『呪術廻戦』の物語が進む中で、多くの読者が衝撃を受けた展開の一つが、主要キャラクターである伏黒恵の身に起きた出来事ではないでしょうか。
物語の序盤から主人公・虎杖悠仁の重要な仲間として描かれてきた彼が、なぜ呪いの王・両面宿儺に乗っ取られることになったのか。
その後の伏黒はどうなったのか、そして最強の呪術師・五条悟との戦いの行方など、気になる点は尽きません。
この記事では、宿儺が伏黒に受肉した理由から、散りばめられた伏線、そして二人の関係が迎えた衝撃的な結末まで、原作の情報を基に徹底的に解説していきます。
伏黒は宿儺にどうなった?受肉から死闘までの経緯
宿儺が伏黒に受肉したのは漫画の何話?
伏黒恵が両面宿儺に乗っ取られるという衝撃的な出来事は、単行本24巻に収録されている原作漫画の第212話「膿む」で描かれました。
このエピソードは、物語の大きな転換点である「死滅回游」編の佳境で発生します。
理由として、この時の伏黒は精神的に極めて追い詰められた状況にありました。
具体的には、長年救いたいと願ってきた義理の姉・伏黒津美紀が、実は過去の術師「万(よろず)」に受肉させられていたという絶望的な事実を突きつけられます。
姉を救うという最大の目的が目の前で崩れ去り、混乱と絶望の淵にいた伏黒。
宿儺は、虎杖悠仁の小指をもぎ取ると、その精神的な隙を的確に突いて伏黒に飲み込ませ、受肉を強制的に敢行しました。
虎杖の体を器としていた時とは異なり、伏黒の肉体を得た宿儺は、その顔や体に禍々しい紋様を浮かび上がらせ、完全な支配を宣言します。
この瞬間、味方であった伏黒恵が、最悪の敵として仲間たちの前に立ちはだかることになったのです。
アニメではまだこの場面は放送されていませんが、今後のシーズンで描かれることは確実であり、ファンにとっては最も注目されるシーンの一つと言えるでしょう。
宿儺が伏黒に受肉したのはなぜ?その理由
宿儺が虎杖悠仁という都合の良い器を捨ててまで、伏黒恵の肉体を欲した最大の理由は、伏黒が受け継いだ術式「十種影法術(とくさのかげぼうじゅつ)」のポテンシャルにありました。
この術式は、十種類の式神を使役する強力なものですが、宿儺が特に注目したのは、その中でも最強と謳われる式神「八握剣・異戒神将・魔虚羅(やつかのつるぎ・いかいしんしょう・まこら)」の存在です。
魔虚羅は、あらゆる事象に適応する能力を持っています。
一度受けた攻撃や術式を解析し、二度目以降はそれを無効化、さらにはその性質を利用して反撃することさえ可能です。
過去には、五条家の無下限呪術と禪院家の十種影法術の当主同士の御前試合で、魔虚羅が五条家の当主を打ち破ったという記録も残されています。
宿儺にとって、現代最強の術師である五条悟を倒す上で、この魔虚羅の「適応能力」は喉から手が出るほど欲しい力でした。
虎杖の体を器にしていた時から、宿儺は伏黒の術式の可能性に気づいており、「宝の持ち腐れだな」と評するなど、たびたび興味を示していました。
つまり、宿儺は伏黒を単なる器としてではなく、五条悟を攻略し、自身の完全復活を成し遂げるための「切り札」として見ていたのです。
伏黒自身の意思では到底調伏できない魔虚羅を、宿儺の力で完全に手懐け、自身の術式と組み合わせる。
これが、宿儺が伏黒の肉体を乗っ取った真の目的でした。
宿儺が伏黒に受肉したその後の壮絶な展開
伏黒恵の肉体を乗っ取った宿儺は、その支配を盤石なものにするため、そして来るべき戦いに備えるため、立て続けに恐ろしい行動を起こします。
受肉直後、宿儺がまず行ったのは、伏黒の魂を肉体の奥底へ完全に沈めるための儀式「浴(よく)」でした。
これは、大量の呪いを浴びることで、肉体と魂の馴染みを良くし、器の所有者である伏黒の抵抗力を奪うためのものでした。
この儀式により、伏黒の魂は絶望の淵へと追いやられていきます。
しかし、宿儺の非道な行いはそれだけでは終わりませんでした。
宿儺は、伏黒の精神を完全に破壊するため、最も残酷な手段を選びます。
それは、伏黒自身の術式である十種影法術を使って、彼の目の前で義理の姉・津美紀(に受肉していた古代の術師・万)を殺害させることでした。
自分の手で、たった一人の家族を殺めてしまったという耐え難い現実は、伏黒の生きる意志を根底から打ち砕きます。
「もういいんだ」と、伏黒の魂は完全に沈黙し、宿儺は肉体の完全な主導権を握ることに成功しました。
その後、宿儺は高専の術師たち、特に虎杖悠仁や真希を圧倒的な力で退け、来るべき五条悟との決戦に備えて姿を消します。
この一連の出来事は、伏黒恵というキャラクターにとって、そして物語全体にとっても、最も暗く悲劇的な展開の一つとして読者に強烈な印象を残しました。
伏黒宿儺と五条悟の歴史的な死闘
伏黒の肉体と術式を完全に手に入れた宿儺と、封印から解放された現代最強の呪術師・五条悟。
二人の戦いは、「人外魔境新宿決戦」として、まさに歴史に残る死闘となりました。
この戦いの最大の焦点は、互いの領域展開の応酬でした。
領域の押し合いと魔虚羅の活用
ターン | 五条悟の行動 | 宿儺(伏黒)の行動 | 戦況 |
序盤 | 領域展開「無量空処」を発動 | 領域展開「伏魔御厨子」で対抗 | 領域の押し合いが発生。内側から五条の領域を破壊し、引き分けに持ち込む。 |
中盤 | 領域のサイズを極端に小さくし、強度を上げる戦術に | 領域展延や伏黒の術式で対応 | 五条が優勢に進めるも、宿儺は魔虚羅を影に潜ませ、無量空処の必中効果に「適応」を進めさせる。 |
終盤 | 「無量空処」で宿儺を捉えることに成功 | 魔虚羅が適応を完了し、無量空処を破壊 | 宿儺は一時的に戦闘不能になるも、五条も大きなダメージを負う。 |
五条は持ち前のセンスと術式解釈で宿儺を追い詰めますが、宿儺の狙いは別にありました。
宿儺は、伏黒の十種影法術の切り札である魔虚羅を影に潜ませ、五条の必中効果である「無量空処」に静かに適応させていたのです。
そして、ついに魔虚羅は無量空処への適応を完了。
宿儺は致命的なダメージを負いながらも、五条の領域を破ることに成功します。
世界を断つ斬撃による決着
勝負が決まったのは、領域展開の激しい攻防の後でした。
魔虚羅は、無量空処という「不可侵」の術式に適応する過程で、その術式対象を術師個人から、空間そのもの、存在そのものにまで拡張する能力を獲得していました。
宿儺はその能力を即座に理解し、自身の斬撃に応用します。
そして放たれたのが、対象が存在する「世界」そのものを断ち切るという、規格外の斬撃でした。
五条悟の無下限呪術は、自身に到達するものを無限の空間で止める能力ですが、世界そのものを斬られては防ぎようがありません。
この一撃により、五条悟の上半身と下半身は完全に切断され、現代最強の呪術師は、宿儺の前に敗れ、死亡するという衝撃的な結末を迎えました。
伏黒は宿儺にどうなった?伏線と最終的な結末
伏黒が宿儺に乗っ取られるまでの伏線とは
伏黒恵が宿儺に乗っ取られるという衝撃の展開は、決して唐突に起きたわけではなく、物語の初期段階から数多くの伏線が巧妙に張り巡らされていました。
これらの伏線を辿ることで、作者が計画的に二人の関係性を描いてきたことがわかります。
最も初期の伏線は、物語序盤の少年院での任務中です。
虎杖に宿儺が初めて代わった際、宿儺は伏黒を見て「面白いモノが見れるぞ」と意味深な言葉を発します。
この時点ですでに、宿儺は伏黒の内に秘められた「十種影法術」のポテンシャルに気づき、興味を抱いていたことが示唆されています。
そして、最も決定的だった伏線が「渋谷事変」での出来事です。
伏黒は格上の相手との戦闘で、調伏の儀式を行い魔虚羅を暴走させ、自身も戦闘不能の仮死状態に陥ってしまいます。
そこに現れた宿儺は、本来であれば放置してもよいはずの伏黒を、わざわざ反転術式で治療して命を救いました。
その際、「死ぬな オマエにはやってもらわねばならんことがある」と明確に告げています。
このセリフは、宿儺が伏黒を生かし、いずれその術式を利用するという明確な目的を持っていたことの何よりの証拠です。
他にも、単行本第1巻の表紙で伏黒の背後に描かれた式神・蝦蟇の額の模様が宿儺の紋様に酷似しているなど、視覚的な伏線も指摘されており、二人の運命的な関係は初期から暗示されていたと言えるでしょう。
伏黒はなぜ宿儺への耐性がなかったのか
「なぜ虎杖悠仁は宿儺を抑え込めたのに、伏黒恵は簡単に乗っ取られてしまったのか」という疑問は、多くの読者が抱くところです。
この違いの答えは、二人の生まれと資質に根本的な差があったからです。
結論から言うと、虎杖悠仁は「宿儺の器」として、極めて特殊な存在でした。
物語の終盤で明らかになりますが、虎杖の母親は、他人の肉体を乗っ取る術式を持つ呪術師・羂索(けんじゃく)であり、虎杖は宿儺を抑え込むための強靭な器として、意図的に生み出された存在だったのです。
1000年間誰も宿すことができなかった宿儺の魂を、自我を保ったまま宿せるという事実は、虎杖が「1000年に1人の逸材」であることを示しています。
一方、伏黒恵は呪術界の御三家である禪院家の血を引くエリートであり、素晴らしい術式を受け継いでいますが、肉体や精神はあくまで「人間」の範疇でした。
特に、伏黒は精神的な脆さを抱えていました。
親に捨てられたという生い立ちから自己肯定感が低く、「不平等に人を助ける」という信念を持ちながらも、心のどこかで自分を犠牲にすることを厭わない危うさがありました。
宿儺は、この伏黒の「自己犠牲の精神」や「姉・津美紀への強い依存心」といった精神的な弱点を的確に見抜き、姉の死という絶望的な状況を利用して、彼の心の壁を破壊しました。
つまり、虎杖の耐性が「規格外の奇跡」であったのに対し、伏黒が抵抗できなかったのは、人間として当然の弱さを持っていたからだと言えます。
宿儺が伏黒をお姫様抱っこしたシーンの意図
ファンの間で「お姫様抱っこ」として有名なこのシーンは、前述の通り「渋谷事変」において、仮死状態になった伏黒を宿儺が抱え上げて救出した場面を指します(原作第118話~119話、アニメでは第41話)。
この行動の意図は、単なる気まぐれや慈悲ではなく、「自身の計画に必要不可欠な駒を生かしておく」という極めて利己的で明確な目的があったと考えられます。
この時、伏黒は格上の敵である陀艮との戦闘、そしてその後の特級呪霊・呪胎九相図の長男である脹相との戦いを経て、最終的には自暴自棄に近い形で最強の式神・魔虚羅を暴走させました。
その結果、伏黒自身も戦闘に巻き込まれ、命を落とす寸前の状態に陥ります。
宿儺はこの状況を察知すると、虎杖の体から主導権を奪い、暴走する魔虚羅を圧倒的な力で破壊します。
そして、倒れている伏黒を抱え上げ、反転術式を用いて治療しました。
ここで重要なのは、宿儺が「死ぬなよ」と語りかけている点です。
これは、伏黒恵という術師個人に価値を見出しているのではなく、彼が持つ「十種影法術」、とりわけ魔虚羅という切り札に利用価値を見出していたことの現れです。
この時点で宿儺は、いずれ伏黒の肉体を奪い、その術式を自身のものにするという計画を描いていた可能性が非常に高いです。
ファンの間で「お姫様抱っこ」という愛称で呼ばれるのは、敵対関係にあるはずの二人の間に生まれた、歪でありながらも強烈な執着を感じさせる象徴的なシーンだからでしょう。
この出来事は、後の受肉展開を予感させる、物語の大きなターニングポイントでした。
伏黒vs宿儺の戦いの衝撃的な結末
伏黒の肉体を巡る戦いは、最終的に高専術師たちの総力戦の末、衝撃的ながらも希望の見える結末を迎えました。
結論として、宿儺は伏黒の肉体から引き剥がされて敗北し、伏黒恵は無事に生還を果たします。
五条悟を失った後、高専の術師たちは一丸となって宿儺に立ち向かいます。
しかし、宿儺の力は圧倒的であり、多くの術師が倒れていきました。
一方、肉体の奥底に沈んでいた伏黒の魂は、完全に消滅したわけではありませんでした。
宿儺の力が弱まる瞬間を狙って、伏黒の魂が抵抗を見せ、宿儺の指に傷がつくなどの形で、その存在を示唆していました。
転機となったのは、主人公・虎杖悠仁の不屈の精神です。
一度は「もういいんだ」と生きることを諦めかけた伏黒に対し、虎杖は「オマエがいないと俺が困る」「助けたことを後悔させんな」と魂の底から叫び続けます。
この言葉が伏黒の心に届き、彼は再び生きることを選択。
内側から宿儺のコントロールを乱し始めます。
そして最終決戦において、虎杖と仲間たちは、伏黒の魂と共鳴するかのように連携し、ついに宿儺を伏黒の肉体から完全に分離させることに成功しました。
呪いの王・宿儺は、器を失い弱体化したところを討たれ、長きにわたる戦いは終結します。
伏黒は仲間たちの元へ無事に戻り、多くの犠牲を払いながらも、五条亡き後の呪術界を仲間と共に歩んでいく未来が示唆されて、物語は幕を閉じました。
まとめ:伏黒は宿儺にどうなったのか、その全てを徹底解説
- 宿儺は伏黒の「十種影法術」目当てに受肉した
- 受肉したのは漫画第212話、死滅回游の最中である
- 受肉後、伏黒の精神を折るため姉(の受肉体)を殺させた
- 伏黒の体を得た宿儺は五条悟との死闘に勝利した
- 五条攻略の決め手は魔虚羅の能力を応用した「世界を断つ斬撃」であった
- 渋谷事変で伏黒を助けたことなどが受肉への伏線となっていた
- 虎杖と違い、伏黒には宿儺を抑える特別な耐性はなかった
- 精神的な脆さを突かれたことが受肉を許した最大の要因である
- 一度は絶望したが、虎杖の言葉で再起し、魂の抵抗を見せた
- 最終的に宿儺は敗北し、伏黒は無事に体を取り戻し生還した