればあるほど、この設定変更に戸惑い、「これは自分の知っているジョジョではない」と感じてしまうことがあるようです。

次に、スタンド能力の難解化も理由の一つです。

SBRに登場するスタンド能力は、より概念的で複雑なものが増えました。

例えば、ラスボスのスタンド「D4C」が持つ「隣のパラレルワールドへ行く」能力や、主人公ジョニィの最終的な能力「タスクACT4」の「無限の回転」など、その効果を直感的に理解するのが難しいと感じる読者も少なくありません。

また、物語序盤の展開が比較的スローペースであることも指摘されます。

壮大な大陸横断レースが淡々と進んでいくため、物語の核心である「聖なる遺体」の争奪戦が本格化するまでは、退屈に感じてしまう可能性もあるでしょう。

主人公ジョニィの性格も、最初は共感しにくいかもしれません。

彼は目的のためなら他者を蹴落とすことも厭わない利己的な人物として描かれており、従来のジャンプ漫画的な主人公像とは一線を画します。

これらの要素が、一部の読者にとってSBRを楽しむ上でのハードルとなっていると考えられます。

スティールボールランはどこからが面白い？

「SBRは序盤が退屈」という意見がある一方で、多くの読者は「ある時点から面白さが爆発する」と口を揃えます。

では、その転換点は一体どこなのでしょうか。

結論から言うと、物語が大きく動き出し、面白さが加速するのは、コミックスで言うと4巻あたりに収録されている「ブンブーン一家」との戦いからです。

このエピソードを境に、物語の様相は大きく変化します。

それまでの1巻から3巻は、主に大陸横断レースの紹介と、ジョニィやジャイロをはじめとする主要キャラクターたちの登場、そして彼らがレースに参加する動機を描くことに費やされています。

もちろん、この序盤にも見どころはありますが、物語の全体像が見えにくく、やや淡々と進む印象は否めません。

しかし、「ブンブーン一家」との戦いで、初めて「聖なる遺体」を巡る直接的な争奪戦が勃発します。

ここから、物語は単なる「レース」から「遺体を奪い合うサバイバル」へとその本性を現し始めるのです。

ジャイロとジョニィは、この戦いを通じて初めて本格的に共闘し、二人の間に相棒としての絆が芽生え始めます。

そして、彼らの目的も「レースに勝つ」ことから「遺体を手に入れる」ことへと明確にシフトしていきます。

この転換点を皮切りに、物語のテンポは一気に上昇。

「真の男の世界」を説くリンゴォ・ロードアゲインとの決闘や、最大の敵であるヴァレンタイン大統領の本格的な登場など、SBRのテーマ性を象徴するような名シーンが次々と展開されていきます。

もし序盤で読むのをやめようか迷っている方がいれば、ぜひこの4巻の転換点まで読み進めてみることを強くおすすめします。

スティール・ボール・ランはジョジョじゃない？深掘りとアニメ化

7部で最強のキャラは一体誰なのか

『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズにおいて、「最強キャラ」の議論は常にファンの間で白熱するテーマですが、SBRにおいてもその例外ではありません。

作中には多種多様なスタンド使いが登場しますが、最強の座を巡る議論は、主に主人公の「ジョニィ・ジョースター」と、ラスボスである「ファニー・ヴァレンタイン大統領」の二人に絞られるでしょう。

両者の能力は他のキャラクターとは一線を画しており、まさに「最強の矛」と「最強の盾」と呼ぶにふさわしいものです。

キャラクター	スタンド名	能力の概要	強さの理由
ジョニィ・ジョースター	タスク ACT4	無限の回転エネルギーを操る能力	・一度捉えた標的を、次元の壁をも超えて永遠に追尾し続ける絶対的な攻撃力。<br>・攻撃を受けた者は、細胞レベルで無限に回転し続け、完全に再起不能となる。<br>・因果律にさえ干渉するとされる、究極の「矛」。
ファニー・ヴァレンタイン	D4C -ラブトレイン-	あらゆる「不幸」を異次元に受け流し、世界の誰かに押し付ける能力	・自身に向けられた攻撃や害意といった「不幸」を、光の隙間に閉じ込めて無効化する絶対的な防御力。<br>・自分以外の全世界の人間を「不幸」の身代わりにできる、極めて理不尽な「盾」。

ジョニィの「タスクACT4」は、一度発動すれば回避不能であり、確実に相手を仕留めることができる必殺の攻撃能力です。

その威力は、時を止める能力でさえ突破不可能とされています。

一方、ヴァレンタイン大統領の「D4C -ラブトレイン-」は、あらゆる攻撃を無効化する完璧な防御能力です。

自分に降りかかる全ての災厄を他人に押し付けることができるため、理論上は無敵と言えます。

作中の最終決戦では、この「最強の矛」と「最強の盾」が激突しました。

どちらが真に最強かと問われれば、状況や条件によって結論は変わるため、一概には言えません。

しかし、この二人の能力がSBRの世界において突出した存在であることは、ファンの間でも共通の認識となっています。

ジョジョ7部のアニメ化は不可能と言われた過去

長年にわたり、『スティール・ボール・ラン』のアニメ化は、多くのファンにとって悲願でありながら、「不可能」あるいは「極めて困難」であると言われ続けてきました。

その理由は、原作が持つ特異性と、アニメーションで表現する上での技術的なハードルの高さにあります。

最大の課題とされてきたのが、作画コストが非常に高い「馬」の描写です。

SBRは、物語の最初から最後まで馬が登場し、広大なアメリカ大陸を疾走するシーンが頻繁に描かれます。

この躍動感あふれる馬の動きを、手描きのアニメーションで全編にわたって高品質に維持することは、予算や制作スケジュールを考えると現実的ではありませんでした。

かといって、CGで馬を描く場合も、原作が持つ生物的な質感や迫力を損なわずに表現するのは非常に難しく、安っぽく見えてしまうリスクが常に付きまといます。

また、原作の複雑な能力バトルを映像でどう表現するかも大きな課題でした。

特に、ファニー・ヴァレンタイン大統領のスタンド「D4C」が持つ、パラレルワールド間を自在に行き来する能力や、空間が歪むような描写を、視聴者に分かりやすく、かつスタイリッシュに見せるには高度な演出力が求められます。

さらに、SBRで円熟期に達した荒木飛呂彦先生の芸術的な画風、独特のコマ割り、そして「メメタァ」に代表される擬音の表現など、原作の持つ唯一無二の雰囲気をアニメで再現することも、制作サイドにとっては大きなプレッシャーとなっていたはずです。

これらの理由から、「SBRのアニメ化は夢物語ではないか」と、多くのファンが半ば諦めにも似た気持ちを抱いていた時期がありました。

ついにスティールボールランのアニメ化が決定

不可能とまで言われたSBRのアニメ化ですが、その常識を覆し、ついにファン待望のアニメ化が決定したという知らせは、世界中のファンを熱狂させました。

（※2025年6月現在、公式からの正式なアニメ化発表はありません。本項目は、ファンの期待と、もしアニメ化が決定した場合に想定される状況を基に構成しています。）

この「アニメ化決定」の背景には、これまでの『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズのアニメ制作で培われてきた技術の進化と、制作陣の並々ならぬ情熱があると考えられます。

特に、第6部『ストーンオーシャン』までのアニメ化を担当してきたdavid production（デイヴィッドプロダクション）は、原作への深いリスペクトと高い再現度で、ファンから絶大な信頼を得ています。

彼らであれば、SBRの持つ高いハードルを乗り越えてくれるのではないかという期待が寄せられています。

もしアニメ化が実現した場合、最大の課題であった「馬の描写」には、最新のCG技術が積極的に活用されることが予想されます。

手描きの作画と高品質なCGを違和感なく融合させる技術は年々向上しており、原作の迫力を損なわないレースシーンの実現も、もはや夢物語ではありません。

まだ多くは謎に包まれていますが、これまでのシリーズで示されてきた制作陣の実績を考えれば、SBRのアニメ化は、原作の魅力を最大限に引き出した、歴史に残る作品になる可能性を秘めていると言えるでしょう。

ファンの長年の夢が現実となる日を、今は静かに待ちたいところです。

これから放送のスティールボールランのアニメ情報

前述の通り、SBRのアニメ化はまだ正式に発表されたわけではありませんが、ファンの間では既に様々な情報や憶測が飛び交い、期待が日に日に高まっています。

ここでは、もしアニメ化が実現した場合に考えられる、放送時期やキャストなどの情報について考察してみましょう。

放送時期

これまでのジョジョシリーズのアニメは、およそ1年半から2年の間隔で制作・放送されてきました。

第6部『ストーンオーシャン』の最終話が配信されたのが2022年12月であることを考えると、もしSBRが制作されているならば、放送開始は2025年から2026年あたりになるのではないかと予想するファンが多いようです。

キャスト予想

声優陣も注目の的です。

特に二人の主人公、ジョニィとジャイロを誰が演じるのかは、最大の関心事と言えます。

ゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 オールスターバトルR』では、ジョニィ・ジョースター役を梶裕貴さん、ジャイロ・ツェペリ役を濱野大輝さんが演じ、ファンから高い評価を得ました。

アニメでもこのキャストが続投する可能性は十分に考えられます。

一方で、アニメ化にあたってキャストが一新されるのもジョジョシリーズの通例であり、全く新しいサプライズキャスティングが行われる可能性も否定できません。

注目ポイント

ファンが特に注目しているのは、原作の膨大なストーリーをどのように構成するかという点です。

SBRはコミックスで全24巻と、これまでのシリーズと比較しても長大な物語です。

これを分割4クール（約1年間）で放送するのか、あるいは劇場版を挟むなどの新しい形式が取られるのか、その構成方法は作品の出来を大きく左右するでしょう。

いずれにせよ、公式からの「吉報」が待たれる状況であり、どのような形であれ、動くジョニィとジャイロの姿を見られる日を世界中のファンが心待ちにしています。

ジョジョ7部のアニメはひどい出来になる？

SBRのアニメ化に対する期待は計り知れないほど大きいですが、その一方で、「期待外れのひどい出来になるのではないか」という不安の声が根強く存在することも事実です。

この不安は、原作への愛情が深いからこそ生まれるものであり、主に三つの懸念点に集約されます。

第一の懸念は、やはり「馬の作画」です。

前述の通り、馬の描写はSBRのアニメ化における最大の壁です。

もしここのクオリティが低い、例えば安っぽいCGで表現されてしまった場合、作品の魅力であるレースシーンの疾走感や迫力が大きく損なわれかねません。

「馬がカクカク動いていたらどうしよう」という不安は、多くのファンが共有しているものでしょう。

第二の懸念は、「ストーリーの大幅なカット」です。

SBRは、メインストーリーはもちろん、脇道に逸れたようなエピソードや、キャラクター間の何気ない会話にも、作品のテーマ性や魅力が凝縮されています。

しかし、限られた放送時間に収めるために、これらの重要な部分がカットされてしまうのではないかという心配があります。

特に、SBRの持つ独特の乾いた空気感や哲学的な問答は、セリフ一つ一つが重要であり、安易な省略は作品の価値を下げてしまいかねません。

第三の懸念は、「原作の雰囲気の再現度」です。

荒木飛呂彦先生の芸術的な画風、独特な色彩感覚、静と動が入り混じる緊張感など、SBRが持つアートのような雰囲気を、果たしてアニメで完全に再現できるのか。

過剰な演出や、原作のイメージと異なる色彩設計などが、作品の世界観を壊してしまうことを恐れる声もあります。

しかし、これらの不安がある一方で、制作会社david productionがこれまでに見せてきた「ジョジョ愛」と高い技術力への信頼もまた、非常に厚いものです。

彼らならば、きっとファンの不安を乗り越え、期待を上回るクオリティの作品を届けてくれるはずだと、多くの人が信じています。

まとめ：スティール・ボール・ランはジョジョじゃない？その答えと魅力