鬼滅の刃の作画は変わった？すごいと言われる理由と変化を比較解説

社会現象を巻き起こしたアニメ『鬼滅の刃』。

その魅力の一つとして、多くのファンが挙げるのがufotableによる圧倒的な「作画」のクオリティです。

しかし、シリーズが「竈門炭治郎 立志編」から「柱稽古編」へと進むにつれて、「作画が変わった？」「キャラクターの顔が違う気がする」といった声も聞かれるようになりました。

特に、キャラクターの目が大きくなった、まつ毛の表現が変わったなど、細かな変化に気づく視聴者も少なくありません。

この記事では、アニメ『鬼滅の刃』の作画は本当に変わったのか、時系列での比較を交えながらその変化の理由を徹底解説します。

「作画がすごい」と絶賛される秘密から、一部で囁かれる「作画崩壊」の真相、そして制作会社の体制まで、気になる疑問にすべてお答えします。

鬼滅の刃の作画は変わった？時系列での比較と変化の理由

鬼滅の刃の作画を時系列で比較

結論から言うと、アニメ『鬼滅の刃』の作画は、シリーズを重ねるごとに「変わった」と言えます。

ただし、これはクオリティが低下した「劣化」ではなく、作品の進化に伴う「変化」と捉えるのが適切です。

長期にわたるアニメシリーズでは、キャラクターデザインを担当するアニメーターの絵柄が時間と共に変化したり、各編のストーリーや雰囲気に合わせて意図的に表現方法を調整したりすることは珍しくありません。

各編ごとの作画スタイルの変化

• 竈門炭治郎 立志編（1期）
  原作漫画の連載初期の絵柄を尊重しつつ、アニメーションとして非常に丁寧に洗練させたスタイルが特徴です。キャラクターは比較的童顔で、顔のパーツがやや下寄りに配置されているため、おでこが広く見える独特のバランスがありました。この時期の作画は、後のシリーズと比較するとシンプルですが、原作の持つ儚さや力強さを見事に表現しています。
• 無限列車編・遊郭編
  劇場版を経て、戦闘シーンの迫力やダイナミックさが格段にアップしました。キャラクターの表情もより豊かになり、色彩も鮮やかさを増しています。特に遊郭編では、夜の街のきらびやかさと、上弦の鬼との激しい戦闘が、ufotableの技術力の高さを改めて証明しました。
• 刀鍛冶の里編・柱稽古編
  この頃から、作画の変化を指摘する声が顕著になります。特に女性キャラクターのまつ毛の描き込みが格段に増え、目のハイライトが大きく描かれるようになりました。これにより、キャラクターがより華やかで、キラキラとした印象を受ける一方で、一部の視聴者からは「ケバくなった」「目が大きすぎる」といった意見も出るようになります。顔の輪郭もシャープになり、キャラクターの印象が初期とは異なって見えます。

このように、シリーズを通して作画スタイルは一貫しているわけではなく、少しずつ変化を続けているのです。

柱稽古編で「作画が変わった」と言われる点

『鬼滅の刃 柱稽古編』では、これまでのシリーズ以上に「作画が変わった」という声が多く聞かれました。

その変化は、主にキャラクターの顔の描き方に集中しています。

まつ毛の表現

最も顕著な変化として挙げられるのが、まつ毛の描き方です。
以前のシリーズに比べて、一本一本が太く、長く、そして数も多く描かれるようになりました。
特にカナヲやしのぶといった女性キャラクターにおいてこの傾向が強く、ファンからは「まつ毛がバサバサになった」「トゲのように見える」といった感想が寄せられています。
これにより、キャラクターの目元が非常に強調され、以前の繊細な印象とは異なる、より華美な雰囲気になっています。

目と顔のバランス

まつ毛と同時に、目の大きさや黒目の描き方も変化しています。
ハイライトが大きく、複数入れられるようになったことで、キャラクターの瞳が常に潤んでいるように見えます。
また、一部のファンからは「目と目の距離が近くなった」「寄り目に見える」という指摘もあります。
これは、顔の輪郭がよりシャープに、顎のラインが細く描かれるようになったことと相まって、顔全体のパーツバランスが初期とは変わったように感じられる一因と考えられます。

色彩の鮮やかさ

色彩設計も、柱稽古編ではより鮮やかでコントラストの強い方向へと変化しています。
キャラクターの髪や瞳、衣装の色が以前よりも明るく、ポップな印象を与えるため、全体的に雰囲気が変わったと感じる視聴者もいました。

これらの変化は、キャラクターの感情表現をより豊かに見せるための意図的な演出である可能性や、長年同じキャラクターを描き続けてきたアニメーターの「手癖」がより強く表れた結果である可能性が考えられます。

「目が大きい」と言われるのは作画の変化？

「鬼滅の刃のキャラクターは目が大きい」という印象は、シリーズを通して多くの人が感じることですが、特に最近のシリーズでその傾向が強まったと感じるようです。

これは、作画スタイルの変化が大きく影響しています。

まず前提として、原作者である吾峠呼世晴先生の描くキャラクターは、もともと目が大きく、瞳の中に複雑な模様が描かれているのが特徴です。
アニメ制作を担当するufotableは、この原作の魅力を最大限にリスペクトし、アニメーションに落とし込んでいます。

その上で、シリーズを重ねるごとに、アニメならではの表現が加わってきました。
特に「刀鍛冶の里編」以降は、

• 瞳の中のハイライト（光の反射）が大きく、数も多くなった
• まつ毛の量が増え、太く長く強調されるようになった
• 黒目の輪郭線がはっきりした

これらの変化により、キャラクターの「目力」が格段に増し、結果として「目がさらに大きくなった」と感じられるのです。

この表現は、キャラクターの感情や生命力を豊かに見せる効果がある一方で、一部では「デフォルメが強すぎる」「顔のバランスに違和感がある」といった意見を生む要因にもなっています。
作画の変化は、常に全ての視聴者に受け入れられるわけではなく、好みが分かれる部分と言えるでしょう。

原作の絵が下手すぎると言われる真相

アニメの圧倒的なクオリティから『鬼滅の刃』に触れたファンが、後から原作漫画を読むと「絵が下手すぎない？」と感じてしまうケースが少なくありません。

しかし、これは一概に「下手」と断じることはできず、むしろ吾峠呼世晴先生の持つ「独特の味」や「表現力」と捉えるべきでしょう。

なぜ「下手」に見えるのか？

• ufotableとのギャップ：アニメの作画があまりにも美麗で整っているため、それと比較してしまうと、原作の荒削りな部分が目立ってしまうのは仕方のないことです。
• 連載初期の絵柄：どんな漫画家にも言えることですが、連載初期は絵柄がまだ固まっておらず、デッサンが不安定に見えることがあります。『鬼滅の刃』も例外ではなく、特に序盤はキャラクターの顔つきが安定しない場面も見られます。
• 独特のデフォルメ：吾峠先生の絵は、リアルなデッサンよりも、キャラクターの感情や勢いを表現するための独特なデフォルメが特徴です。これが、整った絵を見慣れた人には「崩れている」ように見えてしまうことがあります。

原作の絵の魅力

一方で、原作の絵にはアニメにはない唯一無二の魅力があります。
力強い筆致で描かれる戦闘シーンの迫力、ギャグシーンで見せる可愛らしいデフォルメ顔、そしてキャラクターの心の機微を繊細に映し出す表情の豊かさは、多くの読者の心を掴んで離しません。

「下手」という評価はあくまで主観的なものであり、その個性的な絵柄こそが『鬼滅の刃』という作品の魂を形作っている重要な要素なのです。

鬼滅の刃の作画は変わった？「すごい」と「崩壊」の真相

「鬼滅の刃の作画はすごい」と絶賛される理由

『鬼滅の刃』が「神作画」と称賛される理由は、制作会社ufotableの圧倒的な技術力と、作品に対する並々ならぬこだわりが生み出す、他の追随を許さない映像クオリティにあります。

作画と3DCGの完璧な融合

ufotableの真骨頂は、手描きの作画と3DCGを違和感なく融合させるハイブリッドな映像表現です。
例えば、炭治郎が放つ「水の呼吸」は、葛飾北斎の浮世絵を彷彿とさせる美しい波の表現が特徴ですが、これは水のうねりを作画で、しぶきなどの細かい部分をCGで描くことで実現されています。
この技術により、ダイナミックでありながらも芸術的な戦闘シーンが生み出されているのです。

息をのむほどの美麗な背景美術

キャラクターだけでなく、背景美術の描き込みも尋常ではありません。
光の差し込む森、きらびやかな夜の遊郭、不気味な那田蜘蛛山など、細部まで徹底的に描かれた背景が、作品の世界観に圧倒的な深みとリアリティを与えています。

卓越した撮影技術

作画やCG素材を最終的な映像に仕上げる「撮影」の技術も非常に高いレベルにあります。
炎の揺らめき、空気の歪み、降り注ぐ光の粒子といったエフェクトを巧みに加えることで、映像に臨場感と奥行きを生み出しています。
特に第19話「ヒノカミ」で見せた炎の表現は、多くの視聴者に衝撃を与えました。

原作への深いリスペクト

ufotableは、原作の印象的なコマや構図を非常に大切にしています。
原作ファンが「見たかった」シーンを忠実に再現しつつ、アニメならではのダイナミックなカメラワークや演出を加えることで、ファンの期待を遥かに超える映像体験を提供し続けているのです。

これらの要素が高次元で組み合わさることで、『鬼滅の刃』の「神作画」は生まれています。

なぜ鬼滅の刃に作画崩壊がないのか？

TVアニメ、特に長期シリーズにおいて、一部の話数で作画のクオリティが低下する「作画崩壊」は珍しいことではありません。

しかし、『鬼滅の刃』においては、そうした明らかなクオリティの低下がほとんど見られません。

その理由は、制作会社ufotableが採用している特殊な制作体制にあります。

徹底した社内制作と品質管理

一般的なTVアニメ制作では、話数ごとに制作作業を外部のスタジオに委託する「グロス請け」が行われることが多く、これが作画クオリティのばらつきを生む一因となります。
しかし、ufotableは脚本から作画、CG、撮影、編集に至るまで、制作工程のほぼ全てを自社スタッフで完結させています。
これにより、作品全体のクオリティを高いレベルで統一することが可能になっています。

総作画監督による絵柄の統一

さらに、キャラクターデザインを担当する松島晃氏が、全話数で「総作画監督」を務めています。
各話数にはそれぞれ作画監督がいますが、最終的に総作画監督である松島氏が全てのカットをチェックし、キャラクターの表情やデザインに修正を入れることで、シリーズを通して絵柄の一貫性を保っています。
この徹底した品質管理体制が、「作画崩壊」を防ぐ大きな要因となっているのです。

潤沢な制作リソース

『鬼滅の刃』は、アニプレックス、集英社、ufotableの3社のみで製作委員会を組んでおり、潤沢な予算と十分な制作期間が確保されています。
放送が始まるかなり前から制作に着手することで、スケジュールに余裕が生まれ、クオリティを追求する時間が生まれます。

これらの理由から、『鬼滅の刃』はTVシリーズでありながら、常に劇場版レベルの作画クオリティを維持し続けているのです。

遊郭編の作画崩壊は本当？神作画の裏側

「鬼滅の刃 遊郭編 作画崩壊」というキーワードが検索されることがありますが、これは全くの誤解です。

実際には、「遊郭編」の作画は崩壊どころか、TVアニメの歴史においても最高峰と絶賛されるほどのクオリティを誇ります。

特に、第10話「絶対諦めない」で描かれた音柱・宇髄天元と上弦の陸・妓夫太郎の死闘は、多くの視聴者に衝撃を与え、「神回」として語り継がれています。

では、なぜ「作画崩壊」という言葉が検索されてしまうのでしょうか。

一つ考えられるのは、あまりの作画の凄まじさに「これは本当にTVアニメなのか？」「作画が崩壊している（良い意味で）」といった、驚きや称賛の意味で使われた言葉が広まった可能性です。

また、人気作品であるがゆえに、注目を集めるためのアンチ的な検索が存在することも考えられます。

遊郭編10話の「神作画」の裏側

この伝説的な回は、ufotableが誇るトップクラスのアニメーターたちの技術の結晶です。

• 目まぐるしいカメラワーク：キャラクターの視点や俯瞰など、3DCGで構築された遊郭の街を縦横無尽に駆け巡るカメラワーク。
• 圧倒的なエフェクト：宇髄の斬撃、妓夫太郎の血鎌、爆発の閃光などが画面を埋め尽くし、凄まじい情報量が視聴者を圧倒します。
• 鬼気迫るキャラクターの表情：極限状態の中、死力を尽くして戦うキャラクターたちの表情が、非常に緻密に描かれています。

このクオリティを実現するためには、膨大な時間と労力、そして何よりアニメーターたちの卓越した技術と情熱が注がれています。

「遊郭編」の作画は、「崩壊」とは正反対の「頂点」と言うべきものであり、アニメ史に残る映像体験を提供してくれたのです。

作画監督や制作会社は変わったのか？

結論として、アニメ『鬼滅の刃』の主要な制作スタッフは、第1期「竈門炭治郎 立志編」から最新の「柱稽古編」に至るまで、一切変更されていません。

役職	担当者
制作会社	ufotable（ユーフォーテーブル）
監督	外崎 春雄（そとざき はるお）
キャラクターデザイン・総作画監督	松島 晃（まつしま あきら）

「作画が変わった」と感じられるのは、前述した通り、長期シリーズを制作する中での自然な絵柄の変化や、各編の演出意図に合わせたスタイルの調整によるものです。

制作陣が交代したわけではありません。

むしろ、ufotableという会社は、一つの作品に対して同じスタッフが継続して関わり続けることで、チームの練度を高め、クオリティを維持・向上させていく制作スタイルを特徴としています。

監督の外崎春雄氏、キャラクターデザインの松島晃氏を中心とした盤石のチーム体制こそが、『鬼滅の刃』という作品が常に最高品質のアニメーションであり続ける最大の理由なのです。

まとめ：鬼滅の刃の作画は「変わった」が「崩壊」ではない