大人気漫画『ONE PIECE』のエッグヘッド編において、読者の間で大きな議論を呼んだ謎の一つが「ガス欠状態のルフィに誰が大量の食料を与えたのか」という点です。
五老星であるジェイガルシア・サターン聖の目の前という絶体絶命の状況下で、突如として現れたご飯の山。
この不可解な現象について、ネット上では海軍大将「黄猿」説や、潜伏していた「濡れ髪のカリブー」説など、様々な憶測が飛び交いました。
物語の展開を左右したこの重要なシーンについて、コミックス最新巻のSBS情報や作中の描写を基に、その犯人を徹底的に検証していきます。
この記事を読むことで、エッグヘッド編に隠された黄猿の葛藤や、ルフィ復活の裏側にある真実を深く理解できるでしょう。
エッグヘッドでルフィが食料を求めた不可解な状況
エッグヘッド編のクライマックスにおいて、ルフィは海軍大将・黄猿との激闘の末、ギア5(ニカ)の副作用によって老人姿になり、身動きが取れない状態に陥りました。
その場には五老星の一人であるサターン聖が君臨し、サンジやフランキー、ベガパンクといった味方たちは、サターン聖の不思議な能力によって金縛り状態にされていたのです。
誰もルフィを助けることができない絶望的な状況の中、ルフィは「メシ~~」と食料を求めます。
すると次の瞬間、ルフィの周りには山盛りの食料が出現し、彼はそれを猛スピードで平らげ、完全復活を遂げました。
サターン聖でさえ「おい誰だそいつに食料を与えたのは!!」と激昂し、犯人に気づいていない様子が描かれています。
この「誰にも気づかれずに一瞬で食料を運んだ人物」こそが、エッグヘッド編における最大のミステリーの一つとなりました。
「濡れた髪のカリブー」説が浮上した理由と矛盾点
この謎に対し、一部の読者の間で候補として挙げられたのが「濡れ髪のカリブー」です。
カリブーは「ヌマヌマの実」の能力者であり、自身の体を沼に変えて体内に大量の物を収納することができます。
ワノ国編でもルフィに食料を提供した実績があるため、今回も彼が体内に隠し持っていた食料をこっそり出したのではないか、と推測されました。
また、カリブーはエッグヘッド島内でサウザンドサニー号に乗っていましたが、途中で船を降ろされ、その後の行方が不明確だったことも、この説を後押ししました。
しかし、この説には決定的な矛盾が存在します。
カリブーにとって、ルフィを助けるメリットや動機がこの局面では薄いのです。
彼は「あの人」と呼ぶ特定の人物(黒ひげである可能性が高い)に気に入られることを目的としており、ルフィを助ける義理はありません。
さらに、サターン聖や黄猿といった怪物たちがひしめく戦場の中心に、リスクを冒してまで姿を現すとは考えにくいでしょう。
「濡れた髪」という異名を持つ彼ですが、この場面における犯人としては、状況証拠や心理描写の面で可能性が低いと言わざるを得ません。
犯人は黄猿で確定か?SBSで明かされた「光の速さ」
では、真犯人は一体誰なのでしょうか。
最も有力視され、ほぼ確定と言えるのが海軍大将「黄猿(ボルサリーノ)」です。
コミックス110巻のSBS(質問コーナー)において、この件に関する読者からの質問に対し、尾田栄一郎先生は非常に示唆的な回答をしています。
尾田先生は「あの場にいる誰にもバレていない」「その行動は目にも止まらぬ“光の速さ”で行われた様ですね」と回答しました。
さらに「う~ん僕にもわかりません。光の速さ…」と繰り返し、「光」という言葉を強調しています。
「光の速さ」で動ける人物といえば、「ピカピカの実」の能力者である黄猿しかあり得ません。
また、作中の描写を細かく確認すると、ルフィが食事をしているコマの端に、黄猿が直前まで食べていたものと同じと思われる「ラーメンの丼」が見切れています。
そして、食事が提供された直後のコマでは、それまで倒れ込んでいたはずの黄猿が、いつの間にか体勢を変えて座り直し、何かを考えているような描写があります。
これらの証拠から、ルフィに食料を与えたのは黄猿であることは間違いないでしょう。
黄猿がルフィにご飯を与えた行動の意味を考察
黄猿がルフィを助けたのだとすれば、それは海軍への重大な「裏切り」行為となります。
なぜ彼はそのような行動に出たのでしょうか。
その理由は、エッグヘッド編を通じて描かれた黄猿の「人間味」と「苦悩」にあります。
黄猿にとって、今回の標的であるDr.ベガパンクは長年の親友であり、戦桃丸やボニーもまた、かつて一緒にピザを囲み、ダンスを踊った家族のような存在でした。
本来なら守るべき友人を、自らの手で抹殺しなければならない任務に対し、黄猿は終始「社畜」と自嘲しながらも、深い悲しみを抱えていました。
ルフィとの戦闘においても、彼は意図的に決定打を避けているような節が見られ、戦桃丸やボニーの身を案じる発言もしています。
サターン聖という絶対的な権力者が目の前にいる中で、友人を救う唯一の希望が「ニカ」であるルフィの復活だったのでしょう。
自身の立場上、表立って海軍を裏切ることはできないため、「光の速さ」で誰にもバレないようにルフィを回復させ、事態の打開を彼に託したのだと考えられます。
「どっちつかずの正義」を掲げる黄猿が見せた、彼なりの精一杯の抵抗と友情の証が、あのご飯だったのです。
まとめ
エッグヘッド編でルフィに食料を与えた人物について検証しました。
- 不可解な状況:サターン聖の監視下で、誰にも気づかれずに大量の食料がルフィの元へ運ばれました。
- カリブー説の否定:「濡れ髪のカリブー」も候補に挙がりましたが、動機や能力の特性から可能性は低いと判断されます。
- 黄猿説の確定:SBSでの「光の速さ」という言及や、作中のラーメン丼の描写から、黄猿の行動であることが確定的です。
- 黄猿の真意:親友ベガパンクやボニーを守りたいという黄猿の秘めたる想いが、ルフィへの支援という形になって現れました。
この一件は、単なるルフィの復活劇というだけでなく、黄猿というキャラクターの深みを増す重要なエピソードと言えるでしょう。
今後の物語で、黄猿がどのような道を歩むのか、彼の「正義」の行方に注目が集まります。

