【幽遊白書】戸愚呂兄の最後とは？衝撃の結末と弟との対比を徹底解説

『幽☆遊☆白書』に登場する数々の魅力的なキャラクターの中でも、戸愚呂兄はその特異な能力、残忍な性格、そしてあまりにも悲惨な「最後」によって、多くのファンの記憶に強烈な印象を刻みつけています。

彼の結末は、単純な「死亡」という言葉では片付けられない、まさに生き地獄と呼ぶにふさわしいものでした。

本記事では、「戸愚呂兄 最後」というキーワードを軸に、彼が「まだ戦ってる」と噂される真相や、「邪念樹」との関係、実の弟である「戸愚呂弟」との対照的な運命、そして「戸愚呂兄弟」の能力に至るまで、戸愚呂兄というキャラクターを多角的に掘り下げていきます。

「戸愚呂兄は食われる」という衝撃的な展開や、「桑原」との因縁、そして一部で囁かれる「戸愚呂兄 弱い」説の真相にも迫ります。

さらに、「幽☆遊☆白書で戸愚呂弟は最後どうなった？」という疑問にも触れながら、戸愚呂兄が迎えた衝撃的な結末の全貌を解き明かしていきます。

戸愚呂兄の「最後」とは？その衝撃的な結末を解説

戸愚呂兄と桑原：暗黒武術会での屈辱

暗黒武術会における戸愚呂兄と桑原和真の戦いは、戸愚呂兄にとって大きな屈辱であり、その後の彼の運命を決定づける重要な転換点となりました。

この戦いで、戸愚呂兄は桑原の仲間であり、自身も少なからず因縁のある幻海の死を執拗に嘲笑します。

この行為が、普段は温厚ながらも仲間思いの強い桑原の怒りを買い、彼の潜在能力を覚醒させる引き金となりました。

激昂した桑原は、霊剣をラケット状に変形させるなど、持ち前の機転と怒りのパワーで戸愚呂兄を圧倒。

変幻自在の肉体を持つ戸愚呂兄の防御を打ち破り、ついに彼を粉砕するに至ります。

しかし、戸愚呂兄はその驚異的な再生能力によって復活を遂げます。

この時、兄の浅ましい戦いぶりと敬意を欠いた幻海への侮辱に対し、実の弟である戸愚呂弟が激怒。

「品性まで売った覚えはない」という痛烈な言葉と共に兄を殴り飛ばし、事実上見限るのでした。

この一連の出来事は、戸愚呂兄にとって二重の屈辱でした。

格下と見くびっていたであろう桑原に敗北したこと、そして最強の協力者であり肉親でもある弟にまで見捨てられたことは、彼のプライドを深く傷つけ、孤立を深める結果となったのです。

桑原の勝利は、時にその妥当性が議論されることもありますが、『幽☆遊☆白書』のテーマの一つである「純粋な力や不死性だけが強さではない、人間の感情や怒りが時にそれを凌駕する」という点を象徴する戦いであったと言えるでしょう。

戸愚呂兄の傲慢さと他者の感情への鈍感さが、自らの首を絞める形となったのです。

この戦いでの敗北と弟との決裂は、戸愚呂兄がより歪んだ道へと進み、最終的な悲惨な末路へと繋がる大きな布石となりました。

戸愚呂兄が食われる：巻原による復活劇

暗黒武術会で弟に見捨てられ、瀕死の重傷を負ったかに見えた戸愚呂兄ですが、彼は再びファンの前に姿を現します。

それは、仙水忍が暗躍する「魔界の扉（仙水編）」でのことでした。

この編で、仙水の部下の一人である「美食家（グルメ）」こと巻原定男に、戸愚呂兄は捕食されるという衝撃的な展開を迎えます。

これが、「戸愚呂兄 食われる」というキーワードで語られる出来事の真相です。

巻原の能力は、他者を捕食し、その能力を自分のものにするというものでした。

彼は戸愚呂兄の特異な再生能力に目をつけ、取り込もうとしたのです。

しかし、戸愚呂兄の生命力、精神力、そして何よりもその異常なまでの再生能力は、巻原のそれを遥かに凌駕していました。

結果として、戸愚呂兄は巻原の肉体を内側から乗っ取り、その意識を完全に支配下に置くという、まさに寄生者としての本領を発揮する形で復活を遂げます。

単に能力を吸収されるのではなく、捕食者であったはずの巻原が逆に戸愚呂兄に「食われ」、その存在を上書きされてしまったのです。

この不気味な復活劇は、戸愚呂兄の執念深さとグロテスクな性質を改めて視聴者や読者に強烈に印象づけました。

他者の肉体を内側から乗っ取るという行為は、彼の定まった自己を持たない流動的な肉体変化や、他者を精神的にも物理的にも汚染し腐敗させる彼の悪意と、テーマ的にも深く共鳴しています。

この出来事は、戸愚呂兄が単なる力任せの悪役ではなく、より狡猾で、生物的な恐怖を感じさせる存在であることを示しています。

彼の本質が「寄生」という形で具現化されたこの復活は、後の蔵馬との戦いで迎える彼の「最後」を暗示するかのようでもありました。

戸愚呂兄と邪念樹：永遠の苦痛の始まり

巻原の肉体を乗っ取り、再びその悪意を撒き散らそうとした戸愚呂兄の前に立ちはだかったのが、浦飯チームの頭脳、蔵馬でした。

そして、この蔵馬との戦いこそが、戸愚呂兄の真の「最後」を決定づける、あまりにも恐ろしい結末へと繋がります。

蔵馬が戸愚呂兄に対して用いた切り札は、魔界の植物「邪念樹（じゃねんじゅ）」でした。

邪念樹は、対象者に種子を植え付けるか、もしくは接近した者に幻覚作用のある花粉や物質を吸わせることで、その精神を侵食し、対象者が最も恐れる、あるいは憎む相手の幻影を見せ続けます。

そして、その幻影と永遠に戦わせることで精神力を消耗させ、最終的には生命力を吸い尽くして死に至らしめるという、極めて残忍な特性を持つ植物です。

蔵馬は、この邪念樹の種子（あるいは幻覚物質を発生させる菌糸）を戸愚呂兄の体内に（アニメ版では煙幕に紛れて吸わせたようにも描かれています）植え付けました。

邪念樹の真の恐ろしさは、その不死身とも言える再生能力を持つ戸愚呂兄に対して、皮肉な形で最大限に発揮された点にあります。

通常の生物であれば、生命力を吸い尽くされれば死に至り、それによって邪念樹の呪縛からも解放されます。

しかし、戸愚呂兄は体を粉々にされても再生し、心臓の位置すら自在に変えられるほどの生命力と再生能力を持っています。

彼は死ぬことができないのです。

結果として、戸愚呂兄は邪念樹によって生み出される蔵馬（あるいは彼自身の最も深い憎悪や恐怖の対象）の幻影と、永遠に戦い続けるという、終わりのない悪夢に囚われることになりました。

意識ははっきりしているにも関わらず、無限に続く戦いから逃れることも、死んで楽になることも許されない。

これが、戸愚呂兄が迎えた「永遠の苦痛の始まり」であり、彼の「最後」の正体です。

ある資料では、この状態を「漫画市場最もえぐい無期懲役」と評されていますが、まさに言い得て妙と言えるでしょう。

寄生植物である邪念樹が、他者を食い物にしてきた戸愚呂兄自身を永遠の宿主として寄生し続けるという構図は、彼の罪と本性に完璧に合致した、蔵馬による冷徹かつ計算され尽くした罰だったのです。

戸愚呂兄は死亡した？その真の末路

多くの作品において、悪役の末路は「死」であることが一般的です。

しかし、戸愚呂兄の場合、彼が「死亡した」と単純に表現するのは適切ではありません。

彼の真の末路は、肉体的な死よりも遥かに過酷で、精神的な苦痛が永遠に続くという、まさに生き地獄そのものでした。

前述の通り、蔵馬が用いた邪念樹によって、戸愚呂兄は終わりのない幻影との戦いに囚われました。

彼の驚異的な再生能力が、ここでは完全に裏目に出ています。

死ぬことができないため、邪念樹の呪縛から解放される術がないのです。

意識は保たれたまま、永遠に苦痛と恐怖を味わい続ける。

これが戸愚呂兄に下された罰であり、彼の「最後」の形です。

肉体的には、巻原の体を乗っ取った状態で邪念樹に寄生されているため、ある意味では「生きている」とも言えます。

しかし、その「生」は、自由も安息も一切ない、ただ苦しむためだけのものです。

戸愚呂兄の存在意義は、他者に苦痛を与えること、他者を嘲弄し、いたぶることにありました。

その彼が、自分自身が作り出す（あるいは邪念樹が見せる）恐怖の対象と永遠に戦い、苦しみ続けるというのは、まさに因果応報と言えるかもしれません。

しかし、その罰のあまりの永続性と過酷さには、同情の余地がないと分かっていても戦慄を覚えるファンも少なくありません。

したがって、「戸愚呂兄は死亡したのか？」という問いに対しては、「肉体的には滅んでいないが、精神的には死よりも辛い、永遠の苦痛の中にいる」と答えるのが最も正確でしょう。

彼の末路は、単なる敗北や死ではなく、彼の本質そのものを罰する形として描かれた、極めて特殊で衝撃的なものでした。

この結末が、戸愚呂兄というキャラクターを『幽☆遊☆白書』の中でも特に印象深い悪役の一人として、ファンの記憶に刻みつけている大きな理由の一つです。

戸愚呂兄はまだ戦ってる？終わらない悪夢

「戸愚呂兄はまだ戦ってる」という言葉は、彼の悲惨な最期を的確に表現しており、ファンの間でしばしば語られます。

これは比喩表現ではなく、文字通り彼は邪念樹が見せる幻影と、今この瞬間も戦い続けていると解釈されるのが一般的です。

邪念樹の特性は、宿主の生命力を吸い尽くすまで幻覚を見せ続け、精神的な苦痛を与えることです。

しかし、戸愚呂兄の不死身ともいえる再生能力は、邪念樹が彼の生命力を完全に奪い去ることを不可能にしています。

つまり、養分が尽きない限り、邪念樹は活動を停止せず、戸愚呂兄は永遠に幻影との戦いを強いられるのです。

この戦いには、成長もなければ勝利もありません。

もちろん、逃避の望みも存在しません。

あるのはただ、永続する苦痛と、邪念樹による一方的な捕食だけです。

彼がかつて他者に対して行ってきたサディスティックな行為が、ブーメランのように、しかし何倍にも増幅されて彼自身に返ってきているかのようです。

この「終わらない悪夢」は、戸愚呂兄が持っていた「強さ」や「不死性」が、いかに空虚で、そして恐ろしい結末を迎える可能性があるかを示唆しています。

『幽☆遊☆白書』において、多くのキャラクターたちは戦いを通じて成長し、何らかの意味を見出していきます。

しかし、戸愚呂兄が邪念樹の幻影の中で続ける永遠の戦いは、完全に無意味で、ただただ苦痛を再生産し続けるだけのものです。

この虚無感と絶望感が、彼の「最後」をより一層悲惨なものとして際立たせています。

ファンが「戸愚呂兄はまだ戦ってる」と口にするとき、そこには彼の悪行へのある種の当然の報いという感情と共に、その罰のあまりの苛烈さへの戦慄と、ある種の哀れみすら含まれているのかもしれません。

いずれにしても、この状態こそが戸愚呂兄の最終的な姿であり、彼が『幽☆遊☆白書』の物語から退場した形なのです。

戸愚呂兄の「最後」から見る弟との対比と能力

戸愚呂兄弟の能力は？それぞれの特異な力

戸愚呂兄弟は、兄と弟で全く異なるタイプの能力を持っていました。

これらの能力の違いが、彼らの戦闘スタイルや性格、そして最終的な運命にも大きく影響しています。

まず、兄である戸愚呂兄の能力についてです。

彼の最も基本的な能力は、自身の肉体を自在に変形させることです。

腕を鋭利な剣や強固な盾に変えたり、無数の針を飛ばしたり、手足を伸縮させたりと、その形状は多岐にわたります。

これにより、予測不能な攻撃や防御を可能にしていました。

さらに特筆すべきは、驚異的な再生能力です。

体をバラバラにされても短時間で再生し、さらには心臓などの急所も体内で自在に移動させることができるため、通常の手段で彼を殺すことは極めて困難でした。

この再生能力が、結果的に彼を呪われた不死性へと繋がることになります。

また、仙水編では、美食家・巻原を内側から乗っ取るという、寄生・支配型の能力も見せています。

一方、弟の戸愚呂弟の能力は、筋肉操作によるパワーアップです。

彼は自身の妖力を筋肉に変換し、その量をパーセンテージでコントロールすることで、身体能力を飛躍的に向上させることができました。

普段は力を抑えていますが、戦闘時には20％、45％、60％、80％、そして最大で100％（さらにはそれを超える領域）へと段階的にパワーを引き上げます。

パーセンテージが上がるにつれて、筋力、スピード、耐久力の全てが超人的なレベルに達し、その姿もより巨大で筋骨隆々としたものへと変化します。

また、彼もある程度の再生能力は持っていますが、兄ほど特化してはいません。

彼の強さの根源は、あくまで鍛え上げられた肉体と、それを限界以上に引き出す筋肉操作能力にあります。

以下に、兄弟の主な能力を比較した表を示します。

特徴	戸愚呂兄	戸愚呂弟
基本能力	肉体変形（武器化、伸縮自在）	筋肉操作による身体能力のパーセンテージ強化
特殊能力	超高度な再生能力、急所の体内移動、他者の肉体の乗っ取り（寄生）	圧倒的な筋力・スピード・耐久力、妖気の放出（指弾など）、一定の再生能力
能力の性質	流動的、トリッキー、防御・生存特化	集約的、直接的、攻撃・破壊特化
戦闘スタイル	奇襲、精神的揺さぶり、再生能力を盾にした持久戦	正面からの圧倒的な力による制圧、格闘術を主体とした近接戦闘
能力の代償・弱点	再生に集中すると攻撃が疎かになる可能性、純粋な戦闘技術は高くない可能性あり	100％を超える力の使用は肉体に多大な負荷、精神的な消耗が激しい、大振りになる傾向

このように、戸愚呂兄は変幻自在の肉体と再生能力で相手を翻弄し、精神的に追い詰める戦い方を得意としたのに対し、戸愚呂弟は純粋なパワーとスピードで相手を圧倒する、正攻法の戦士でした。

この能力の違いが、彼らの生き様や「最後」にも色濃く反映されていると言えるでしょう。

戸愚呂兄は弱い？その戦闘力を再評価

ファンの間では、「戸愚呂兄は実は弱いのではないか」という議論がしばしば交わされます。

特に、暗黒武術会で桑原和真に実質的に敗北したことや、戸愚呂チームの他のメンバーである武威や鴉と比較された際に、その戦闘力に疑問符がつくことがあります。

確かに、戸愚呂兄の戦い方を見ていると、その評価は一概には難しいものがあります。

まず、彼の強さの側面を見てみましょう。

最大の武器は、前述の通り驚異的な再生能力です。

体を粉々にされても、心臓を貫かれても再生するため、通常の手段で彼を倒すことは非常に困難です。

このしぶとさは、多くの対戦相手にとって脅威であったことは間違いありません。

また、戸愚呂チーム内での自身の優位性を主張する発言も見られました（例：武威や鴉よりも自分たち兄弟の方が強いという趣旨の発言後、五連邪チームのメンバーを瞬殺）。

これが単なる虚勢でなかったとすれば、一定の実力はあったと考えられます。

さらに、仙水編で見せた巻原を乗っ取る能力も、彼の生命力や精神力の強さを示しています。

一方で、弱さとされる側面も明確に存在します。

最も大きな点は、暗黒武術会で桑原に敗北を喫したことです。

桑原の怒りの力によるものとはいえ、格下と見ていた相手に不覚を取ったのは事実です。

また、彼の戦い方は純粋な戦闘技術や圧倒的なパワーに頼るものではなく、再生能力を盾にしたトリッキーな戦術や精神攻撃が中心です。

そのため、再生能力を攻略されたり、圧倒的な力で押し切られたりした場合には、脆さを見せることがあります。

しばしば見せる臆病な一面や、相手をいたぶるサディスティックな性向が冷静な判断を欠き、自身の首を絞める結果に繋がることもありました。

総合的に評価すると、戸愚呂兄は、その特異な再生能力と予測不可能な行動により、間違いなく危険で厄介な敵でした。

しかし、純粋な戦闘力、格闘センス、戦略的思考といった点では、戸愚呂弟や仙水、あるいは全盛期の幻海といったトップクラスの戦士たちには及ばなかった可能性が高いと言えるでしょう。

彼の「弱さ」とは、単純なパワー不足というよりも、戦闘への取り組み方や性格に起因する「戦士としての質の低さ」に起因するのかもしれません。

不死性を過信し、それを盾に戦う傾向が強く、そこには弟に見られたような強さへの渇望や戦士としての誇りのようなものは感じられませんでした。

結論として、戸愚呂兄は「殺すのは非常に難しいが、打ち負かすこと自体は（彼の再生能力を上回るか、精神的に屈服させれば）不可能ではない」レベルの敵であり、「弱い」と断じるのは早計ですが、「最強クラス」とは言い難い、評価の分かれるキャラクターと言えます。

戸愚呂弟という存在、兄との決定的な違い

戸愚呂弟は、『幽☆遊☆白書』における最も象徴的な敵キャラクターの一人であり、その存在感と悲劇性は多くのファンに強烈な印象を残しています。

兄である戸愚呂兄とは、能力、性格、そして生き様において、あまりにも対照的であり、その違いが兄弟の運命を大きく分けました。

戸愚呂弟の最大の特徴は、強さへの異常なまでの執着と、そのストイックな姿勢です。

かつて人間だった頃、弟子たちを妖怪・潰煉（かいれん）に虐殺された過去を持ち、その無力感と絶望から、二度と大切なものを失わないために圧倒的な力を求めるようになりました。

暗黒武術会の優勝賞品として妖怪へと転生し、その後もひたすらに強さを追求し続けます。

彼の行動原理は、より強い敵と戦い、自らの限界を超え続けることでした。

その過程で多くのものを切り捨て、歪んでしまった部分もありますが、彼なりの「誇り」や「武人のような掟」を最後まで持ち続けていたように見受けられます。

例えば、浦飯幽助との最終決戦では、観客の命を盾にするような卑怯な手段を良しとせず、あくまで一対一の純粋な力比べを望みました。

また、かつての仲間であり師でもあった幻海に対しては、複雑な感情を抱きつつも、一定の敬意と、言葉には出さない深い情のようなものを持っていたことが窺えます。

彼の最後の言葉「世話ばかりかけちまったな」は、その象徴と言えるでしょう。

一方、戸愚呂兄には、弟のような一貫した信念や美学は見られません。

彼の行動原理は、自己保身と、他者をいたぶることで得られるサディスティックな快楽が中心です。

弟を利用し、裏切り、嘲笑し、その態度は終始卑劣で悪趣味でした。

弟が過去のトラウマを原動力に（歪んだ形ではあれ）強さを求め続けたのに対し、兄はそのトラウマから逃避し、より浅薄で自己中心的な快楽へと堕落していったように見えます。

この決定的な違いは、彼らの「力」の質にも表れています。

弟の力は、絶望的な努力と鍛錬によって積み上げられたものであり、そこには凄みと悲壮感が伴います。

対して兄の力は、生まれ持った特異体質（再生能力）に依存した部分が大きく、姑息さや不気味さが際立ちます。

このように、戸愚呂弟は悲劇的な過去を背負い、歪みながらも自らの信念に基づいて強さを追求した複雑なキャラクターであるのに対し、戸愚呂兄はより単純で、根源的な悪意と自己中心性によって動くキャラクターとして描かれています。

この対比こそが、戸愚呂兄弟という存在をより印象深いものにしているのです。

幽☆遊☆白書で戸愚呂弟は最後どうなった？

浦飯幽助との死闘の末に敗れた戸愚呂弟の「最後」は、兄とは全く異なる、しかし同様に壮絶で記憶に残るものでした。

彼の選択は、彼のキャラクター性を象徴するものであり、多くのファンに深い感銘と考察の余地を与えています。

暗黒武術会の決勝戦で、幽助との全力を賭けた戦いの末に敗北した戸愚呂弟は、肉体的には消滅しました。

その後、彼の魂は冥界へと送られ、そこで閻魔大王（アニメではコエンマが代行的に審判を下す場面が描かれることも）による裁きを受けることになります。

彼には、これまでの罪を考慮しても、比較的軽い地獄へ行く道も示されました。

しかし、戸愚呂弟はそれを自ら拒否します。

彼は、自身の犯した罪の重さ、そして何よりも多くの弟子たちを見殺しにし、自らも力を求めて道を誤ったことへの深い悔恨から、最も過酷な罰を自らに科すことを望んだのです。

彼が選んだのは、「冥獄界（めいごくかい）」と呼ばれる地獄の中でも最も残酷な場所でした。

冥獄界とは、あらゆる種類の苦痛を（一説には）一万年受け続け、それが終わると再び同じ苦痛を一万年繰り返す…というサイクルを一万回繰り返した後、ようやく完全な「無」に至るという、想像を絶するほどの永い苦しみを伴う地獄です。

彼は、この道こそが自分のような大罪人にふさわしいと考え、一切の弁明もせず、静かにその運命を受け入れました。

この選択は、彼のストイックで求道的な性格、そして自らの罪と向き合う覚悟の表れと言えるでしょう。

彼は、楽な道を選ぶのではなく、最も厳しい罰を受けることでしか、自身の魂が救済されない（あるいは、自らを許すことができない）と考えたのかもしれません。

死してなお、彼の生き様は一貫していました。

幻海が霊界で彼を見送るシーンは、二人の複雑な関係性を象徴する名場面として知られており、弟の最後の言葉「世話ばかりかけちまったな」には、後悔、感謝、そして言葉にできない多くの想いが込められていたように感じられます。

このように、戸愚呂弟の「最後」は、兄のような他者によって強いられた逃れられない苦痛ではなく、自らの意志で選んだ壮絶な贖罪の道であり、その極端なまでの自己犠牲的な姿勢が、彼のキャラクターに悲劇的な深みを与えているのです。

戸愚呂兄弟：対照的すぎた二人の運命

戸愚呂兄と戸愚呂弟。

同じ兄弟でありながら、その能力、性格、そして最終的に迎えた運命は、あまりにも対照的でした。

この二人の違いを改めて比較することで、『幽☆遊☆白書』という物語が持つテーマ性や、キャラクター造形の巧みさが見えてきます。

特徴	戸愚呂兄	戸愚呂弟
主な能力	肉体変形、超再生能力、寄生	筋肉操作によるパワーアップ、圧倒的筋力
性格の中心	サディスティック、卑劣、臆病、自己中心的、他者への嘲弄	ストイック、強さへの執着、寡黙、過去のトラウマ、独自の美学・掟
力の動機	自己保身、他者への加虐、快楽	過去の悲劇の克服、二度と失わないための力、強敵との戦い、死に場所の探求
重要な関係性	弟を道具として利用、最終的に弟に見捨てられる	幻海との複雑な師弟関係・絆、兄を当初は武器として利用するも最後は袂を分かつ
最後の対戦相手	蔵馬	浦飯幽助
究極の運命	邪念樹による幻影の中で永遠の苦痛を味わい続ける（意識は保たれたままの生き地獄）	自ら選んだ最も過酷な地獄「冥獄界」での億年単位の贖罪、そして最終的な「無」
「最後」の性質	他者（蔵馬）によって強いられた、逃れられない屈辱的で寄生的な末路	自己決定による、彼の極端な信条を反映した、壮絶で自己犠牲的な贖罪
選択の有無	なし（完全に蔵馬によって仕組まれた罰）	あり（軽い地獄を拒否し、自ら最も過酷な道を選択）
ファンの印象	自業自得、恐ろしい、グロテスク、哀れ（その悲惨さにおいて）	悲劇的、深遠、ストイック、その極端さにおいてある種の救済や美学を感じることも

かつて、潰煉によって多くの弟子たちを虐殺されたという共通の悲劇を経験したはずの二人ですが、その後の道は大きく異なりました。

戸愚呂弟がその悲劇を力への渇望へと転化させ（その過程で歪みはしましたが）、かつての人間性のかけらを内に留めていたのに対し、戸愚呂兄は純粋なサディズムと自己保身へと堕落していったように見えます。

この同じ出来事に対する異なる心理的反応が、彼らの全く異なるキャラクターアークと運命を生み出したと言えるでしょう。

そして、彼らの「最後」における「選択」の有無は、決定的に重要です。

戸愚呂弟は、より軽い罰を提示されながらも、自らの意志で最も過酷な地獄を選びました。

この主体的な行為は、彼の極端な価値観への殉教とも言え、その最期に悲劇的な威厳を与えています。

対照的に、戸愚呂兄には選択の余地は一切ありませんでした。

邪念樹による彼の運命は、完全に蔵馬によって計画され、実行されたものです。

彼は永遠の苦痛の中で、ただ受動的な犠牲者であり続けるしかないのです。

この対比は、戸愚呂弟の持つ複雑な（暗黒ではあるものの、ある種の筋の通った）倫理観と、戸愚呂兄の単純で卑劣な悪意を際立たせています。

兄弟でありながら、その生き様と死に様（あるいはそれに類する状態）は、光と影、あるいは鏡合わせの歪んだ姿のように、互いを際立たせる役割を果たしていると言えるでしょう。

まとめ：戸愚呂兄の「最後」と『幽☆遊☆白書』が問いかけるもの

戸愚呂兄の「最後」は、『幽☆遊☆白書』の中でも特に衝撃的で、多くのファンの記憶に深く刻まれています。

それは単なる死ではなく、彼の不死性とサディスティックな本性に完璧に呼応した、永遠に続く意識ある苦痛でした。

弟・戸愚呂弟が自ら選んだ壮絶な贖罪の道とは対照的に、戸愚呂兄のそれは一方的に強いられた、より直接的でグロテスクな恐怖を感じさせます。

彼の末路は、悪役に対する「罰」の極限の一つの形を示しており、物語における因果応報の恐ろしさを教えてくれます。