キングダム合従軍の史実を徹底解説!漫画との違いや敗因とは

人気漫画『キングダム』の中でも、最大級のスケールで描かれる「合従軍編」。

秦国の存亡を賭けた激闘に、手に汗握った方も多いのではないでしょうか。

作中では、趙の天才軍師・李牧が発案し、楚・趙・魏・韓・燕の五カ国が連合して秦に攻め込むという絶望的な状況が描かれています。

この記事では、「キングダムで描かれた合従軍は史実なのか?」という疑問に答えるとともに、史実の記録と漫画の描写の違い、そしてなぜ合従軍は敗北したのか、その背景までを専門的な視点から徹底的に解説します。

史実を知ることで、キングダムの世界をより深く楽しめるようになるでしょう。

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目次

キングダムの合従軍は史実?漫画と史実の5つの大きな違いを解説

結論:合従軍は実話だが、記録は非常に少ない

結論から言うと、キングダムで描かれた合従軍の戦いは、紀元前241年に実際に起こった出来事(史実)です。

しかし、その戦いの詳細を記した歴史的資料は非常に少なく、司馬遷の『史記』などにわずか数行の記述が残されているに過ぎません。

そのため、漫画で描かれているドラマチックな展開や各武将の活躍の多くは、作者である原泰久先生の創作によるものです。

史実の断片的な記録から、あれだけ壮大な物語を構築した想像力は見事というほかありません。

違い① 発案者は本当に李牧だったのか?

キングダムでは、趙の三大天・李牧が合従軍の発案者として中心的な役割を担っています。

しかし、史実の記録において、李牧がこの合従軍を発案したり、全体を指揮したりしたという記述は存在しません。

『史記』の記録では、楚の考烈王が盟主(合従長)となり、宰相の春申君が実質的な指揮を執ったとされています。

李牧の名前は出てきませんが、趙の将軍・龐煖(ほうけん)が別動隊を率いたという記録があるため、趙国が深く関与していたことは間違いなく、その場に李牧がいた可能性を想像することはできます。

違い② 蕞(さい)を守ったのは嬴政ではなかった?

物語のクライマックスである「蕞(さい)の防衛戦」では、秦王・嬴政(えいせい)が自ら戦地に赴き、民衆を鼓舞して城を守り抜きました。

このシーンはキングダム屈指の名場面ですが、史実では誰が蕞を守ったのか、嬴政が蕞にいたのかどうかさえ記録がなく、全く分かっていません。

当時、嬴政はまだ18歳と若く、政治の実権は相国の呂不韋(りょふい)が握っていました。

そのため、蕞の危機を救った功績で後の大出世に繋がったという推測から、王翦(おうせん)が指揮を執っていたのではないか、と考える専門家もいますが、これもあくまで想像の域を出ない話です。

違い③ 参加国が微妙に違う(衛の謎)

キングダムの合従軍は、楚・趙・魏・韓・燕の五カ国連合でした。

しかし、『史記』の「秦始皇本紀」という部分には、「韓、魏、趙、衛、楚共擊秦」と記されており、燕の代わりに「衛」という国の名前が登場します。

これは単なる誤記だったという説もありますが、当時「衛」という国は小さいながらも存在していました。

由緒ある家柄だった衛を形だけでも参加させることで、逆賊である秦を討つという大義名分を掲げたかったのではないか、という見方もあります。

違い④ 漫画と史実で異なる戦いの規模と結末

漫画では、秦国の全武力を結集させ、国の存亡を賭けた大激戦が繰り広げられました。

しかし、史実の記録は非常に簡潔です。

「秦が出兵すると五国は兵を退いた」とあるだけで、漫画のような壮絶な攻防戦があったかどうかは定かではありません。

この記述からは、合従軍が秦軍の反撃にあい、意外とあっさり撤退してしまったという印象も受けます。

秦が当時すでに他国を圧倒するほどの国力を持っていたため、実際には秦にとってそれほど大きな危機ではなかった可能性も考えられます。

【史実】『史記』に記された函谷関の戦いの真実

残された記録はわずか5行のみ

紀元前241年の合従軍に関する戦いの記録は、歴史書『史記』の中に分散して記されていますが、それらをすべて合わせても、わずか5行程度しかありません。

史記の記述日本語訳
①「韓、魏、趙、衛、楚共擊秦,取壽陵。秦出兵,五國兵罷。」韓・魏・趙・衛・楚が合同して秦を討ち、寿陵を取った。秦が出兵すると五国は兵を退いた。
②「龐煖將趙、楚、魏、燕之銳師,攻秦蕞,不拔。」龐煖は趙・楚・魏・燕の精鋭部隊を率いて秦の蕞を攻めたが、落とせなかった。
③「與諸侯共伐秦,不利而去。」諸侯と協力し秦を攻めたが、戦いが不利で引き上げた。
④「諸侯患秦攻伐無已時,乃相與合從,西伐秦,而楚王為從長,春申君用事。」諸侯は秦の攻撃が続くことを問題視し、合従軍を興して西の秦を攻めた。楚王が合従軍の長となり、春申君が指揮をとった。
⑤「至函谷關,秦出兵攻,諸侯兵皆敗走。」(春申君は)函谷関まで至ったが、秦が出兵し攻撃すると、諸侯の軍は皆敗走した。

これらの断片的な情報を繋ぎ合わせることで、当時の状況を推測することしかできません。

合従軍に参加した国と武将は誰だった?

上記の記録から、合こ従軍に参加した国は、韓・魏・趙・楚と、燕(または衛)の五カ国であったことが分かります。

そして、軍全体のトップである「合従長」は楚の考烈王が務め、現場での総指揮は宰相の春申君(しゅんしんくん)が執りました。

また、趙の将軍である龐煖(ほうけん)が、趙・楚・魏・燕の精鋭部隊を率いて別動隊として動いていたことも記録されています。

キングダムでは李牧の副将のような立ち位置でしたが、史実では龐煖がこの作戦の重要な鍵を握っていたようです。

迎え撃つ秦軍の指揮官は誰だった?

合従軍を迎え撃った秦軍の指揮官に関する明確な記録は残っていません。

しかし、当時の政治状況から推測することは可能です。

首都・咸陽で全体の指揮を執っていたのは、王である嬴政ではなく、事実上の最高権力者であった相国の呂不韋(りょふい)だと考えられています。

そして、最前線である函谷関の総大将は、当時、秦で最も実績のあった蒙驁(もうごう)将軍が務めたと考えるのが自然でしょう。

キングダムで描かれたように、その配下には王翦(おうせん)や桓騎(かんき)といった後の名将たちも参戦していた可能性は十分にあります。

函谷関と蕞での二面作戦が真相か

記録を整理すると、合従軍の作戦が見えてきます。

それは、春申君が率いる本隊が秦の国門である函谷関を大々的に攻めることで秦軍の主力を引きつけ、その隙に龐煖が率いる別動隊が函谷関を迂回し、一気に首都・咸陽の目前にある蕞(さい)を陥落させる、という二段構えの奇襲作戦だった可能性が高いです。

キングダムでは李牧が考案したこの作戦ですが、史実では春申君と龐煖が中心となって立案・実行されたと考えられます。

【考察】合従軍はなぜ負けたのか?史実とキングダムから敗因を分析

【史実の敗因】最大の理由は兵站(補給)の困難さ

史実における合従軍の最大の敗因は、兵站、つまり補給線の維持が困難だったことだと考えられています。

各国から集まった数十万規模の大軍を長期間にわたって敵国で維持するには、膨大な量の食糧や物資が必要です。

キングダムでは斉国に背後を突かれるリスクが強調されていましたが、現実的には、長い補給路を秦軍の奇襲から守りながら物資を運び続けること自体の負担が非常に大きく、短期決戦でなければ作戦の継続は不可能でした。

食糧が尽きれば、どれだけ屈強な軍隊も戦うことはできません。

【史実の敗因】一枚岩ではなかった諸国の思惑

合従軍は、普段は互いに領土を奪い合っている敵国同士の連合軍です。

「打倒秦」という共通の目的はあっても、それぞれの国の利害や思惑は異なり、完全な一枚岩となって戦うことは非常に難しかったでしょう。

誰が一番危険な役回りを担うのか、手柄をどう分配するのか、といった内部での対立や不信感が、指揮系統の乱れや連携不足に繋がり、秦軍に付け入る隙を与えてしまった可能性も否定できません。

【キングダムの敗因】秦の将軍たちの奮戦と戦略

キングダムにおいては、秦国の将軍たちの目覚ましい活躍が勝利の大きな要因として描かれています。

函谷関では、総大将・蒙驁のもと、騰(とう)の奮闘、桓騎(かんき)の奇策、そして王翦(おうせん)の予見など、各将軍が持ち味を最大限に発揮して連合軍の猛攻を防ぎました。

また、蕞の戦いでは、嬴政のリーダーシップと、信が率いる飛信隊の死闘、そして絶体絶命の瞬間に現れた楊端和(ようたんわ)率いる山の民の援軍が、戦局を覆す決定的な力となりました。

秦はなぜ50万の大軍に勝てた?史実ではすでに圧倒的な国力差があった

そもそも、この紀元前241年の時点で、秦は他の六国を圧倒するほどの国力を持っていました。

商鞅(しょうおう)の改革による富国強兵、後の六大将軍・白起(はくき)による「長平の戦い」での趙への壊滅的な打撃など、長年にわたる国力増強と他国の弱体化が進んでいたのです。

合従軍は、六国にとって最後の望みをかけた決死の策でしたが、秦の強大な国力の前には及ばなかった、というのが史実における大局的な見方と言えるでしょう。

キングダム合従軍編を10倍楽しむためのQ&A

Q. 合従軍の「裏切り者」とは誰のこと?

キングダムのアニメや漫画で言及される「合従軍の裏切り者」とは、合従軍に参加しなかった斉国のことです。

より正確に言えば、一度は参加を表明しながらも、秦の外交官・蔡沢(さいたく)の説得によって土壇場で軍を引いたため、「裏切った」と表現されています。

この斉の離脱により、合従軍は戦力が削がれ、秦は東方からの憂いをなくして西方の防衛に集中することができました。

Q. なぜ斉は合従軍に参加しなかったの?

史実において斉が合従軍に参加しなかった理由は、秦が長年進めてきた「遠交近攻(えんこうきんこう)」策が功を奏した結果です。

これは「遠くの国と友好関係を結び、近くの国から攻める」という戦略で、秦から遠い斉は攻撃対象から外れ、友好関係を保っていました。

また、かつて楽毅(がくき)が率いる合従軍によって滅亡寸前にまで追い込まれた経験から、他国との軍事同盟に強い不信感を抱いていたことも理由の一つと考えられます。

Q. ネットで言われる「戦犯」は誰?(オルド・汗明)

キングダムの読者やファンの間では、合従軍敗北の「戦犯」として、特定のキャラクターの名前が挙げられることがあります。

特に、燕軍の総大将オルドは、秦の将軍・王翦の策に完全に翻弄されてしまったことから、戦犯の一人と見なされがちです。

また、楚の総大将・汗明(かんめい)は、秦の蒙武(もうぶ)との一騎打ちに敗れたことで、合従軍全体の士気を大きく下げてしまったことが敗因の一つとして語られています。

これらはあくまで漫画内の描写に対する読者の評価であり、史実とは関係ありません。

Q. 漫画やアニメでは何話から見れる?

キングダムの「合従軍編」は、物語の中でも特に人気の高いエピソードです。

  • 漫画(単行本): 25巻の第262話「超大国の侵攻」から始まり、33巻の第352話「不抜」まで続きます。
  • アニメ: 第3シリーズ(シーズン3)が「合従軍編」に該当します。

壮大なスケールと息もつかせぬ展開は、原作ファンでなくとも必見です。

なぜ合従軍は結成された?秦国一強時代に至るまでの歴史的背景

背景①:英雄・信陵君の死で最後の歯止めが失われる

合従軍が結成される数年前まで、魏国には信陵君(しんりょうくん)という英雄がいました。

彼は「戦国四君」の一人に数えられ、過去に二度も合従軍を率いて秦軍を打ち破った実績を持つ名将です。

秦国は信陵君の存在を非常に恐れていましたが、紀元前244年に彼が亡くなると、秦の東方進出を阻む最後の歯止めが失われました。

この英雄の死が、秦の侵攻を加速させる一因となりました。

背景②:白起による「長平の戦い」で趙が国力を失う

合従軍が結成される約20年前の紀元前260年、秦と趙の間で「長平の戦い」という大規模な戦闘が起こりました。

この戦いで秦の将軍・白起は、降伏した趙の兵士40万人を生き埋めにしたと伝えられています。

これにより趙は回復不可能なほどの深刻なダメージを受け、単独で秦に対抗する力を完全に失いました。

この出来事が、後の秦一強時代を決定づけたと言っても過言ではありません。

背景③:秦の「遠交近攻」策で各国が分断されていた

前述の通り、秦は宰相・范雎(はんしょ)が提言した「遠交近攻」策を国策としていました。

秦と国境を接していない遠方の斉や燕とは友好関係を保ち、その間に位置する韓・魏・趙を集中的に攻撃することで、効率的に領土を拡大していったのです。

この戦略により、反秦勢力は分断され、各国が連携して秦に対抗することが難しい状況が作られていました。

背景④:蒙驁の東郡設置が直接の引き金になった

合従軍が結成される前年の紀元前242年、秦の将軍・蒙驁が魏に侵攻し、20もの城を奪い、その地に「東郡」を設置しました。

これにより、秦の領土は一気に東方へ広がり、それまで秦と国境を接していなかった国々も、秦の脅威をすぐそこに感じることになります。

この東郡設置が、各国に「もはや単独では対抗できない」という強い危機感を抱かせ、最後の手段としての合従軍結成へと踏み切らせる直接の引き金となったのです。

まとめ:キングダム合従軍の史実と背景

  • キングダムの合従軍は紀元前241年の史実に基づく
  • ただし『史記』などに残る記録は非常に少ない
  • 史実の合従軍は春申君が主導し、李牧の関与は不明
  • 蕞(さい)を守った人物は史実では記録されていない
  • 史実における敗因は兵站(補給)の困難さが大きい
  • 当時、秦はすでに他国を圧倒する国力を有していた
  • 漫画での「裏切り者」とは外交で離脱した斉国を指す
  • 英雄・信陵君の死が秦の侵攻を加速させた
  • 秦の将軍・蒙驁による東郡設置が合従軍結成の引き金となった
  • この戦いが六国にとって秦に組織的に対抗した最後の機会であった
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