タコピーの原罪「わかんないっぴ」元ネタから怖い理由まで解説

「わ わかんないっピ…」という、一度聞いたら忘れられないセリフ。

この言葉が、漫画『タコピーの原罪』に登場することをご存知の方も多いでしょう。

ネット上ではこのセリフを使ったコラ画像が溢れかえり、一大ミームとなりました。

しかし、なぜこの「わかんないっぴ」という一言が、これほどまでに人々の心を掴み、時には「怖い」とまで言われるのでしょうか。

その背景には、原作の壮絶なストーリーが存在します。

この記事では、「タコピーの原罪」における「わかんないっぴ」の元ネタとなったシーンを詳しく解説し、なぜこのセリフが話題になったのか、派生したネットミームや「殺せばいいんだっピね」といった関連語録まで、その全貌を深く掘り下げていきます。

目次

「タコピーの原罪」の「わかんないっぴ」元ネタ解説

「わ、わかんないっぴ」の元ネタは原作11話

結論から言うと、「わ、わかんないっぴ…」というセリフの元ネタは、タイザン5先生による漫画『タコピーの原罪』の第11話に登場します。

このセリフは、地球にハッピーを広めるためにやってきたハッピー星人「タコピー」が、物語の重要人物である少女・久世しずかに対して発したものです。

単なる困惑の言葉ではなく、物語の核心に触れる非常に重い意味を持つ一言となっています。

その理由は、このセリフが発せられた状況が極めて衝撃的で、登場人物たちの絶望的な心理状態を象徴しているからです。

それでは、具体的にどのような状況でタコピーはこのセリフを口にしたのでしょうか。

第11話で、しずかちゃんは自分を捨てた父親に会うため、そして行方不明になった愛犬チャッピーを探すために、タコピーと共に東京へ向かいます。

しかし、そこで彼女が目の当たりにしたのは、父親が新しい家族と幸せそうに暮らす姿でした。

チャッピーの姿はなく、父親はしずかちゃんのことを「よくわからないなぁ…」と他人事のように突き放します。

希望を打ち砕かれ、絶望の淵に立たされたしずかちゃんは、雨が降るトンネルの中で、タコピーに対して信じられない要求をします。

それは、「タコピー 人間をつかまえて胃の中を調べる道具 出して」というものでした。

父親の新しい家族がチャッピーを食べてしまったのかもしれない、というあまりにも歪んだ疑念から出た言葉です。

この、小学生の少女から発せられたとは思えない残酷で理解不能な要求に対し、これまで純粋にしずかちゃんを助けようとしてきたタコピーは、涙を浮かべ、持っているハッピー道具を前にして、絞り出すようにこう言うのです。

「わ わかんないっピ…」

この一言は、タコピーの純粋な世界が、人間の複雑で計り知れない闇に直面し、崩壊しかけている瞬間を切り取った、作品全体を象徴する名シーンの一つと言えるでしょう。

「わかんないッピ」の元画像と登場シーン

「わかんないッピ」というセリフが持つインパクトは、その元となった漫画のコマの描写によって、さらに強烈なものになっています。

このセリフが登場するコマは、セリフ単体で見るのとは比較にならないほどの情報量と感情を読者に伝えます。

この元画像は、タコピーの無力さと、しずかちゃんの絶望が最高潮に達した瞬間を切り取った、非常に優れた場面描写です。

なぜなら、キャラクターの表情、背景、小道具の配置といった視覚的要素すべてが、セリフの持つ悲痛な響きを増幅させているからです。

具体的に、元画像のコマを文章で描写すると、以下のようになります。

まず、画面の中心には、大きな瞳から大粒の涙を流し、途方に暮れた表情で立ち尽くすタコピーが描かれています。

彼の口は小さく開き、何かを言おうとして言葉を失っているかのような、困惑と悲しみが入り混じった絶妙な表情をしています。

タコピーの足元には、彼がこれまで「ハッピー道具」として信じてきたカメラやリボン、タイム風呂敷といったアイテムが無造作に散らばっています。

これらは、しずかちゃんを幸せにするために使ってきたはずの道具ですが、この絶望的な状況においては何一つ役に立たず、彼の無力さを象徴するガラクタのように見えます。

そして、背景となっているのは薄暗く冷たいコンクリートのトンネルです。

外では雨が降っており、トンネルの閉鎖的な空間が、二人の心理的な逃げ場のなさを効果的に演出しています。

このように、「わかんないッピ」の元画像は、悲痛なセリフ、キャラクターの表情、役に立たない道具、閉鎖的な背景といった要素が完璧に組み合わさることで、読者に強烈な印象を植え付けました。

このコマの完成度の高さが、ネットミームとして広く拡散される大きな要因となったのです。

「わわかんないっピ」が持つ2つの意味

タコピーが発した「わわかんないっピ」というセリフは、一見すると単純な言葉ですが、その背景を考慮すると、少なくとも2つの異なる意味合いに解釈することができます。

このセリフが多くの読者の心に深く突き刺さったのは、この多義性による部分が大きいでしょう。

一つは文字通りの表層的な意味、もう一つはタコピーの心情を深く反映した深層的な意味です。

まず、一つ目の意味は、「しずかちゃんが要求した『人間をつかまえて胃の中を調べる道具』が何なのか分からないし、そんな道具は持っていない」という、きわめて直接的な意味です。

実際、タコピーはこのセリフの直後に「そんな道具はないっピ」とはっきりと否定しています。

彼は地球の常識や倫理観からかけ離れたハッピー星人であり、彼の持つ「ハッピー道具」は、あくまで彼の星の価値観に基づいたものです。

そのため、しずかちゃんの猟奇的ともいえる要求に応えられるはずもなく、文字通り「わからない」と答えるのは自然な反応と言えます。

一方で、より重要となるのが二つ目の深層的な意味です。

これは、「なぜ、しずかちゃんがそんなにも残酷で理解不能なことを言うのか、彼女の思考や感情がまったく理解できない」という、タコピーの根本的な混乱と絶望を表しています。

これまでタコピーは、「おはなし」をすれば仲直りできる、「ハッピー道具」を使えばみんな笑顔になる、と信じて疑いませんでした。

しかし、目の前のしずかちゃんは、いじめ、親からのネグレクト、裏切りといった過酷な現実を経験し、その純粋な理屈では到底解決できないほどの深い闇を抱えています。

その闇から生まれた「人間を捕まえて胃を調べる」という発想は、タコピーの理解の範疇を完全に超えています。

つまり、「わかんないっピ」という言葉は、道具の有無を問うているだけでなく、純粋な善意が人間の複雑な悪意や絶望の前で無力であると悟った瞬間の、タコピーの悲痛な叫びでもあるのです。

この二重の意味合いが、セリフに奥行きを与え、読者が様々な解釈を巡らせるきっかけとなりました。

なぜ「タコピー 怖いっぴ」と言われるのか

『タコピーの原罪』や「わかんないっピ」のシーンについて語られる際、しばしば「怖い」という感想が聞かれます。

可愛らしいタコのキャラクターが主人公であるにもかかわらず、この作品が「怖いっぴ」と形容されるのには、明確な理由が存在します。

その怖さの本質は、可愛らしい絵柄と、そこに描かれる凄惨で救いのない物語との間に存在する、強烈なギャップにあります。

このミスマッチが、読者に表面的な恐怖とは異なる、じっとりとした心理的な恐怖感、いわゆるサイコホラー的な感触を与えるのです。

まず、『タコピーの原罪』という作品自体が、小学生を取り巻く過酷な現実を容赦なく描いています。

テーマとして扱われるのは、いじめ、家庭崩壊、ネグレクト、自殺未遂といった非常に重い内容です。

主人公のタコピーは、そんな絶望的な状況に置かれた少女しずかちゃんを「ハッピーにする」という純粋な目的で行動します。

しかし、彼の善意に基づいた行動は、ことごとく裏目に出てしまいます。

むしろ、彼の介入が事態をさらに悪化させ、より大きな悲劇を引き起こす引き金となってしまうのです。

この「善意が招く最悪の結果」という構図こそが、物語の根底にある怖さの源泉です。

特に「わかんないっピ」のシーンは、その怖さを象徴する場面と言えます。

タコピーの純粋さや「ハッピー道具」が、人間の底知れない悪意や絶望の前では全く通用しないという事実が、残酷なまでに突きつけられます。

純粋無垢な存在が、理解不能な闇に飲み込まれていく様子は、ホラー映画における幽霊や怪物とは質の違う、現実味を帯びた恐怖を読者に感じさせます。

加えて、タイザン5先生の描くキャラクターの表情も、怖さを増幅させる要因です。

笑顔で残酷なことを言ったり、無表情の裏に深い感情を隠していたりと、キャラクターたちの心理が読み取りにくい場面が多くあります。

このような、可愛らしい絵柄で描かれる生々しい人間の闇と、善意が裏目に出続ける救いのない展開が組み合わさることで、『タコピーの原罪』は「怖いっぴ」と評される独特の世界観を構築しているのです。

「タコピーの原罪」の「わかんないっぴ」派生ネタ

流行した「わ、わかんないっぴ」のコラ画像

「わ、わかんないっぴ」のシーンは、その衝撃的な内容もさることながら、極めて高い汎用性を持っていたため、インターネット上で爆発的に流行し、数多くのコラージュ画像(コラ画像)が作られる一大ネットミームとなりました。

この流行の根本的な理由は、「理不尽な要求をする者」と「それに困惑し応えられない者」という、非常にシンプルで応用しやすい構図にあります。

このフォーマットが、日常のあるあるネタから専門的なネタまで、あらゆる文脈に当てはめることができたのです。

コラ画像の基本的なパターンは、しずかちゃんのセリフ「タコピー 人間をつかまえて胃の中を調べる道具 出して」の部分を、全く別の「無茶な要求」に差し替えるというものです。

これにより、原作の持つシリアスで絶望的な雰囲気は一転し、多くはコミカルでシュールな笑いを生み出すコンテンツとして消費されていきました。

例えば、以下のような改変がよく見られました。

要求のジャンル具体的なセリフの例
学術・専門知識「タコピー フェルマーの最終定理を証明する道具 出して」
社会人の苦悩「タコピー 明日の会議で使う資料と根回しをしてくれる道具 出して」
クリエイターの悩み「タコピー 面白くてバズる漫画のネタを出す道具 出して」
日常の理不尽「タコピー 部屋を一切散らかさずに生活できる道具 出して」
オタク文化「タコピー 売り切れた限定グッズを買える道具 出して」

このように、しずかちゃんの要求を改変するだけで、元の悲痛なシーンが、見る者の共感を呼ぶ「あるあるネタ」や、内輪で盛り上がる「専門ネタ」へと変化します。

涙を流して困惑するタコピーの姿は、無理難題を押し付けられて途方に暮れる私たちの姿そのものであり、多くの人がこの構図に自分を重ね合わせることができたのも、流行の大きな要因でしょう。

このミーム化によって、「わかんないっぴ」は原作を知らない層にまで広く認知される言葉となり、『タコピーの原罪』という作品への入り口としても機能した側面がありました。

「わかんないッピ」のジェネレーターは存在する?

これほどまでにコラ画像が流行すると、「自分でも作ってみたい」と考える人が出てくるのは自然な流れです。

そこで気になるのが、「わかんないッピ」のコラ画像を簡単に作成できる「ジェネレーター」のようなツールが存在するのか、という点でしょう。

結論として、2025年現在、ボタン一つでセリフを入力すれば画像が完成するような、公式の「わかんないッピ ジェネレーター」は存在しません。

しかし、ジェネレーターはなくても、非公式な形で提供されている素材画像を使えば、誰でも比較的簡単にコラ画像を作成することが可能です。

その理由は、このミームの人気が高まるにつれて、多くの有志のファンが加工しやすいようにテンプレート画像を作成し、インターネット上で共有してくれたからです。

具体的にコラ画像を作成する手順は、以下のようになります。

  1. 素材画像の入手Twitter(現X)や各種画像掲示板などで、「タコピー わかんないっぴ 素材」や「わかんないっぴ 透過」といったキーワードで検索します。すると、しずかちゃんのセリフの吹き出し部分が空白になっている画像や、キャラクターだけが切り抜かれた透過PNG画像などが見つかります。
  2. 画像編集入手した素材画像を、PCの画像編集ソフト(PhotoshopやGIMPなど)や、スマートフォンの画像編集アプリ(ibisPaint XやLINE Cameraなど)で開きます。
  3. テキストの入力空白の吹き出し部分に、自分で考えたオリジナルの「無茶な要求」のテキストを入力します。フォントの種類やサイズを原作に似せると、より完成度が高まります。

このように、専用のジェネレーターがなくとも、少しの手間をかければオリジナルの「わかんないっぴ」画像を作ることができます。

ただし、ここで一つ注意点があります。

これらの素材画像や原作の画像は、当然ながら作者であるタイザン5先生と出版社である集英社に著作権があります。

作成したコラ画像をSNSなどに投稿する際は、あくまでファン活動の一環として、著作権や作者への敬意を忘れないようにしましょう。

個人的に楽しむ範囲(私的利用)に留めるのが最も安全な使い方と言えます。

関連語録「殺せばいいんだっピね」も有名

「わ わかんないっピ…」と並び、『タコピーの原罪』を象徴するもう一つの衝撃的なセリフとして、「殺せばいいんだっピね!」が挙げられます。

このセリフもまた、タコピーの純粋さが人間の負の感情と交わった結果生まれたものであり、作品の持つ不気味さと悲劇性を際立たせる重要な言葉です。

「わかんないっピ」がタコピーの”無知”と”混乱”を象徴するセリフだとすれば、「殺せばいいんだっピね!」は、彼の”誤解”と”暴走”を象徴するセリフと言えるでしょう。

このセリフが登場するのは、原作の第13話です。

物語はさらに深刻な局面を迎えており、登場人物の一人である雲母坂(きららざか)まりなは、精神的に不安定な母親との関係に苦しんでいました。

ある日、まりなは恋人であった東くんから別れを告げられ、絶望します。

そのことを母親に伝えたところ、逆上した母親ともみ合いになり、まりなは誤って母親を殺害してしまいます。

母親の亡骸を抱きしめ、まりなが「ごめんなさい…」「小4のときちゃんと殺さなきゃだった 久世しずかを…」と絶望の中で呟くのを、タコピーは聞いてしまいます。

このまりなの言葉を、タコピーは「久世しずかを殺せば、まりなちゃんはハッピーになれる」と文字通りに解釈してしまいました。

彼は「殺す」という言葉の意味も、その行為がもたらす結果も、何一つ理解していません。

ただ、まりなをハッピーにするための”手段”だと誤解したのです。

そして、キラキラした効果音と共にロケットで飛び立とうとしながら、ポップな書体で、満面の笑みでこう言うのです。

「”殺す”?ってすれば まりなちゃん ハッピーだっピね!」

「殺せばいいんだっピね!」

可愛らしい見た目のキャラクターが、血まみれの惨状を前にして、何の悪意もなく「殺害」を提案する。

この常軌を逸したギャップは、「わかんないっピ」のシーン以上に直接的で暴力的なインパクトを読者に与えました。

このセリフもまた、作品のテーマである「純粋な善意が引き起こす悲劇」を強烈に描き出しており、『タコピーの原罪』を語る上では決して欠かせない名(迷)言として、広く知られています。

まとめ:「タコピーの原罪 わかんないっぴ」の元ネタと広がり

  • 「わかんないっぴ」の元ネタは漫画『タコピーの原罪』第11話である
  • しずかちゃんの無茶な要求にタコピーが涙ながらに返したセリフ
  • セリフには「道具がない」と「言動が理解できない」の二重の意味がある
  • 可愛い絵柄と重い内容のギャップが「怖い」と言われる理由である
  • 汎用性の高さからネット上でコラ画像が大きく流行した
  • 公式のジェネレーターはないが非公式の素材で作成は可能
  • 関連語録として「殺せばいいんだっピね!」も非常に有名
  • これらのセリフは作品の持つ不気味さと悲劇性を象徴している
  • 原作を読むことでセリフの持つ本来の重みや文脈が理解できる
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