スティーブンキング小説を読む順番|初心者向けおすすめと傑作

スティーブン・キングの小説を読んでみたいけれど、あまりにも作品数が多くて「どの順番で読めばいいの?」「最高傑作はどれ?」と迷っていませんか。

「ホラーの帝王」として知られるキングですが、実は心温まる感動的な物語や、本格的なミステリーも数多く手掛けています。

そのため、ホラーが苦手な方でも楽しめる作品はたくさんありますし、初心者の方が読みやすい作品も存在します。

決まった読む順番はありませんが、より深くキングの世界を味わうための「おすすめの読む順番」は確かに存在します。

この記事では、スティーブン・キング初心者の方に向けて、読みやすい作品からジャンル別のおすすめ、そしてファンが語る最高傑作まで、あなたの好みに合わせた最適な読む順番を徹底的に解説します。

あなたにとって最高の一冊を見つけるための、完全ガイドです。

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目次

初心者向け!スティーブン キング小説のおすすめな読む順番

スティーブン キングのすごいと評される理由

スティーブン・キングが単なる「ホラー作家」という枠に収まらず、世界中の読者から「現代最高のストーリーテラー」として賞賛されるのには、明確な理由があります。

彼の作品に触れる前に、なぜキングがこれほどまでに「すごい」と評されるのかを知ることで、読書の楽しみが何倍にも膨らむでしょう。

主に4つの点が、キングのすごさを物語っています。

第一に、登場人物のリアルな心理描写です。

キングの描くキャラクターは、決してスーパーヒーローではありません。

私たちと同じように弱さや欠点を抱え、過ちを犯し、それでも愛する人のために立ち上がろうとします。

このような人間味あふれる描写があるからこそ、読者は物語の登場人物に深く感情移入し、彼らの感じる恐怖や喜びを自分のことのように体験できるのです。

第二に、作品同士がリンクする壮大な世界観、通称「キング・ユニバース」の存在が挙げられます。

一見すると独立した物語に見える作品群が、実は同じ世界の異なる時間や場所で起きており、特定の地名や登場人物が複数の作品に顔を出すことがあります。

この壮大な仕掛けに気づいたとき、個々の物語が繋がり、一つの巨大なタペストリーを織りなしていることに気づくでしょう。

この発見は、他の作家では味わえないキング作品ならではの醍醐味です。

第三に、物語に込められたテーマの普遍性です。

キングの物語は、超常的な現象や恐ろしい怪物が登場する一方で、その根底には友情、親子愛、喪失からの再生、いじめや差別といった社会問題など、誰もが共感できる普遍的なテーマが流れています。

ホラーというエンターテインメントの衣をまといながら、人間の本質や社会の闇を鋭く描き出す文学性の高さが、彼の作品が長く愛される理由なのです。

そして最後に、驚異的な多作ぶりと、そのクオリティの高さを両立させている点が挙げられます。

1974年のデビュー以来、半世紀近くにわたってコンスタントに長編、中編、短編を発表し続け、その多くがベストセラーとなっています。

これほど長く第一線で活躍し、読者を飽きさせない創造性を維持し続ける筆力は、まさに驚異的と言えるでしょう。

初心者に推奨!おすすめの読む順番

スティーブン・キングの膨大な作品群を前にして、最初の一冊をどれにするかは非常に悩ましい問題です。

結論から言うと、キング作品に絶対的な「読む順番」はありませんが、初心者の方には、彼の魅力である「人間ドラマ」を存分に味わえる作品から読み始めることを強くおすすめします。

ホラーのイメージが強いキングですが、彼の物語の核は常に「人間」です。

そのため、まずは感動的な物語や、映画化されて広く知られている有名作から手に取ることで、ホラーが苦手な方でもスムーズにキングの世界に入り込み、そのストーリーテリングの巧みさに魅了されるはずです。

ここでは、初心者の方に特におすすめしたい2つの読書ルートを提案します。

ルート1:感動の名作からキングの「語り」に触れる

このルートは、「ホラーは少し怖いけれど、感動する話が好き」という方に最適です。

キングがいかに優れた人間ドラマの名手であるかを実感できるでしょう。

  1. 『刑務所のリタ・ヘイワース』(中編集『恐怖の四季』収録)映画『ショーシャンクの空に』の原作としてあまりにも有名です。無実の罪で投獄された銀行員の、数十年にわたる刑務所生活と、決して失われない希望を描いた物語。絶望的な状況下でも人間性を失わない主人公の姿は、深い感動を呼びます。
  2. 『グリーンマイル』こちらも映画で有名ですが、原作はより深く、重厚な物語が展開されます。1930年代のアメリカ南部の死刑囚監房を舞台に、不思議な力を持つ黒人死刑囚と看守たちの交流を描きます。人種差別や死刑制度といったテーマを織り交ぜながら、奇跡と魂の救済を描いた感動作です。
  3. 『THE BODY』(中編集『恐怖の四季』収録)映画『スタンド・バイ・ミー』の原作です。「線路の向こうに死体があるらしい」という噂を確かめるために、4人の少年たちが冒険に出るひと夏の物語。誰もが心の奥に持っている、少年時代のきらめきとほろ苦さが詰まった、ノスタルジックな傑作です。

ルート2:比較的怖くないスリラーでキングの「巧さ」を知る

このルートは、「少しドキドキしたいけれど、グロテスクなのは苦手」という方向けです。

キングの巧みな心理描写とサスペンスの構築力を堪能できます。

  1. 『ミザリー』人気作家が事故に遭い、熱狂的なファンである中年女性に監禁される物語。お化けや怪物は出てきませんが、限定された空間でじわじわと追い詰められていく心理的な恐怖は、キングの真骨頂です。物語の展開が非常に巧みで、ページをめくる手が止まらなくなるでしょう。
  2. 『キャリー』キングの記念すべきデビュー作。学校でいじめを受け、家庭では狂信的な母親に虐待される少女キャリーが、秘められた超能力を爆発させる悲劇の物語。超能力という要素はありますが、根底にあるのは孤独や疎外感といった普遍的な苦悩であり、その悲痛な叫びが胸を打ちます。

スティーブンキングの読みやすい傑作

スティーブン・キングの作品と聞くと、「分厚くて読むのが大変そう」というイメージを持つ方も少なくないでしょう。

実際に、1000ページを超える大作も多いですが、その一方で、初心者でも一気に読めてしまうような「読みやすい傑作」も数多く存在します。

物語に没頭するあまり、時間を忘れてページをめくってしまう。

そんな体験をしやすい作品から手に取ることは、キング読書を成功させるための重要なポイントです。

ここでは、比較的ボリュームが抑えめで、かつ物語の吸引力が非常に高い3つの作品を紹介します。

一つ目は、前述の通り『ミザリー』です。

この作品が読みやすい最大の理由は、登場人物が非常に少なく、舞台がほぼ一軒の家の中に限定されている点にあります。

複雑な人間関係や難解な設定がないため、読者は主人公である作家ポールと、彼を監禁する看護師アニーの関係性に集中できます。

二転三転するスリリングな展開と、徐々に明らかになるアニーの狂気に、息をのむこと間違いなしです。

キングの巧みなプロット構築能力を味わうには、最適な一冊と言えるでしょう。

二つ目は、デビュー作である『キャリー』です。

この作品は書簡や新聞記事などを織り交ぜた形式で書かれており、テンポよく物語が進んでいきます。

主人公キャリーが置かれた悲惨な状況と、クライマックスのプロムで起こる大惨事へのカウントダウンが、読者の興味を強く引きつけます。

キングの初期の荒々しいエネルギーに満ちた作品でありながら、構成がしっかりしているため、非常に読みやすく感じられます。

三つ目は、遊園地を舞台にした青春ミステリー『ジョイランド』です。

この作品は、キング作品の中でも特にホラー色が薄く、爽やかな読後感が特徴です。

失恋の痛みを抱えた大学生の主人公が、夏休みに遊園地でアルバイトをする中で、そこで過去に起きた殺人事件の謎に迫っていくというストーリー。

ノスタルジックな雰囲気、魅力的な同僚たちとの交流、そしてほろ苦い青春の物語が中心で、ミステリー要素も加わって最後まで飽きさせません。

「キング=ホラー」という先入観を良い意味で裏切ってくれる、隠れた名作です。

これらの作品は、キングの長編を読むための助走としても最適です。

まずは読みやすい傑作で成功体験を積むことで、より壮大なキングの世界へ踏み出す自信がつくはずです。

手軽に楽しめるスティーブン キングの短編おすすめ

長編小説を読む時間がない方や、キングの多彩な作風に手っ取り早く触れてみたいという方には、短編集がおすすめです。

短編集は、キングのアイデアの宝庫であり、ホラー、SF、ファンタジー、ヒューマンドラマなど、様々なジャンルの物語が詰まった宝石箱のような存在です。

ここでは、キング入門としても、また長年のファンが新たな魅力を再発見するためにも最適な、おすすめの短編集を3つ紹介します。

まず絶対に外せないのが、中編集『恐怖の四季』です。

この作品には四季にちなんだ4つの中編が収録されており、そのうちの3編が『ショーシャンクの空に』『スタンド・バイ・ミー』『ゴールデンボーイ』として映画化されています。

特に「春は希望の泉(ショーシャンクの空に)」と「秋の目覚め(スタンド・バイ・ミー)」は、キングの非ホラー作品における最高傑作との呼び声も高いです。

ホラーが苦手な方でも安心して楽しめ、キングの物語作家としての懐の深さを実感できる、まさに最初の短編(中編)集として完璧な一冊です。

次に、キングのホラーの神髄を味わいたいなら『骸骨乗組員(スケルトン・クルー)』をおすすめします。

この短編集には、映画『ミスト』の原作である傑作中編『霧』が収録されています。

スーパーマーケットに閉じ込められた人々が、霧の中に潜む「何か」の恐怖と、極限状態に陥った人間同士の対立という二重の恐怖に苛まれる物語は圧巻です。

他にも、不気味なブリキのおもちゃを描いた『猿』など、バラエティに富んだ恐怖譚が詰まっており、キングの想像力の豊かさに驚かされるでしょう。

そして、キングの初期衝動に触れたいのであれば、最初の短編集である『深夜勤務』も外せません。

この短編集には、ネズミが大量発生する製粉工場でのアルバイトを描いた表題作をはじめ、純粋な恐怖や生理的な嫌悪感を煽るような、荒々しくも力強い作品が多く収められています。

後の洗練された作品とはまた違う、若き日のキングの才能のきらめきを感じ取ることができます。

純度の高いホラーを求める方には、ぴったりの一冊です。

短編は、通勤時間や寝る前のちょっとした時間に読むのにも最適です。

まずは気になる一編から、キングの世界を覗いてみてはいかがでしょうか。

イッキ読みしたいスティーヴン・キングの三部作

スティーブン・キングの作品には、一度読み始めたら止まらなくなる魅力的なシリーズものがいくつか存在します。

中でも、これまでホラーや超常現象をメインに描いてきたキングが、新たな境地を切り開いたとして高く評価されているのが「ビル・ホッジス三部作」です。

このシリーズは、退職刑事のビル・ホッジスを主人公とした、本格的な探偵ミステリーシリーズであり、キング作品の新たな入り口として、ミステリーファンに特におすすめできます。

三部作を順番に読むことで、主人公や脇を固める魅力的なキャラクターたちへの愛着が深まり、彼らの成長や変化を追いかける楽しみが生まれます。

ここでは、「ビル・ホッジス三部作」の魅力と読むべき順番を紹介します。

作品名(読む順番)刊行年(米)特徴
1. ミスター・メルセデス2014退職後の無気力な生活を送っていた刑事ビル・ホッジスの元に、未解決の大量殺人犯から挑戦状が届く。超常現象を排した、本格クライム・スリラー。
2. ファインダーズ・キーパーズ2015伝説的な隠遁作家を殺害し、未発表の原稿を盗んだ男の物語。文学への狂信的な愛と執着がテーマ。ホッジスたちが再び事件に挑む。
3. 任務の終わり2016シリーズ完結編。昏睡状態にあった第一作の犯人が、超能力を身につけて復活。シリーズで初めて超常的な要素が加わり、キングらしい展開を見せる。

この三部作の最大の魅力は、なんといってもキャラクター造形の巧みさです。

主人公のビル・ホッジスは、退職し、偏屈で孤独な日々を送るどこにでもいそうな老人ですが、事件を追う中で徐々に生きる活力を取り戻していきます。

また、彼の相棒となる風変わりな若者ジェロームや、対人関係に問題を抱えながらも驚異的な調査能力を持つ女性ホリー・ギブニーなど、脇役たちも非常に個性的で魅力的です。

特にホリーはファンからの人気が非常に高く、後に『アウトサイダー』や『Holly』といった作品で主人公として活躍することになります。

まずは第一作『ミスター・メルセデス』から読み始め、ホッジスとホリーたちの出会いと活躍を追体験してみてください。

超常現象のないリアルなサスペンスから始まり、徐々にキングらしい世界観が顔を出す構成は、ミステリーファンからキングファンへの橋渡しとして、完璧な役割を果たしてくれるでしょう。

目的別!スティーブン キング小説のおすすめな読む順番

まず読むべきスティーブン キングの有名な作品は?

どの作家にも、その名を世に知らしめた「代表作」や「有名な作品」が存在します。

スティーブン・キングの場合、その多くが映画化され、小説を読んだことがない人でもタイトルやキャラクターを知っている、というケースが少なくありません。

初心者の方が最初に手に取る一冊として、こうした有名な作品を選ぶのは非常に良いアプローチです。

物語のあらすじや世界観をある程度知っているため、安心して読み始めることができ、また、原作と映像化作品の違いを楽しむという、二度美味しい体験もできます。

ここでは、数あるキングの有名作の中でも、特に読んでおくべき3つの作品を紹介します。

一つ目は、雪に閉ざされたホテルを舞台にした『シャイニング』です。

スタンリー・キューブリック監督による映画版がホラー映画の金字塔としてあまりにも有名ですが、原作小説は映画とはまた違った、そしてより深い魅力を持っています。

原作では、主人公ジャック・トランスがアルコール依存症という問題を抱え、愛する家族との関係を修復しようと葛藤する「父親の物語」として、より丁寧に描かれています。

ホテルの持つ邪悪な力と、家族を守ろうとする父親の心の戦いを描いた原作は、映画版とは異なる結末を迎えます。

映画を見たという方にこそ、ぜひ読んでほしい一冊です。

二つ目は、不気味なピエロ「ペニーワイズ」の恐怖を描いた『IT』です。

近年、二度にわたって映画化され、世界的な大ヒットを記録したことで、キングの代表作としての地位を不動のものにしました。

この物語の魅力は、ペニーワイズという恐怖のアイコンだけでなく、主人公である7人の子供たちの友情と絆、そして27年後に再び故郷に戻り、子供時代のトラウマと対峙する彼らの成長を描いた壮大な人間ドラマにあります。

上下巻、文庫版では4冊に及ぶ長編ですが、その長さを感じさせないほど物語に引き込まれることでしょう。

三つ目は、『ショーシャンクの空に』の原作である『刑務所のリタ・ヘイワース』(中編集『恐怖の四季』収録)です。

映画史に残る不朽の名作として、多くの人の心に刻まれているこの物語は、キングが単なるホラー作家ではないことを証明した作品と言えます。

劣悪な環境の刑務所という、まさに絶望の象徴のような場所で、決して希望を失わなかった男の物語は、読む人の心に静かで力強い感動を与えてくれます。

「希望は善きもので、決して滅びない」というテーマは、時代を超えて多くの人々の魂を揺さぶり続けています。

これらの有名な作品は、キングの多彩な才能を知るための、最良の入り口と言えるでしょう。

ファンが語るスティーブン・キングの小説の最高傑作は?

「スティーブン・キングの最高傑作は?」という問いは、ファンの間で長年議論され続けている、永遠のテーマです。

もちろん、どの作品を最高傑作と感じるかは個人の好みによりますが、多くのファンや批評家が候補として挙げる作品には、いくつかの共通点があります。

それは、単なる恐怖を描くだけでなく、人間社会の縮図、善と悪の根源的な対立、そして人生そのものを描ききったような、壮大なスケールと文学的な深みを兼ね備えているという点です。

ここでは、数多くのファンから「最高傑作」との呼び声が高い3つの作品を紹介します。

まず筆頭に挙げられるのが、前述の『IT』です。

この作品が最高傑作と評される理由は、その多層的な物語構造にあります。

子供時代の冒険譚、大人になってからの再会と葛藤、そして人類の歴史以前から存在する宇宙的な恐怖との対決。

これら三つの要素が複雑に絡み合いながら、友情、愛、喪失、トラウマの克服といった普遍的なテーマを見事に描ききっています。

1000ページを超えるボリュームの中に、キングの作家としての魅力がすべて詰まっていると言っても過言ではなく、多くの読者にとって忘れられない読書体験となるでしょう。

次に挙げられるのが、致死率99%以上のウイルスによって文明が崩壊した世界を描く超大作『ザ・スタンド』です。

この作品は、キング版「ヨハネの黙示録」とも言える壮大な物語で、生き残った人々が、神のような老婆アバゲイルの導く善の勢力と、悪の化身ランドル・フラッグが率いる悪の勢力に分かれ、アメリカの未来を懸けて対決します。

極限状態に置かれた人間たちの善と悪の相克を、壮大なスケールで描ききった本作は、キング・ユニバースにおいても非常に重要な位置を占める作品です。

そして、比較的新しい作品ながら最高傑作候補として頻繁に名前が挙がるのが、タイムトラベル小説『11/22/63』です。

主人公は、ケネディ大統領の暗殺を阻止するために、1958年の過去へとタイムスリップします。

歴史改変SFとしてのスリリングな面白さはもちろんのこと、主人公が過去の世界で出会った女性と恋に落ち、歴史を変えるという使命と彼女への愛との間で葛藤する姿が、非常に切なく描かれています。

キングの作品の中でも、特にラブストーリーとしての評価が非常に高い、感動的な傑作です。

これらの作品はどれも長編ですが、読了後には人生観が変わるほどの深い感動と余韻を残してくれるはずです。

キングの世界に深く浸りたいと思ったなら、ぜひ挑戦してみてください。

ホラーが苦手でも大丈夫!スティーブンキングの怖くない作品

「スティーブン・キングに興味はあるけれど、ホラーだけは本当に苦手で…」と、読むのをためらっている方は少なくないでしょう。

しかし、それは非常にもったいないことです。

「ホラーの帝王」という異名は、彼の才能の一面に過ぎません。

キングは、読む者の心を温め、涙を誘うような感動的なヒューマンドラマの名手でもあるのです。

ここでは、ホラー要素がまったくない、あるいは非常に薄い、心から安心しておすすめできる3つの名作を紹介します。

まず紹介するのは、映画でも多くの人の涙を誘った『グリーンマイル』です。

物語の舞台は死刑囚監房であり、一見すると重苦しい設定ですが、物語の中心にあるのは、不思議な治癒能力を持つ心優しい黒人死刑囚ジョン・コーフィと、看守たちの心の交流です。

彼の起こす奇跡を通じて、登場人物たちはもちろん、読者もまた、人間性の善なる部分や命の尊さについて考えさせられます。

人種差別や死刑制度という重いテーマを扱いながらも、物語全体を包むのは温かく、そして切ない優しさです。

次に、『スタンド・バイ・ミー』の原作である『THE BODY』(中編集『恐怖の四季』収録)は、キングのノスタルジックな側面が最もよく表れた作品です。

12歳の少年たち4人が、行方不明になった少年の死体を探しに、線路を辿って旅をする二日間の物語。

大人への入り口に立つ少年たちの、他愛のない会話、ささいなことで熱くなる友情、そして未来への漠然とした不安。

誰の心の中にもある「あの頃」の記憶を鮮やかに呼び覚ます、甘酸っぱくもほろ苦い青春小説の金字塔です。

読了後には、遠い日の親友に会いたくなるかもしれません。

そして、隠れた名作としてぜひ読んでいただきたいのが『アトランティスのこころ』です。

この作品は、1960年から1999年までのアメリカを舞台に、同じ登場人物たちが異なる時代で関わり合う5つの物語からなる連作中編集です。

物語の核となるのは、不思議な超能力を持つ老人テッドと、少年ボビーの交流を描いた第一部。

ベトナム戦争の影が忍び寄る時代を背景に、彼らの間に芽生える友情と、やがて訪れる悲しい別れが、切なくも美しく描かれます。

キングの作品の中でも、特に文学的な香りが高く、静かな感動が胸に広がる一冊です。

これらの作品を読めば、「スティーブン・キング=ホラー」というイメージは、良い意味で覆されることでしょう。

本格派!スティーブン キングのミステリー小説

スティーブン・キングはホラーだけでなく、読者を唸らせるような本格的なミステリーやサスペンスも数多く手掛けています。

彼の強みであるリアルな人物描写と、物語の細部にまで張り巡らされた巧みな伏線は、謎解きを主軸とするミステリーというジャンルと非常に高い親和性を持っています。

ここでは、超常現象の要素が薄く、純粋な謎解きやサスペンスを楽しみたいミステリーファンにおすすめの作品を3つ紹介します。

最初に挙げるべきは、前述の「ビル・ホッジス三部作」です。

このシリーズは、キングが初めて本格的に探偵ミステリーに挑んだ意欲作であり、ミステリーの王道ともいえる構成になっています。

特に第一作『ミスター・メルセデス』は、犯人視点と探偵視点が交互に描かれる「倒叙ミステリ」の形式を取りつつ、犯人が次のテロを計画するのを退職刑事が阻止しようと奔走する、手に汗握るサスペンスとなっています。

超常現象に頼らず、キャラクターの魅力とプロットの力で読ませる、キングの新たな一面を発見できるシリーズです。

次に、近年の傑作として評価が高い『アウトサイダー』もおすすめです。

この物語は、凄惨な少年殺害事件の容疑者として、町の尊敬を集める教師が逮捕されるところから始まります。

目撃証言や指紋など、彼が犯人であることを示す動かしがたい証拠が次々と挙がる一方で、事件発生時刻に彼が遠く離れた町にいたという完璧なアリバイも存在します。

物語の前半は、この「ありえない謎」を追う警察ミステリーとして展開し、読者は लॉジカルな謎解きに引き込まれます。

そして後半、徐々に事件の背後に潜む超常的な存在が明らかになっていく構成は、まさにキングならではの妙技と言えるでしょう。

最後に、少し変わったミステリーとして『回想のビュイック8』を紹介します。

ペンシルベニア州警察が、その倉庫に長年隠し続けてきた一台の不思議なビュイック。

その車は、時折、我々の世界のものではない不気味な生物を「出産」するのです。

物語は、この車に関わってきた警官たちの回想を通して、ビュイックの謎が少しずつ語られていくという形式で進みます。

しかし、最後まで車の正体や目的が明確に明かされることはありません。

答えのない謎、人間の理解を超えた存在への畏怖を描いた、いわゆる「アンリゾルブド・ミステリー(未解決の謎)」であり、読者の想像力を掻き立てる異色の作品です。

これらの作品は、キングがただのホラー作家ではないことを証明する、知的な刺激に満ちたミステリーです。

ジャンル別!スティーブン キング小説のおすすめ

スティーブン・キングの作品世界は、一つのジャンルには収まりきらないほど広大で多彩です。

あなたが今どんな物語を読みたい気分かによって、選ぶべき作品は変わってきます。

ここでは、あなたの好みに合った一冊を見つけやすくするために、ジャンル別に代表的なおすすめ作品を一覧表にまとめました。

ぜひ、この中からあなたの「次の一冊」を見つけてみてください。

ジャンルおすすめ作品特徴・こんな人におすすめ
王道ホラー『IT』『呪われた町』キングの真骨頂である、じっくりと構築される恐怖を味わいたい方に。日常が侵食されていく過程は圧巻です。
心理スリラー『ミザリー』『ジェラルドのゲーム』お化けや怪物ではなく、人間や状況が生み出す恐怖が好きな方に。閉鎖空間での心理的な圧迫感を楽しめます。
感動ヒューマンドラマ『グリーンマイル』『ショーシャンクの空に』とにかく泣ける話、心温まる物語を読みたい方に。読後、温かい気持ちになれること請け合いです。
青春・成長物語『スタンド・バイ・ミー』(原作)『アトランティスのこころ』過ぎ去った少年少女時代を懐かしむ、ノスタルジックな気持ちに浸りたい方に。甘酸っぱくもほろ苦い読書体験を。
SF・タイムトラベル『11/22/63』『アンダー・ザ・ドーム』奇想天外な設定や壮大なスケールの物語が好きな方に。キングの圧倒的な想像力と構成力を堪能できます。
ミステリー・サスペンスビル・ホッジス三部作『アウトサイダー』超常現象なし(または少なめ)の、 लॉジカルな謎解きや手に汗握る緊迫した物語を読みたい方におすすめです。

この表を見てわかる通り、キングはあらゆるジャンルの物語を高いレベルで書きこなす、まさに万能のストーリーテラーです。

例えば、「感動ヒューマンドラマ」から入ってキングの人間描写に惹かれた方が、次に「心理スリラー」を読んでその巧みさに驚き、最終的に「王道ホラー」の魅力に目覚める、といった楽しみ方も可能です。

まずはあなたの興味を引くジャンルから、キングの世界への扉を開いてみてください。

きっと、その奥深さと面白さの虜になるはずです。

まとめ:スティーブン キング小説を読む順番に迷ったら

  • スティーブン・キングの小説を読む順番に唯一の正解はない
  • 初心者の方は感動系や映画化された有名作から入るのがおすすめである
  • 作家の変遷を楽しみたいなら、デビュー作からの発表順読書が最適である
  • ミステリー好きには「ビル・ホッジス三部作」が一押しである
  • キングの多彩なアイデアに触れるなら、短編集が手軽で便利である
  • 「ホラーの帝王」だが、心温まる怖くない名作も多数執筆している
  • 多くのファンは最高傑作として『IT』や『ザ・スタンド』を挙げる
  • 多くの作品は「キング・ユニバース」として世界観が繋がっている
  • 原作と映像化作品の違いを比較して楽しむのも一興である
  • 本記事を参考に、あなたの好みに合った最高の一冊を見つけることができる
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